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紅(くれない)
「どうです?これなんかいい色じゃありませんか」
とある呉服店での出来事。建物自体は老朽化して見えるものの、それがまた昔から由緒ある店だと思わせる独特の雰囲気を醸し出していた。

「そうね…これなんか物凄く上品な感じがするわね」
目の前に広げられた幾つもの反物を、一つ一つじっくりと品定めするように中年の女が言う。
「でもやっぱりあの着物が一番いいわ」
女が指を指したのは、ショーウィンドーに自慢気に飾られた一枚の漆黒の色をした着物。
裾の方には色とりどりの花と共に真っ赤な蝶が一匹、舞うように描かれている。
「ほほう…あれに目をつけましたか…」
「そりゃそうよ。あれだけ目を引くところに飾ってあるんですもの」
「あれはですな…京都のさる有名な染め師が…」
「そんな説明はいらないわ。とにかくあれが気に入ったの。早く見せて頂戴」

ショーウィンドーから厳かに着物が出される。
「凄い滑らかな肌触り…まるで手に吸い付くとはこの事ね」
試しに身体に合わせてみる。
「おや、まるで奥様の為にあつらえたかのように寸分の狂いもなくぴったりと身体に合いますな。これはお直しの必要もありませんよ」
その言葉に更に女は満足げな顔つきになる。

女は早々にその着物一式に似合う帯や簪、草履など一通り買い揃えるとさっさと店を出て行った。


その夜、着物を買っていった女は謎の死を遂げた。
首には、まるで何かに吸い付かれたかのような小さな穴が開いており、他に外傷は何一つ見られなかった。
解剖の結果、死因は「失血死」となった。体中の血が殆んど抜き取られていたのだ。
部屋も荒らされていないことから強盗目的ではないと判断されたが、その異常な死因と密室であったことからも警察は犯人を断定する事は出来ないまま迷宮入りとなる。

 女の部屋に残されていたのは闇のように重く黒い一枚の着物が自慢げに飾られていた。
あったはずの蝶の姿が見えないことは誰一人として気付かない。

 
 数日後、一人きりでいた店主の傍に真っ赤な蝶が飛んで来た。
「おぉ…戻ってきたか…」
店主はまるで我が子が帰ってきたような顔をして蝶を迎え入れた。

「何とまぁ…ますます綺麗な色になって…」
蝶は店主の肩に止まりパタパタと羽を揺らす。
まるで自分の姿を存分に見てくれと言わんばかりに。
「お前はどんどん綺麗になっていくなぁ。血を吸えば吸うほどお前は濃い真紅色となり、それに惹き付けられるようにお客様は群がってくる」


 翌日、ショーウィンドーに新しく黒い着物が飾られた。
裾には映えるような紅の蝶が一匹……。



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■講評

あー、想像通りの展開でしたね…。
また、女が死んだ時に着物が飾られた状態だったって事は、着物から蝶が出てきて…って事なんだと思いますが、それだと折角の「着る」という要素がなくなってしまうので、もう少し、着物である事を活かした展開になってれば良かったかなぁと思います。


名前: PM ¦ 19:34, Saturday, Jul 18, 2009 ×


もう少し捻りとパンチがほしかったです。

名前: kazuo ¦ 18:10, Sunday, Jul 19, 2009 ×


 蝶が返ってくるってアイディアはいいと思います。
 雰囲気があって。

 蝶が帰ってくるのはいいんですが、ネタフリだけで終わった感じですね。
 これにもうひとつエピソードを加えてストーリーを盛り上げられるといいんですが。

「女の部屋に残されていたのは」の1文は係り受けの関係が間違っていますね。
 最初と最後をつないで「女の部屋に残されていたのは飾られていた」では文章が成立しないのがわかると思います。
 残されていたのは着物である、か、着物が飾られていた、でなければなりません。
 本筋に関係のない部分ではありますがご参考までに。

【アイデア】+1、【描写力】+1、【構成力】0、【恐怖度】0

名前: ユージーン ¦ 21:03, Wednesday, Jul 22, 2009 ×


予想を裏切らない展開である為、一読後、薄い印象しか残りません。蝶という幻想的な素材を使うのなら、もう一捻り欲しいところです。

発想・1 構成・0 文章・0 恐怖・0

名前: 三面怪人 ¦ 00:38, Saturday, Aug 01, 2009 ×


・アイディア+1
 幻想的で良いと思う。
・描写と構成±0
 可もなく不可もなく。「お前はどんどん綺麗になっていくなぁ。血を吸えば吸うほどお前は濃い真紅色となり、それに惹き付けられるようにお客様は群がってくる」のくだりは綺麗にオチを纏めていて好き。
 粗探しで申し訳ないが、次の文は気になった。「女の部屋に残されていたのは闇のように重く黒い一枚の着物が自慢げに飾られていた。」→「女の部屋に残されていたのは、自慢げに飾られている闇のように重く黒い一枚の着物だった」くらいが良いのでは? この程度で点は引かないが。
・怖さ±0
 怖いというか幻想的。恐怖はない。
・買っても後悔しない魅力±0 短編集を買った結果、手に入るなら構わない。しかし、単品で積極的に手に入れたいかと問われると微妙。雰囲気は好きなんだけど、一味足らないというか……。

名前: わごん ¦ 18:36, Monday, Aug 03, 2009 ×


アイデア 1
描写力 0
構成力 0
狂気度   1
美しい着物で女の気をひき、蝶に美女の血を吸わせる。
発想は面白いですね。店主はまるで日野日出志の漫画に出てくる狂気の人物。これが漫画だったら面白、怖いです。日野日出志先生の絵で描いていただきたい(笑)小説となると単なるあらすじっぽいですね。だからちょっとパンチが足りない。
あと少し味付けするというか書き込むだけで良い作品になりますよ。

名前: 妖面美夜 ¦ 23:58, Monday, Aug 03, 2009 ×


でも、それだと同じ呉服店の客が変死していくわけで、当然捜査の手が……と突っ込まざるをえません。
吸血蝶というのは、個人的には新味があったものの、他にはあまり惹かれるところはなかったです。
恐怖感の面でも弱いと思いました。

アイデア  1
文章    0
構成    0
恐怖度  −1

名前: 鶴の子 ¦ 20:50, Wednesday, Aug 05, 2009 ×


綺麗な幻想譚ですね。
今市子の絵で情景が浮かびました。
蝶が主人のもとに帰ってきた場面は、恐ろしいはずの蝶が可愛らしく思えてしまいました。蝶と主人の関係性を想像させて素敵です。
蝶が即帰宅するのではなく、数日間のタイムラグがあるところが物語に深みを添えていて、いいなと思いました。


*雰囲気+1 *恐怖−1

名前: げんき ¦ 18:54, Sunday, Aug 23, 2009 ×


タイトルから想像できる展開そのままでした。
雰囲気重視の話だと思うのですが、最後の主人のセリフが説明臭くて、ムードをそいでいるように感じたのも残念でした。

名前: もりもっつあん ¦ 01:20, Sunday, Sep 06, 2009 ×


似たようなお話しは多いのでしょうが、
〔着物と蝶〕はベストマッチだと思いいます。

アイディア  1
描写力    0
構成力    0
恐怖度  −1

名前: ユーコー ¦ 21:46, Thursday, Sep 17, 2009 ×


簡潔にまとまっているのですが、もうちょっとパンチが欲しかった。
女が襲われる場面の描写などが有れば印象が違ったように思う。

名前: 水本しげろ ¦ 20:38, Friday, Sep 18, 2009 ×


種作品にして蝶を呉服店と繋げる発想までは、なかなか良かったんじゃないでしょうか。
連鎖的なオチが、ああやはり、の感ではありますが、警察の捜査が呉服店には全く掠りもしなかった展開も、この作品のリアルさを欠いているように感じました。

連鎖的なオチを最初から想定していたので警察を回避させたかったのだと思うのですが、ここで双方の何らかのやり取りがあったらまた、作品に緊張感や違った味わいを付加できたかもしれません。

作品としては評価を高くできなかったのですが、思いの外、この「紅(くれない)」から、これまた意外な作品がいろいろと生み出されているんですよね。
既に完成されて瑕疵のない作品がいいのか、又はいじりがいのある作品か適しているのか。
どこをどうやったら他の人が繋げやすい要素が含まれるのかを見るのに、この作品は種作品にしてとても良いサンプルとなっているのではないかなと思いました。

構成力・−1

名前: 気まぐれルート66 ¦ 22:15, Sunday, Sep 27, 2009 ×


恐怖 1
雰囲気 3
描写も、物語自体も美しいと感じました。この美しさの故に、残酷さも引き立つと思います。着物のサイズが、蝶の犠牲者にあつらえたかのようになっている、という部分は、エジプトの悪神セトが兄オシリスの体に合わせて棺桶を作ったという神話を思い起こさせました。

名前: 白長須鯨 ¦ 20:14, Wednesday, Sep 30, 2009 ×


 その昔キャトルミューティシュレーションってありましたね。ああいうのの真相って、もしかしたらこういうのかも知れないw。
 些細なことですが、タイトルに読み仮名は要らないと思います。

名前: あおいさかな ¦ 01:06, Thursday, Oct 01, 2009 ×


犠牲になる場面で怖がらせないのであれば、主人がもっとクレイジーだといいのかな・・・映像にしたら良い話だと思いました。

名前: 読書愛好家 ¦ 15:50, Thursday, Oct 01, 2009 ×


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