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向日葵
 首筋に汗が湧いて、ぞろりとTシャツに滑り落ちる。黙祷! の声でうな垂れて、祐一は消えてしまった少女のことを思いだそうとしていた。瞼の闇に、一枚の写真が浮かんでいる。体育館の舞台。校旗と日章旗の下で、三段に並ばされた生徒たち。この何処かに彼女はいるはずなのに、祐一はどうしてもその容姿を思い出せない。もう少し写真が鮮明に見えれば、もう少し、と念じる祐一の集中を、工場から響く正午のチャイムが掻き消した。目を開けると何か重いものがグラウンドに倒れる音がした。
 祐一と同時に何人かが列から身を乗り出した。倒れたのは女子の、最前列の千秋だった。祐一より早く、担任代理の高橋先生が朝礼台の前から走ってくる。祐一も列と列の隙間を走った。
 祐一がそばにしゃがみこむと、千秋は砂に手を突いて、自分で起き上がった。大丈夫か、そう声を掛ける高橋先生は太っていて、いつも饐えた体臭を放っている。
「僕が行きます」
 千秋は顔面蒼白で、今にも泣き出しそうな目をしていた。俯く顔をじっと見ていると、背中の汗が急激に乾いていくような気がした。愛嬌のある丸い目を眩しそうに細めていた高橋先生が、千秋から祐一に視線を戻して頼んだよ、と頷いた。「佐伯先生は、俺が呼びに行くから」。
 靴を替えるのは面倒だから、中庭に回りこんで外側の戸から保健室に入ることにしよう。こういう時、保健委員になってよかったと思う。本来なら女子の保健委員が付き添うはずだが、彼女は、宮田は、本当にいなくなってしまったのだ。
 何気なく指令台を振り向くと、エノキダケを思わせる風貌の校長がこちらに顔を向けていた。祐一と目が合うと、おもむろに児童の列と向き合った。
「ハイ、黙祷終わり!」
 祐一は理由も分からず苛立って、やるせなく、あいつが本当にエノキダケなら引きちぎってやりたいと思った。
 保健室に先生はいないが、思惑通り、中庭に面したサッシ戸の鍵が開いていた。朝礼が始まる前まで冷房がかかっていた筈なのに、サッシを開いた瞬間にもろに熱気を吸いこんだ。直射日光がないだけまだましだが、気温と湿度は中のほうが高い。まずは窓という窓を全開にした。
「ベッド、使っていいと思うよ」
 うん、と千秋は靴を脱ぐ。
「暑いのに、集会なんかやらなきゃいいのになあ。ちぇっ......佐伯先生、もうすぐ来ると思うから」
 背の高いベッドに腰をかけ、布団を膝にかけることもせず、拗ねた目で立ったままの祐一を見上げている。いつもの溌剌とした千秋だけ知っている祐一は、ただ戸惑って言葉を探した。出てこない。間が持たなくなって出て行こうかと考えた時、「祐くん」、千秋が呼び止めた。
「ちょっと、聞いてくれる?」
 暫く逡巡したあと、ベッドを囲うカーテンを引いて、パイプ椅子を引き寄せた。佐伯先生が来るまでいたって構わないだろう。保健委員だし、外は暑い。
「これ、馬場先生にも言ってないんだけど」
 祐一は開いた膝に両腕を投げ出し、千秋の方へ体を屈めた。
「警察の人にも?」
「うん。言ってない」
 聞かないほうがいいかもしれない。しかし直感は意志にはならず、祐一はもう少し体を屈めて憮然とした千秋に接近する。
「最後に宮田さん見たの、私かもしれない」
「えっ?」
「昨日見たんだ。富士川商店の向かいの川向こう......」
 祐一は眉を顰め、「富士川商店の?」と聞き返した。
「あそこ、ひまわりが茂ってたろ?」
 うん、と千秋は頷く。
「じゃあその......ひまわりの中で?」
 うん。
「ひまわりの中に、入ってたのか?」
 うん。
「......何か話した?」
 今度は答えずに、頬を膨らませて溜め息をついた。すぼめた唇には疲れが漂っていた。ようやくこんなことを呟いた。
「私、ホントは怖かった。宮田さんのこと」
 細い指がぴんと張られたシーツに幾筋もの皺を刻む。
「去年、まだ宮田さんが学校に来なくなってすぐの頃ね、私学級委員だったじゃない。だから宮田さんち(ちか)に行ったんだ。先生に行けって言われたから。あの人、虫が好きかどうかは知らんけど、蝶をいろいろ集めててね」
「うん」
「翅をさ、クッキーの缶に、集めて。翅だけだよ?」
「ちぎり取ってある――ってこと?」
「うん。普通そんなこと、しないよね」
「じゃあ胴体は?」
「瓶詰め。胴体だけお酒とか、お酢の瓶に詰めこんであったの。ギッシリ」
 祐一は想像した。透明な瓶に翅を毟られた蝶の胴体が、ぎっしり注ぎこまれているのを。下の方は押し潰されて、白濁した体液やちぎれた細い足が溜まっている。体を曲げたもの、伸ばしたもの。目玉が外れたもの。触覚が外れたもの。少しだけ翅がまだくっついているもの。上のほうのまだ新しいのは、くねくねと蠢いていて。――たちまち想像したことを後悔した。
 ヒールの足音が聞こえてくる。保健室の鍵が開いたら、この話も終わりだ。
「何でするかな、そんなこと」
「だから私聞いたよ、何でって」
「そしたら?」
 廊下側の鍵が開いて、遠く感じていた足音が急に部屋に入ってきた。
「佐野さん?」
 カーテンが払われると、千秋の顔を薄い光が覆った。小さな黒子がぽつぽつ覗く佐伯先生の顔を見上げると、逆光のせいで暗い。口許だけは笑っている。
「有難うね、麻生くん。もういいから。大丈夫?」
 千秋はじっと佐伯先生の顔に目を向けている。
「仕方ないよ、この暑さじゃあね。横になって。お家の人に迎えに来てもらおうか」
「お母さんは、町内会の人と宮田さん探しに行ってるから......」
「ああ、そうか。家が近くだったね」
 佐伯先生は、祐一が座るパイプ椅子とベッドの狭い隙間をすり抜けて、細い腕を伸ばした。起きようとする千秋を半ば無理矢理寝かせて、足許の布団を広げて胸までかけてやると、背を向ける千秋の顔を覗き込むように体をそっと屈めた。
「宮田さんは皆が手分けして探してくれてるもの。先生も全校集会が終わったらPTAの人たちと探しに行くし......ね。きっと大丈夫だから」
 そう語りかけている間に、祐一は立ち上がってサッシ戸の外のスニーカーに足を通した。靴底は、足の裏から汗が吹き出るほど熱くなっていた。背後で白塗りの木の戸が引かれ、「先生、メグミが気分悪いって」と内気そうな声が聞こえた。

 ランドセルと背中の間に、汗を吸ってぐったりしたTシャツがへばりついている。黄色い通学帽はとっくに脱いで、右手にぐしゃりと握られている。本来なら集団下校しなければならないが、市営住宅前で分団が解散した後、祐一は今来た道を逆戻りしていた。家に帰ったところでいいことなど何もない。このまま塾へ行くつもりだ。そもそも宮田の失踪と緊急の全校集会がなければ、予定通り朝はプールで、だからもっと早くに家を出られた。
 宮田はるみとは五年生で同じクラスになった。進級時にもクラス替えはなかった。が、祐一は彼女のことをほとんど知らない。去年の春のクラス写真を見れば宮田はるみの位置におかっぱ頭で頬の肉の厚い、前髪で殆ど目が見えなくなっている女の子が映っているが、その直後から彼女は学校に来なくなった。明るい子とは思えない。千秋の話を聞いた後なら尚更だ。
 僅かに冷気を含んだ風が土手から吹いてきた。顔を上げると、土手の手前の信号機はちょうど青だった。国道から外れてしまえば、この辺りは静かなものだ。どこか開きっぱなしの窓からワイドショーのテーマ曲が聞こえてくる。歩道の右手側は民家の台所で、菜箸で鍋の縁を軽く叩いて水気を切る音が聞こえた。そうめんでも茹でているのだろう。最近昼はもらった小遣いで冷やし中華ばかり食べている。今日はもう少しお金を出してそうめん弁当にしようか。のんびり歩いていたら、信号が点滅を始めた。短い横断歩道を、それでも急ぐでもなく渡り、祐一は土手を上った。
 橋を渡る。幅の広い川は数年前の護岸工事で緑色に淀んでしまったが、それでも目を落としていると、だんだん魚の背中が見えてくる。対岸でウが一羽、翼を乾かしている。橋を渡り終える頃に羽を畳んで水面にふいと滑りこんだ。
 川を越えると区が変わる。こちら側の土手から向こうは空き地で、夏以外なら数十メートル離れた汚い竹林が見える。夏は、春先から緑の頭が土を押し割り、川辺と竹林の間を一面ひまわりが占領する。千秋が昨日宮田を見たと言っていた。ひまわりの大群と向かい合うのは橋を渡る時だけだ。だから千秋が言っていたのはこのあたりだ。
 県道に向かって体の向きを変えた時、ひまわりの茂みががさりと鳴った。
 思わず足を止めて首を捻った。大粒の種子がぎっしり詰まったひまわりが一輪、祐一を見下ろし揺れている。祐一は言ってやりたかった。どうした、太陽はあっちだぞ。代わりにまっすぐ県道だけを見て大股で歩き始めた。おおかたカラスでも飛んだのだろう。
 がさがさがさ。
 祐一に合わせてひまわりが音を立てる。
 立ち止まらないことも出来たはずだが、一瞬何かの影が体を掠めていった気がして祐一は足を止めてしまった。誰かが掻き分けて行ったのか、ちょうど祐一が歩いた数歩分、隣のひまわりが揺らぎ、止まった。
 祐一は急に、その正体を見極めたくなった。
 腰を低く落としてにょっきり生えた茎の中を覗きこんで見るも、一メートル先すら見渡すことができない。植物がこれほどまでに光を遮るものだとは知らなかった。通学帽を左手に移し替えてそっと右手を伸ばしてみる。祐一の気配を察したのか、その誰かはひまわりを揺らして奥のほうへと逃げて行った。
 腰を伸ばしてしばし逡巡した後、祐一は大きく一度深呼吸してひまわりの中へ突入した。
 ひまわりはどれもこれも祐一より背が高く、青臭い熱気があった。手を伸ばせば届きそうな所で誰かがひまわりを押しのけて行く。その方向を凝視して、祐一ももがくように茎の隙間へ足を進める。右手の指先に痛みが走った。思わず腕をひっこめると、掻き分けていたひまわりの茎が顔の真ん前まで戻って来た。一番下の花弁は祐一の額と同じ高さにあった。その花の高さを越えないように空に向かって指をかざすと、ふわふわした白い棘が数本人差し指を刺してきらめいた。気をつけないと。丸めた通学帽を右手に持ち直し、辺りを全くの静寂が支配していることに気付いた。
 何故自分がこんな所にいるのか分からなくなり、祐一はしばし呆然と口を開けた。もし今背を向けて河原に戻ろうとしたら、今まで自分が追いかけてきた何かは、今度は自分を追って来るかもしれない。
 足許から寒気が駆け上ってきて、鳥肌が立った。恐怖が口を衝く前に、目の前のひまわりを手当たり次第に薙いだ。巨大な緑の掌が、おいでおいでと揺れている。帽子をやたら振り回して前進を再開した。引き返す勇気を振り絞るより、その方が楽だった。祐一は選んでしまった。
 気配の前進もまた始まった。ほんの少し、それが小走りになった気がした。もうほとんど足許も見ない。ひまわりなんて大嫌いだ。人をじっと見下ろして。細かい産毛に包まれた茎はじっとりと湿っている。太く刻まれた葉脈はそれぞれが意志を持っている。近い将来大量の縞模様の種子になる黒い柔毛が居場所を取り合ってひしめき合っている。大きくなるのを急ぎすぎた幾つかの痩せた小ぶりの種は、もう既に地面で朽ち始めている。黄色い花弁は中央の揺籃に吊り合わないほど小さいくせに、ひっそり円形に群れる姿は嘲笑う群集を思わせる。ごらんよ、あの体たらく。駄目な奴は子供のうちから駄目な奴なのよ。将来花を咲かすのは? 生き残って、立派なオトナになるのは誰? 君かな。それとも君かな。うるさい奴らだ! 祐一を焼き殺せない太陽の代わりに、ひまわり達は巨大な銃口となって狙いを定めている。
 一瞬、セーラー服の白い裾が視界に入った。こもっていた足音がどこか広い――少なくともここよりは開放的な空間に出る。ぐっと突き出した右腕がついに空を掴んだ。出口だ! 祐一はえいっ、とひまわりを払って、広い空間へ飛び出した。
 ついに正体を見極めた。少女のポニーテールが揺れる。少女が振り向き、目が合った。そいつが驚愕で目を見開くと同時に、祐一も瞠目と共に声を発した。
「姉ちゃ――」
 パンッ! 
 ――姿が消えた。弾けとんだ。いつしか竹林にただ一人、祐一は立っていた。
「――姉ちゃん?」
 答えるものは何もなかった。代わりに風が吹いて竹の葉がさざめく。祐一の目にはつい今しがたバッチリ捉えた、恐怖に見開かれた目の強烈な光が焼き付いていた。
 前のめりに飛び出した姿勢から背中を真っ直ぐに伸ばすと、ようやく状況が分かってきた。いつも遠目に見ていた汚い竹林だ。竹は概ね痩せていて、古びて色が抜けている。倒れかけた物もある。湿って冷気を含んだ土は緩やかな斜面になっていて、視線をたどっていくと、崩れた地面の下に赤い屋根を見つけた。何もないと思っていた竹林に埋もれる方形の色彩は、十分に祐一の好奇心を刺激した。
 崩れた地面に立って見下ろすと、薄汚れた、もとは白かったと思われる壁があった。屋根が邪魔して見えないが、跳ねた泥で茶色く変色した窓ガラスも見える。しかしこんな所に窓をつけても、崩れた崖しか見えないだろうに。祐一は崖を迂回して家の正面に回った。
 屋根の大きさからそうではないかと思っていたが、やはり小さな家だった。小屋と言ってもいい。平屋建てで、トイレと風呂と、調理場と、あと一部屋あればいいほうだ。
 玄関の戸はサッシ戸だった。やはり泥水が跳ね返って乾いたガラスの向こうに、コンクリートの土間と段差、板張りの暗い廊下が伸びている。人の気配はない。は汚れ具合から廃屋だろうと見当をつけたが、念のため家の周囲を見回ってみた。まず正面。表札は見当たらない。郵便受けすらない。右手に回ってみると、崖の上からは死角になっていたが、そこは物干し場だった。ステンレスの物干し竿はすっかり表面のコーティングが剥がれて赤茶色に崩落しつつあり、実際形を成さなくなって口をあけている部分がある。その穴は指で簡単に押し広げられるだろう。近寄って手を伸ばしてみるも、とても触れる気にはなれず下ろした。竿を支える木製の台は全体的に黒ずんで、辛うじて木目を見分けられるという有り様だった。そもそも左右の高さが違う。これでは洗濯物が傾いてくっつきあってしまうと思ったら、ハンガーも洗濯バサミもないことに気がついた。家の右側に窓はなく、崖に面した壁へは狭すぎて通れない。再び正面に戻って左側を覗いてみるも、やはり窓も、勝手口もなかった。中はひどく暗いだろう。それにしても、ガスのメーターはないのだろうか。電気や水道は?
 サッシに手をかけた。開かないことをどこかで願ったがカラリと軽く横に開いた。古い水のような臭いがした。ぎりぎり通れるだけ戸を開けて鋭く体を滑りこませると、一度振り返って本当に誰もいないことを確認し、後ろ手で閉ざした。
 家中がじっくりと黙りこくっていた。サンダル一つ転がっていない土間と短い廊下の奥に木の扉がある。正方形の磨りガラスの向こうはカレンダーでもかかっているのだろう。真っ暗だ。もう一度振り返り、本当に見咎める存在がないと確認してから土足でえいと段差を越えた。
 外はあんなに暑かったのに、アルミのノブはひんやりしていた。奥に押すと、そこは崖に面した窓のある部屋だった。埃と泥を通して、崖と壁の隙間に落ちた陽光が辛うじて和室に入っている。部屋の左側の、廊下側にくりぬかれた壁へ首を曲げて立ち竦んだ。
 大きなひな壇が壁の端から端まで覆っている。本来ひな壇を覆うはずの赤い布は取り払われ、白木の肌を晒している。
 飾られている物は、大量の遺影だった。黒い額に収められた大小さまざまな白黒写真。どれもリボンが掛けられている。微笑む老婦人、満面の笑顔の少女、目を細める初老の男、幼稚園の制服のベレー帽をかぶった幼い子供。大量の遺影が、膝の辺りからほとんど天井の高さまで、祐一に視線を投げかけてくる。
 心底戦慄した。立ち竦んでも元には戻れない。
 この家はおかしい。人の住む所じゃない。家の外の朽ちた物干し竿と、今しがた回した新品同様のドアノブを並べて思い出した。細い板張りの廊下。廊下の残りの横幅を埋める一つの部屋、新品同様の青い畳、その部屋をほとんど埋め尽くす遺影、遺影、遺影。それ以外に何もない。トイレも、風呂も、台所も。そして気がついてしまった。入口の突き当たり、壁に見えた物は衝立の代わりを果たしている。本物の壁との間に何かを隠している。見ないではおけなかった。迷路に迷いこんだなら、必ず出口にたどり着かなければならない。でなければ、家には帰れない。
 後悔するかもしれない。見なければよかった、とか。こんなことをする必要などないのは分かっている。。権利も。あとはひたすら勝手に写真が動いたりなどしないようになどと妙なことを願いながら、部屋を横切った。
 隠れていたのは、二階へと続く階段だった。眩暈を感じて漆喰の壁に手をついた。そんなはずはない! しかし、階段を上り切った所には何も入っていないが書棚のような物があり、窓からさんさんと降り注ぐ太陽が光の橋を作っている。息が苦しい。震える唇から洩れる呼吸を抑えて階段に足をかける。ぎっ、ぎっ、階段は軋む。ぎっぎっぎ、どれだけ慎重に足を運んでも音は止まない。十四段あった。小窓の外には汚い竹林が見えた。崖に沿って立っているので、窓のすぐ下は地面だ。窓の向かいは、また磨りガラスの嵌まった木戸だった。
 声が聞こえて、戸を押す手を止めた。二階はだいぶ明るい。一階より空気も乾いている。その分静けさも軽いものだった。気にしすぎだろうかと思った時、もう一度はっきり幼い声が聞こえた。
『やめてよぅ』
 声が二階のどこかからするのは確かだが、随分遠くに感じられた。思い切って戸を開ききると、想像したよりも随分雰囲気が違う部屋だった。生活の匂いの残る部屋だった。畳は黄色く乾ききっている。散らかっていた。丸い卓袱台の上では茶碗と湯のみが引っくり返っている。箸が片方畳に落ちている。着物掛けから黒い着物が滑り落ち、押入れの襖が開きっぱなしになっている。無理矢理襖の向こうに押しこんだような夏蒲団が、外からの光を浴びている。止まった振り子時計、書棚から崩落した書物、まるで何かに驚いたかつての住人が飛び出していった、そのままの姿だった。
『やめてよぅ、やめてよぅ』
 再び聞こえてきた声は、先ほどのよりも切羽詰まって悲壮感に満ちていた。どうやら部屋の奥の、更に木の引き戸で仕切られた向こうから聞こえてくるようだ。散乱する小物に足を取られないよう注意深く爪先を運び、祐一は両手で戸を引いた。細長い板張りの、部屋でも通路でもない空間だった。着物をしまう木箱が人一人通れる幅を残して並べられている。突き当りには、仏壇にも洋箪笥にも似た黒塗りの箱が聳えている。声はいよいよそこからするようだ。華奢な金属の把手に指をかけ、手前に引いた。
 中で人が突っ立っていた。反射的に身を引くと、何のことはない、鏡に映った自分の姿だった。箱は姿見を収めていたのだ。ほっと息をつくと、鏡に映る祐一の背景がぐすっと崩れた。それからあっという間に祐一の姿も歪んでとろけ、漆黒の闇となる。鏡はべたべたと指の跡がついていて、黒い背景によく映っていた。闇の中から溺れる人間の吐き出す息のように大小の気泡が浮かび上がり、全て弾けた。「やめてよぅ」と幼い声を放ち、次第に明るくなってきた。
 掌の中にレゴの人形があった。大人の手じゃない。短く、ふっくらして柔らかそうだ。その手の持ち主の主観だ。
 なんだこれは。
 右手は土につけている。視界の隅でツタ植物が這っているのが見える。恐らく少女――その視線の主は左手に転がしたレゴ人形をひたすら見詰めていた。赤と黄と黒。派手な原色は執拗な視線から逃れられないが為に、次第に狂気を帯びていくようだった。
 ぎっ、と木の軋む音で祐一は現実に呼び戻された。音は躊躇するようにしばらく間を空けたが、すぐに近付いてきた。ぎっぎと誰かが階段を上ってくる。
 祐一が鏡の戸を閉ざし、それから振り返り、木の引き戸を開いたままにしてしまったことに気がついた。大股で戻って音を立てないようぴたりと閉ざし、立ち竦んだ。
 足音の主は階段を上りきり、和室のドアノブを回す。立ち竦んでいる場合じゃない。祐一は板張りの奥まで身を追いやり、潜める場所を求めて素早く辺りを見回した。和室をうろうろしていた足音は、祐一の存在に気付いたようにさっさとこちらへ向かってくる。唯一隠れる場所となり得る鏡の箱へ、しかし飛びこむ勇気を奮えずにいた祐一は、すぐ真横に積み上げられたダンボール箱と壁の隙間に、ぎりぎり潜りこめそうなコの字型の隙間を見つけた。
 ランドセルを背中から下ろし、隙間の奥にしゃがみこんで膝を抱き、盾のようにランドセルを置くと同時に引き戸がスッと横に動いた。足音の主はすぐに入って来ず、板張りの内部をじっと見詰めているのが気配でわかった。頼むから行ってくれと祐一は強く願った。
 足が板張りに踏みこまれた。裸足なのだろう、床から足が剥がれる音が湿っている。
 ぬっと人間の顔が現れて祐一を見つけた。長い前髪、おかっぱ頭、きらきらした目、叫び出しそうになった祐一は辛うじてそれを呑みこんだ。自分と同じ年頃の、女の子だ。女の子は白地に水色の線が入ったパジャマ姿だった。
「何してんの、こんな所で」
 馬鹿にしきった口調で喋りかけてきた時、祐一の脳裏を一枚の写真がよぎった。急激に記憶が鮮明になった。今年のクラス写真。この子が宮田はるみだ。
「宮田さんこそ」
 祐一は狭い空間で、恐怖を忘れて身を乗り出した。怯える姿を見られた気まずさと、全てこいつが元凶だという瞬時の決め付け、そして何より相手が宮田はるみであるという事実に怒りで満たされた。
「何してんだよ、勝手にいなくなって。みんな心配してんじゃないか」
 宮田は無視して祐一に背を向けた。祐一は立ち上がりランドセルを拾う。
「今日、全校集会があったよ。宮田がいなくなったから。先生たちも捜してるし、警察の人も捜してるし、だから」
 帰れよと言おうとしながらランドセルを背負ったのは、何かの弾みで宮田に背中を晒したくなかったからだ。その宮田は例の、鏡一枚を収めた扉を両手で開いている。
 祐一の目に飛びこんできた光景は、見覚えのある庭だった。大きな日本家屋の、白い玉石の敷かれた前庭。宮田が知っているはずのない、父方の祖父の家だ。しゃがみこんでいるのは祐一だ。黒ずくめの服を着せられた祐一は今よりも大分幼く、つまらなそうに縁側の下で蹲り、顔の前で指を動かしている。何だろう――捕まえた蝶の羽をちぎっているのだ。あっ、と声をあげると、鏡の中で影が動いて奥の座敷から喪服姿の女が出てきた。中年の女は軽く背を曲げ、祐一の行為を目撃した。
『何してるの、かわいそうに。その蝶もう飛べませんよ』
 それだけ不機嫌に言い放つと、縁側をさっさと横切って行った。
 そういえばこんなことがあったと祐一は思い出した。まだ一年か、二年生の時だ。法要で親戚が集まったけれど、親戚は誰も仲良くなかった。皆不機嫌で、祐一に構う人はいないし、坊主の読経は長い。出された料理も美味いとは思えず、つまらなくなって庭に出たのだ。
 鏡の中の祐一は立ち上がり、無残に翅が損なわれた蝶を松の木まで連れて行った。すまないと思ったのだろうか、背を伸ばして出来るだけ高い枝に蝶を乗っけた。
 宮田は振り返り、無表情で祐一を見詰めた。怯む祐一に今度は棘の詰まった嘲笑を投げつけた。それからくるりと踵を返して和室へ歩いていくと、何かごとごと音を立て始めた。遅れてそれについて行くと、フローリングの床に敷かれた白地に花模様の絨毯が目に入った。いつの間に和室ではなくなったのか、そこにはベッドもあるし、学習机もある。平均的な小学生の勉強部屋だ。宮田はカラーボックスの前にしゃがんで、紙製の組み立て式の引出しを探っていた。顔を上げて板張りからぼうっと見ている祐一に、おいでよ、と言った。
 少し離れて立ったまま丸い背中を見下ろしていると、宮田は立ち上がり、戻って来た。涼しげな水色の菓子の缶を両手で差し出された。嫌な予感を感じながらもどうしようもなく受け取り、手中に移った缶に目を落とした。一辺が三十センチばかりの正方形だ。『涼水菓』と書いてあるところを見ると、水羊羹かゼリーの缶だろう。宮田はどこかに行ったと思ったらすぐに戻って来た。宮田の方が少し背が高い。見下ろす祐一が何もしないでいると、自ら手を伸ばして蓋を取った。
 蝶の翅は見事にきれいに切り取られていた。銀色に光る缶の内側を八分目まで満たしている。小さな黒斑を持つモンシロチョウの翅があれば、淡い黄色に多くの黒い線が走る大きなアゲハの翅もある。黒地に暗い青の入ったやや小ぶりなのはアオイロアゲハだ。祐一が知らない種類のものもある。
「蝶、が、好き、なの?」
 宮田が黙ったままなので、辛うじて愛想笑いを浮かべて祐一は話しかけた。だが宮田は、唇を吊り上げて、「大嫌い」と言うのだった。
「私のお兄ちゃんね、蝶について行ったんだって。ここに引っ越してくる前。ずっと前。私が小さかったから、お父さんはお兄ちゃんだけ連れておじいちゃんの家行って、蝶を捕まえに行って、そのまま」
「事故かなんかでってこと?」
「だからぁ、蝶について行ったの! 頭悪いなぁ」
「いや、だからそのお兄さんは――」
「まだ捕まえらンないの」
 ――つまり、こうか。蝶への虐待行為を、恐らくはいもしない兄への思慕に託して正当化しようって寸法か。
 そう結論付けると、祐一の恐れは一気に白けた。
 宮田と目を合わせた。祐一が無表情なのでつまらないからか、反感のこもった目をしている。
「あんた、これからどうするの?」
 それは祐一が聞きたかった。祐一は缶を宮田に突きつける。
「俺は塾へ行く。これ、佐野さんにも見せたんだろ。佐野さん嫌がってたよ」
「フン」宮田はまた鼻を鳴らした。「バカな奴」。
 それは祐一に他言した千秋に向けられた言葉なのか、それとも千秋を始めこれを見た他の連中と同じ反応をした祐一に向けられたのかは判然としないが、いずれにしろ祐一は頭に来た。缶を胸の辺りまで持ち上げて、二人の爪先の間に叩き付けた。缶は絨毯の上で少しだけバウンドして、翅をこぼした。
「いい加減にしろって!」
「何すんのよ!」
 宮田は膝をついて蝶の翅を一枚一枚慌てて拾い始めた。その姿は、勉強をしないものだから、ついに親にバトルアニメのカードを捨てられた小学生が、血相を変えてゴミ箱からかき集めている姿を連想させた。まだ母親が姉を連れて出て行く前の祐一の姿だ。湧き上がる後悔を、目に力をこめて睨みつけることで抑えた。
 まだ全てを拾いきらない内に、顔を上げて鋭く睨みつけてきたかと思うと、宮田は素早く立ち上がった。
「出てってよ」
 無意識の内に後ずさった祐一に宮田は掴みかかってきた。
「出てけ、馬鹿!」
 それを祐一がかわすと、背を向けて部屋の入口まで走り、窓際から透明な酒瓶を掴んで向かって来た。白っぽい紐状の物ぎっしり詰まっている。蝶の本体であることはじっくり見るまでもなく理解できた。
 瓶を振りかざし、宮田は祐一を追いまわしながら喚き続けた。
「バーカ! バーカ! おまえなんか、おまえなんか――」
 広い室内を逃げ惑いながらその形相を直視する勇気も余裕もないが、もう彼女が正気だとは思えなかった。祐一は学習机の椅子を引いて、宮田にぶつけようとした。宮田はもう、帰ってこないほうがいいかもしれない。レバー式に代わったドアノブに手を伸ばし、掴む直前、襟首を掴んで引き戻された。何が何だか分からぬまま首筋に衝撃を受ける。もう一度。もがきながらも出来る限り首を曲げ、状況を確認した。宮田が逆さにした瓶の口を上下に振っているのだ。素肌とTシャツの間に、毛の生えた物が滑り落ちた。もう一度衝撃。翅をもがれた蝶の大量の死骸が祐一の素肌になだれこむ。
「――狂い死ね!」
 宮田の哄笑が聞こえる。腹の底から悲鳴をあげ、無我夢中でランドセルを下ろし、振り回し、服をばたばたはたいて蝶を振りまく。後のことは覚えていない。
 いつもの土手で記憶は再開する。破裂しそうな心臓の鼓動が体の中から聞こえてくる。全身汗で濡れきっているのに、体の芯から震えがくる。膝に手をついて喘いでいると、腰のあたりで何かがもぞりと動いた。背中に腕が伸びた。ジーンズと背中の狭い隙間に指を入れてみる。柔らかいものを掻き出すと、砂利の上に落ちた蝶は、まだ生きて蠢いていた。
 悲鳴をあげて祐一が走り去った後には、太陽と砂利の間に無残な命が残される。蝶はそれから暫くの間体をくねらせていたものの、本来の姿を取り戻すことは叶わず、夏の陽射しに炙られながら、死んだ。



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■講評

つ…疲れた…。
えらく文章が詰まっている所為か、すこぶる読み難かったです。
ごめんなさい。
筆力のある著者様かとは思うのですが、どうも私の肌には合わないようです。


名前: PM ¦ 19:46, Saturday, Jul 18, 2009 ×


 非常に丁寧に書かれていると思います。
 怖い。

 残念ながらなんの展開もないまま、怪奇な現象に遭遇しただけで終わっています。
 また、終着点がはっきりしないため、そこにたどりつく道のりも何が必要で何が必要ないのかが絞り込めていません。
 その辺を整理できてきたら良くなると思います。

【アイデア】0、【描写力】+1、【構成力】0、【恐怖度】+1

名前: ユージーン ¦ 21:35, Wednesday, Jul 22, 2009 ×


・アイディア±0
「姉ちゃ――」や姿見は小ネタとして面白いと思ったが、メインと思われる宮田はるみなどにインパクトを感じなかった。悪くはないと思う。「――狂い死ね!」からの展開は、少しテンプレに頼ってしまった印象。
・描写と構成+1
 描写は、全体からじめじめとした雰囲気が伝わってきて良いと思う。長い文章を読ませる力があると思った。また、段落ごとの長さの所為でだらだらしているように見えるが、場面転換のテンポは実はいい。
 短編を期待して読んでいた初読時、冗長に思えてかなり低評価だったのだが、長いのを覚悟して再読してみると、それほど悪くはなかった。しかし、こここそ、この作品の最大の弱みで、作風が理解されていないと読者に途中で放り出される羽目になると思う。
 細かいこと。「宮田さんち(ちか)」とは何ぞ? 「は汚れ具合から廃屋だろうと見当をつけたが、〜」主語付け忘れ? 前の文にかけているのなら、分かりづらいと思う。 「こんなことをする必要などないのは分かっている。。」。が一つ多い。
・怖さ±0
 少年の一夏の青春体験(ホラー仕立て)、といった不思議な雰囲気はあるが、訴えかけてくるような怖さは感じない。
・買っても後悔しない魅力±0 傑作選を買った結果、手に入るなら構わない。しかし、単品で積極的に手に入れたいかと問われると微妙。アイディアのインパクトの薄さが原因。

名前: わごん ¦ 22:33, Tuesday, Aug 04, 2009 ×


アイデア 0
恐怖 0
とにかく読み疲れた・・・ -1
根性 2

とにかく読み疲れました・・・orz
PC画面では読みづらかったので、わざわざプリントアウトして拝読させていただきました。
これは決して長さの問題ではないと思います。長くても魅力に引き込まれて読みやすい文章は沢山あるからです。細部まできっちり描かれているのは良いのですが、余分な説明と過剰な書き込みが話の筋を見えづらくさせてしまっているのです。物語には必要な説明と魅力的に見せる描写があると思うのですが、この作品の場合すべて逆効果になっている気がします。それと形容の仕方や表現の仕方が適当でない箇所が随分多く見受けられたので、不自然な感じを受けました。
たとえば「エノキダケを思わせる風貌の校長」の「エノキダケ」って何?どんなの?剥げ頭の丸顔か??っていまいちピンと来ないし、「黒子がぽつぽつ覗く差益先生の顔」って黒子ぽつぽつとかいらんやろう!って思ったりするんです。それと物語が次の場面に展開するのもやたら長くダラダラ続いている感じがして、ダレてしまうんですよね〜。
たとえば、主人公の祐一君が最近冷やし中華ばかりだからもう少しお金を出してそうめん弁当にしようとか、お昼のことを考えている記述なんかはまったくもって余分な感じがするんですよね〜。
それとタイトルは「向日葵」で良かったのかしら?
向日葵は物語の舞台のワンシーンであって決してタイトルにはなりえない感じがするんですよね。もうちょっとタイトルに工夫できんかったかしら??恐怖、蝶裂き少女とか??
蝶の羽を%uE68DA5ぐ宮田の残忍な感じは怖かったのですが、後半で出てくる廃屋みたいな家の中の遺影だらけの描写なんかはちょっと怖がらせようとして狙って失敗しているような気がします。不自然なんですよね。
そしてラストがこんだけ長く読ませておいて夢オチとも幻とも思えるという何じゃこりゃみたいな感じでガックリしました。
凄いドンデン返しとか、ショッキングなラストであれば読んだ甲斐もあったぜ!と思えたのですが。。。
しかし、これだけ細かく長く書けるのはある意味凄いと思いますので、その根性は評価させていただきたいとおもいます。

名前: 妖面美夜 ¦ 00:48, Wednesday, Aug 05, 2009 ×


不気味な情景を畳みかける重厚な描写で表現し、なかなか読ませてくれました。
ただ、主人公が小学生なのに、心理描写などが年齢不相応に重厚すぎて首を捻るところが多々あったのが残念です。

アイデア  0
文章    1
構成    0
恐怖度   0

名前: 鶴の子 ¦ 20:55, Wednesday, Aug 05, 2009 ×


目的地が何処か判らない船に乗っているような作品。焦点が合わず、連続性に欠け、設定のみが先走り、解決に至らない。そう思わせるのは、あまりにも余分な語句や、あらずもがなの描写、早めに切り上げるべき場面で膨れ上がっているからではないでしょうか。
自信のある書き手は、饒舌ではないと思います。
力のある作者さんだと思いますので、あえてキツイ講評を。

発想・0 構成・-1 文章・-1 恐怖・0

名前: 三面怪人 ¦ 14:20, Thursday, Aug 06, 2009 ×


怖かったです。とにかく出だしから怖くて、最高でした!
作品に漂う湿気感が素晴らしい。太った先生の饐えた体臭とかランドセルと背中の間の汗とか、とても気持ち悪くて素敵です。
レゴや涼水菓のカンなど郷愁を感じさせるアイテムの使いどころも、ツボを突かれて快感でした。

ラスト、宮田が翅を拾い集めるあたりから最後の行まで、あんまり怖くて気が付いたら息を止めていました。鱗粉が漂ってくるような気がして、すさまじかったです。

*文章+1 *描写+1
*恐怖+1 *雰囲気+1

名前: げんき ¦ 20:26, Sunday, Aug 23, 2009 ×


まずはこの長さを書ききったことに敬意を表します。
ただ、こんなに長さの必要な話かな?とは思います。主人公の心理描写(ひまわりへの憤激)などが冗長に感じられ、恐怖がぼやけたように思います。

名前: もりもっつあん ¦ 23:19, Wednesday, Sep 09, 2009 ×


全体的に書き急いだ印象が……。
投稿された時期的に、一番乗りを狙ったのかな? 全体的に甘いです。

名前: あおいさかな ¦ 21:52, Friday, Sep 18, 2009 ×


全体的に書き込み過ぎた印象があります。
書籍などでは、これくらい詰まった文章でも気にならないかもしれないですが、やはりWEB上でこれだけビッシリだと読みにくいです。
もう一つ読みにくかった原因としては描写の過多が挙げられます。
例えば>勉強をしないものだから、ついに親にバトルアニメのカードを捨てられた小学生が、血相を変えてゴミ箱からかき集めている姿を連想させた。などは、ああ、こういうことあるな、と凄く共感した描写なのですが、こういった描写が余りにも多過ぎて、逆に話の流れが見えにくくなっているように思いました
ラストも幻想怪談だったのか、サイコ怪談だったのかよく分からなかったです。

名前: 水本しげろ ¦ 19:27, Saturday, Sep 19, 2009 ×


これはまた、気合いの入った文章ですね。
重松清氏の新聞連載小説がいつの間にか幻想小説に乗っ取られたような、そんな感じを受けました。

最後まで読み切った感じとしてはまあまあだったのですが、時間的な経過が乏しい中でこれだけの文章が詰まっているのと、めぼしい事件があまり起こらないのが作品の長さに比して辛いところかなと思います。
ちゃんと最後も結末らしい締めになっているのは良いと思うのですが、やっぱり作中で起こる出来事に対して文章量が釣り合っていない点で厳しいような気がします。

これなら思い切って、ざくっと刈り込んだ話でも良かったと思いますよ。
ここだ!と思われる場面を選り抜きで構成されれば、引き締まった掌編になりそうです。
思い入れのある文章に手を入れるのは難儀かもしれませんが、ぜひ頑張って下さい。

構成力・−1

名前: 気まぐれルート66 ¦ 00:53, Tuesday, Sep 29, 2009 ×


恐怖 1.5
雰囲気 1.5
他の方も書かれていましたが、ジュブナイル的な印象を強く感じます。少し昔の、日本の田舎を舞台にした幻想小説、と言えば良いでしょうか。蝶の羽の美しさと、それをむしられた姿になった際の蝶の不気味さと悲哀とが、少年の目を通じてとても細やかに描写されていたと思いました。

名前: 白長須鯨 ¦ 19:37, Wednesday, Sep 30, 2009 ×


印象的な作品です。ただ何がどうなってしまったの?と、ちょっと分かりませんでした。

名前: 読書愛好家 ¦ 16:02, Thursday, Oct 01, 2009 ×


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