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よみ孵り
 台所の窓ガラスが割られたところまで鮮明に覚えている。美和はまだ六歳の沙也香を抱えて奥の寝室に逃げた。ハンドバッグに車の鍵の有無を確かめ、それからどうしただろう。忘れた。ただ凄まじい恐怖の感情だけが消え残っていた。きっと自ら記憶を消してしまったのだろう。――平和な我が家を貪りに来た、あの巨大蝿の記憶を。
 夢を見た。
 テレビを見ていた。二本のアンテナが頭に立った白黒テレビ。アナウンサーはふざけた口調の若い男で、寂れきったゴーストタウンの通りをカメラが延々と収めていた。
『ここに昔ね、工場があったんですよ。でも空襲で燃えちゃったの。地元の婦女挺身隊が消火に当たったんですけどねぇ、かわいそうに、見捨てられて焼け死んじゃったんですよ。三十人。その前は紡績工場があってねえ。結核が大流行した時にも女工さんたちが無理矢理働かされて死んじゃったんですよ。三十人。それきり男に祟る土地でね。ほらここですよ。この家です。三十人目の男が食い殺された家! いやぁー、陰気な家っすねえ。それにこの攻撃的な空気。まるで繁殖期の女郎蜘蛛じゃありませんか!』
 目を覚ましてみれば、正にその陰気で攻撃的な家に倒れていたわけだ。
 覚醒のきっかけは、車のドアの音だった。大きさのある車のようだと、その音で思った。走行音が去ってから佐多美和は身を起こした。二階建ての家屋の二階部分で、窓の向こうに立ち木の梢が見えた。男物の衣服が脱ぎ散らかされた乱雑な洋室だった。夢で見た家だと気付いたのは、隣に倒れた娘を叩き起こし、ハンドバッグに腕を通して家を出てからだった。

 ......雪が降っていた。
 呆然と立ちつくしたまでいることに、美和は気付いていなかったが、その寒さで我に返った。枯れススキのような色の雲から粉雪が落ちてくる。どうして今が冬なのか理解できなかった。美和は民家に相対して沙也香の肩を抱いていた。玄関のポーチに何か巨大なものを燃やした跡があった。
「......ママ、寒いよ」
 快活な性格の沙也香が、泣き出しそうに呟いた。二人は春物の衣服を着ていた。
「ママ、ここどこ?」
 その時になって、美和は娘の顔を見た。瞼はまだ眠そうに垂れていて、眠気のせいか、不安のせいか、赤く充血していた。柔らかな頬は赤くかじかみ、美和は思わず自分の下腹部に沙也香の顔を押し付け、抱きしめた。
「大丈夫よ。大丈夫よ沙也香。あっちへ行きましょう」
 沙也香は半袖一枚で、美和は何か着ているものを脱いでかけてやりたかった。あいにく彼女も一枚しか服を着ていなかった。それにこの寒さでは自分が参ってしまう。早く雪をしのげる場所へ急ぐ必要があった。車の音がしたということは、人がいるということだ。走行音が去った方向へ、沙也香の手を引いて歩き出した。
 行けども行けども、道沿いの家は暗く、人の気配はなかった。
 山肌に農協の平たい建物が見えたのは、十分も歩いてからだった。
「ママ」
「さっちゃん! あそこに『おじゃまします』しましょ。もう少し頑張って」
「......うん」
 可哀想だと思ったがそれでも、美和は足を速めた。
 建物に一歩近付くたび、期待は焦燥に、そして失望に変わっていった。目指すそれもまた打ち捨てられた家々と同じ荒廃を醸し出していた。
 それでも美和は初めて見つけた目標物を諦めなかった。
 国の定めたガイドラインで、公共施設はいつでも避難者のために建物を開放することを求められている。
 ――お願い......
 一歩ずつ、駐車場を踏みしめながら、金網入りの玄関のガラス戸を睨みつけた。
 ――開いて!
 錆びの浮く四角い取っ手を、体重をこめて奥へと押した。
 そしてドアは――開いた。

「沙也香! これを着て!」
 数分後に暗いロビーに戻ってきた美和は、農協スタッフの青いジャンパーを腕に下げ、車の鍵を手に入れていた。沙也香は眠さのせいか、疲れか、ひどく緩慢な動作でそれに腕を通した。
「沙也香、ここの場所が分かったよ。千葉県よ。分かる?」
 余った袖をまくってやりながら、美和は興奮した口調で喋り続けた。
「おじいちゃんのお家があるところ?」
「そうよ。お祖父ちゃんの家に行きましょう。ね、お祖父ちゃんがきっと助けてくれるから」
 おじいちゃんっ子の沙也香はようやく表情を緩め、深く頷いた。
 夫の実家との関係について悩んでいる友人たちはいる。しかし美和の義父の佐多篤行は穏やかな人格者だった。幼い頃父をなくした美和は、成婚前まで実の父ように篤行を慕ったものだ。篤行もまた、彼女を快く受け容れてくれた。
 駐車場に残された車を一台一台あたってみると、事務室で手に入れた鍵はワゴン車のものだった。外より寒い車内には、長年の利用で染み付いた堆肥の臭いがまだ残っていた。
 娘にシートベルトを掛けさせて、鍵を回した。
 難なくエンジンが動き出した。
 ガソリンが満タン入っていた。義父のいる村までとなると不安だが、それを振り切るようにアクセルを踏みこんだ。
 
 小一時間も経った頃には、目覚めた町より更なる田舎の町を走っていた。道の両脇を里山に挟まれ、その山の方へ目を凝らせば数件の民家が張り付いている。たまにコンビニの看板を見つけたと思ったらこの先二キロと書いてある。見つけた件のコンビニも、車を停めるまでもなく、とうに廃墟と化していた。
 美和の心は、また新たな不安によって占められていた。
 これじゃあ、義父のいる村も......。
 いいや、まさか夫にも自分にも黙って家を移したりしない。信じる気持ちと反対に、美和の心拍は高まるばかりだった。隣では安心した沙也香が眠っている。たとえ行く先に誰もいなくとも、この子を守ってあげられるのは自分しかいないのだ。
 そして車道は夫の郷里へ続く、最後の山に差し掛かった。
 田舎の小汚い山道でさえ、普段は自治体がちゃんと管理してくれているのかと、美和は思い知った。ただでさえ狭い道に、今は張り出した痩せた木々の腕が天井を作り、雪を遮っていた。流れ出した土と秋からそのままの落ち葉がアスファルトを隠していた。ワイパーを止めた。それだけで、世界中が沈黙した。この車の走行音だけが、生命の証だった。
 そういえば目ざめた時にも走行音を聞いた。
 あれは、どこに行ったのだろう。あの時は確実に人がいたのに。
 何かとんでもない過ちを犯したような絶望がのしかかってきた。
 あの車を探すべきだったんじゃないか。自分の行く末に本当に人がいるのか、今では自信がない。
 再び、心拍が徐々に走り出す。
 もし、この悪い予想が当たっていたら......ガソリンは尽きる。山間の小さな村で、私たちは行き場を失って、死ぬ......。
『その通りですよ!』
 美和は思わず悲鳴をあげた。
 同時にノイズと人々の喧騒がカーラジオから迸り出て来た。美和は目も口も丸く開いて、喘ぐように呼吸をした。ラジオが壊れていたのだ。それがいきなり点いただけだ。
『ニホンいま冬デス! 蝿おとなしいデス! でもね私たちの国ちがうですよ。南半球、夏ですよ。人いっぱい殺されてマスよ!』
『待って待って待って。だからぁ、そういう日本に全部責任押し付けようっていう考え方がね、まず間違ってんのよ』
 わぁ、と賛否の怒号がその声を遮った。
 ――くだらない。この期に及んでまだ責任の押し付け合いをしようというのか。
『そうデスよそうデスよ、確かにニホンだけ、責任じゃない。でもベルゼブブ、ニホンで来た、海越えて、ニホンからボクの国も来た。ボクのお母さん、殺されまシタ! 避難所に逃げおくれテ、ボクが帰国する直前に死にまシタ!』
『それは分かるよ! そりゃ否定できないよ。でもぉ、――』
 この番組の出演者は全員馬鹿だ。今は蝿どもの猛威が世界中に蔓延して、どの国も一致団結してことに当たらなければならないというのに。現に日本だって大陸から渡ってきたスーパー蝿の一群が――。
 点いた時と同じように、唐突にラジオが切れた。
 ――えっ?
 その時美和は恐ろしいことに気付いた。その壮大な矛盾に。
 ――今何て言った? 日本がベルゼブブの発祥地......?
 車を停めた。
 違う。そんなはずはない。あいつらは中国だかインドだかでたしか生まれたはず。日本に来ているのはその下っ端部隊だって、テレビも夫も言っていた......。
 美和は眠り続ける娘の膝から、預けていたハンドバッグを取った。カード入れの中に、その証拠が入っている。雑誌の記事の切り抜きだ。そこに自慢の夫のインタビューが乗っている。いち早くスーパー蝿対策に乗り出した企業の、企画部長としての――。
 なかった。
 運転免許証の後ろに確かにしまったはずなのに。その免許証を取り出したとき、ラジオとは比較にならない衝撃が美和を圧迫した。
『田所美和』
 自分の顔、自分の住所、その横に、赤の他人の名前が記されていた。
 自分の夫は佐多義文だ。田所なんてしらない。
 いいや、一つだけ心当たりがある。夫の同僚だった。何度か我が家に招待したことがあるから彼のことは知っている。陽気でまっすぐで、よく笑う男だった。もし今の夫より先に出会っていたら、この男と結婚していたかもしれないと、思える男だった。だが......。
「さっちゃん! さっちゃん!」
 美和は助手席に身を乗り出して、沙也香を乱暴に揺さぶった。
「さっちゃん、起きて!」
「......うん......ママ......?」
「ねえさっちゃん、大きなムシさんたちはどこから来たの? パパから教えてもらったよねぇ? テレビでもやってたよねぇ?」
 幼い娘は不機嫌を隠そうともせず、当たり前のことをつまらなさそうに答えた。
「中国か、インドでしょ? 学校でも習ったよ?」
「ねえ、さっちゃん」
 安堵と困惑を同時に抱えながら、美和は無理矢理笑みを作った。
「自分とママの名前、言える?」
「佐多沙也香だよ。ママは佐多美和でしょう? ママどうしたの?」
 沙也香の顔に、巨大な影が落ちた。
 生木を叩き折る豪快な音が、車外から降ってきた。
 沙也香が瞳孔を開く。
 一秒程度の一連の動きが、永遠のように美和の意識に刻みこまれた。
 その重量がワゴン車に襲い掛かったのは、次の瞬間だった。
 瞬時に二人の悲鳴が車の中を満たした。運転席の窓の外に、まるまると肥えた節だった蝿の腹がへばりついていた。
「さっちゃん! 目を閉じてなさい!」
 そう叫び、美和はアクセルを思い切り踏んだ。道が滑るとか、そういう心配をしている場合ではなかった。走りながら美和は何度も車体を振ったが、窓一枚隔てた先の蝿が剥がれ落ちる気配はなかった。それどころか繊毛に覆われた足を悠々と動かして、フロントガラスの上部から真っ赤な目を覗かせた。
 バックミラーが新たな蝿を映し出したのはその時だった。
 今度は後部からの衝撃が、前進する車を前に押し出した。
 辛うじてカーブを曲がりきる。
 膝に顔を押し付けていた沙也香が、ついに大声で泣き出した。
 その声を、鉄を噛み砕く音が掻き消す。
 運転席側の角の天井が噛み砕かれていた。
 ああ、そうだ。途切れた記憶を埋め尽くした恐怖。あれはこれと同じものだった。
 後ろに張り付いた蝿の重みで、もう振り切るだけの速さはとても出せなかった。それでもアクセルを踏んだまま、終わりだ、と美和は思った。
 義父が不在でもいい。今死なずにすめばいい。
 田所美和でもいい。今死なずにすめばいい。
 巨大蝿の発生地がどこだろうが、そんなのは何の関係もない。それに食われて死ぬのならどこ産でも同じではないか。
 美和は叫んでいた。愛する沙也香の名を。せめてこの子だけは逃がしてやりたいが、それも叶いそうになかった。
 直ちに穴が広がって、下品な足が差しこまれることを覚悟していたが、一向にその時間は訪れなかった。
 進行方向の空に黒い一群が見えた。それは不定形な空飛ぶ絨毯のように、こちらへ向かってくる。
 ふと車体が軽くなった。
 天井の蝿が車を捨て、そちらに向かったのだ。
 驚いている間に後ろの蝿も離れた。
 美和も、いつの間にか沙也香も、停止した車の中でそれを見た。
 黒い一群は蝶だった。それが雪雲を背景に、二頭の巨大蝿を覆い尽くし......撃墜された蝶達は、ぽろぽろと森へ落ちていく。
 一頭の蝶が蝿から離れ、ひらひらと二人の車へ向かってきた。
 とても、とても綺麗な、黒揚羽蝶より深い黒色――。
『今の内に逃げて!』
 男の子の声が直接頭の中に響いた。
 反射的に美和は車を走らせていた。

 森と村の境界線を示す庚申(こうしん)塚まで来たとき、ガソリンメーターはついにゼロを差した。まだ走れそうだが、車を停めた。見下ろす平地には雪が積もり、村々の家には優しい光が点っていた。
 対虫ボンベを背負った村人たちが数人、坂道をこちらへ向かってくる。
 あまりの出来事に、美和も沙也香も言葉を失っていた。半ば放心して見詰める庚申塚は、数年前に来たときと違い、真新しい注連縄が巻かれ、大仰なほどの供花がその周囲を埋め尽くしていた。
 村人たちがすぐ近くまで来て、美和は覚悟を決めた。
「沙也香。ママの言う通りにしなさい。いい? ママの名前は田所美和。あなたは田所沙也香。大きな蝿の発祥地は日本。ここにいるのはお祖父ちゃんによく似ているけどお祖父ちゃんじゃないの。初めて会う人よ」
「どうして......?」
「どうしてもこうしてもよ!」
 滅多に降り注ぐことのない母の怒りに、沙也香の小さな体が震えた。哀れんでいる余裕もなく、沙也香をせかして車を降りた。そして自分から村人たちに歩み寄って行った。
 その中に、佐多篤行の姿もあった。今すぐ走り寄りたかった。しかし佐多の自分を見る目は――かわいそうな他人を見る目だった。
「蝿に......」沙也香の腕を引っ張りながら、美和子はよろめきながら話しかけた。
「蝿に襲われたんです、山道で、そしたら蝶が......」
 村人たちは沈痛な面持ちで二人を取り囲んだ。誰かが上着を脱いで肩に掛けてくれた。別の誰かが慰めるように、背中を叩いてくれた。
「そりゃあ災難だったねぇ、どこから逃げてきた?」
「東京......」
「あなた、詳しい話はあとにしましょうよ。まずは落ち着いていただかないと、ねぇ?」
「この村におれば安全だ。ここは、蝶神様に守られておる」
 老いたが健康そうな農夫が言った。励ますような断定口調には強い自信があった。
「蝶神様?」
「黒い蝶の群れに救われたのだろう。あれが蝶神様だ。儂の孫も、あの群れの中におる」
 見詰め返す美和に、こう続けていった。
「孫は十二歳のときに、蝶神様の仲間入りを果たした。それは尊いことだ......」
 言葉とは裏腹の寂しさが声に滲んでいた。
 蝿に立ち向かった勇敢な蝶達は、いくつもいくつも続けて森へ落ちていった。その光景も、この老人は何度も見ているのだろう。
 ――きっと生きています......。
 美和は心の中で老人を慰めた。逃げるようせかした優しい少年の声は、まだしっかりと覚えているし、この先も忘れることはないだろう。
 隣では佐多篤行が、腰を屈めて沙也香に話かけていた。
「お譲ちゃん、怖かったねえ。でももう大丈夫だからね。お譲ちゃんはなんていうお名前かな......」
 沙也香はみるみる顔をあからめて、わぁっ、と泣き出した。
 その時初めて美和の目にも、熱い涙が浮かんだ。



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文章は巧い。ただ、これも種の続編を読まされたような感じである。続編が悪いとは言わないが、一話完結の単独作品と考えた場合、この作品は遺伝元の設定をそのまま持ち込んでいるために、遺伝元の情報無くしては作品が成り立っていない。一話だけを切り離して読んだ時に .. ... 続きを読む

受信: 03:08, Monday, Jul 27, 2009

■講評

文章に読ませる勢いと力があって結構楽しめました。他作品を自作品に取り込む部分もシームレスでなかなか上手いと思いました。
ただ、その反面で幾つか気になる部分もあったのがとても残念で、長くなりますが以下に書かせていただきます。

「よみ孵り」単体で読むと、作品の背景や今何が起きているかを過不足なく想像するには少ししんどいのではないかと思います。他作品との連携の上手さは先に書いたとおりですが、単体で独立した話として成立させるには、あと少しの配慮がほしかったところです。
また、後半に入ると結末に向かってかなり早いペースで話が進みますが、前半のスローさに比べると人物がとても理解力に長けてしまい、結果的には作者の都合で無理矢理動かされているように感じました。特に蝶神様が出てきたところは、やや唐突でした。

書かれる文章は読みやすく、感情移入もしやすくて良いのですが、この文章で無理なく語りを進行させるには、作品全体が倍以上の分量でないと適していないのではないでしょうか。逆にもし作品をこの分量で収めるのであれば展開の遅い前半を中心に削ってテンポ良く進め、後半に必要な情報を若干追加された方が良いと思います。
展開と文章の配分が一致すれば、もっともっと作品を面白くできるだけの力を持った方と見受けますので、次回作に期待しています。

アイデア・1、描写力・1、構成力・−1

名前: 気まぐれルート66 ¦ 13:19, Sunday, Jul 19, 2009 ×


文章は非常に上手いですね。
後半の加速具合がお見事でした。
しかしながら、遺伝元(と言い方しても大丈夫かしら?)に寄りかかり過ぎている感があり、この話単体で読むと、各要素が唐突な印象を受けます。
また、元の話の裏話的な感じになっていて、この話自体で新たな展開が小さいのもちょっと寂しく感じました。
文章の上手さ故に、読む内に期待が高くなってしまったのもありますね。


名前: PM ¦ 19:19, Monday, Jul 20, 2009 ×


 非常に丁寧に書かれていて雰囲気はありますね。

 お話としては展開もオチもなく、最初のネタフリもどういうつながりなのかちょっとわかりませんでした。
 もうちょっと整理する必要がありそうです。

【アイデア】0、【描写力】+1、【構成力】0、【恐怖度】0

名前: ユージーン ¦ 22:09, Wednesday, Jul 22, 2009 ×


蝶神様に 1
描写力 0
構成力 0
恐怖度   0
非常に文章力がおありなのだと思いますが、私は読むのがしんどかったです。
ハリウッド映画のような展開で映像にしたら迫力あるのでしょうが、文章にすると少々漫画的展開にも感じられます。それぞれの人物の繋がりや関係性が理解しずらく、物語にのめりこめなかったかなあ…。
ここで救世主的蝶神様が出てきた所は面白かったですが…。蝶神様を切り口に展開していくとまた新たなストーリーができそうで期待します。

名前: 妖面美夜 ¦ 16:37, Wednesday, Aug 05, 2009 ×


どうもこの作品を単体として読むと、お話の全体像がもやもやとして分からない感じがします。
上流作品を読んでようやく腑に落ちるのではないかと。

アイデア −1
文章    0
構成    0
恐怖度   0

名前: 鶴の子 ¦ 20:59, Wednesday, Aug 05, 2009 ×


独自の世界観を持つ遺伝元に継いだ作品であり、勢い読者は遺伝元の世界観に浸ってからでないと、この作品にも入れない。
文章は大変に整理され、読みやすい。その力量があれば、話の流れを損なうことなく、遺伝元を盛り込むこともできたのでは。

発想・0 構成・0 文章・1 恐怖・0

名前: 三面怪人 ¦ 16:24, Thursday, Aug 06, 2009 ×


・アイディア+1
 その分遺伝元の設定を生かしているとも言えるが、この作品独自の設定がパラレルワールドに迷い込んだ母子だけというのは、やや普通で少ないかと思う。プラスにはしたが。
・描写と構成±0
 可もなく不可もなく。場面転換がややぎこちなく、最初の夢や覚醒の部分は、よく読み直さないと伝わってこないように感じた。
・怖さ±0
 白黒テレビやラジオなど、怪奇な描写を積み重ねて恐怖を演出しようという書き方は良かったと思う。が、蝿に襲われている途中で蝶神様が出てきて母子が救われてしまったのが残念。そこで怖がる感情にリセットがかかってしまった。この作品の見せたいオチは、後のお祖父ちゃんが他人になっていた絶望感だとは承知しているが、リセットの所為で、そこにもいまいちのめり込めなかった。上げてから落とす、というのとはちょっと違っていたと思う。
 ここから先は差し出がましい口出しになるが、蝶神様は間に合わず母子瀕死→辛うじて助けられお祖父ちゃんに看取られる→家族として声をかけて欲しいのに他人の態度を取られて絶望と悲哀を覚えつつ死んでいく、という展開なら、もう少し絶望的になったのではないかと思うが如何か?
・買っても後悔しない魅力±0 可もなく不可もなく。

名前: わごん ¦ 18:55, Sunday, Aug 09, 2009 ×


文体がとても好みです。親子がなんとか助かって欲しいと願いながら読みました。それだけにラストの、命は助かったけど祖父から「なんていうお名前かな」と言われたくだりが効きました。
長編の序章といった感じで、もっと続きを読みたい魅力があります。

*文章+1 *ラストの絶望感+1
*恐怖−1

名前: げんき ¦ 20:56, Sunday, Aug 23, 2009 ×


他作品とのつながりを強く意識した話ですね。
ただ、巨大蝿、記憶の書き換えといった怪異、そのそれぞれの恐怖や絶望を描ききれていないように感じました。
母親の愛情および開き直りには感動しました。

名前: もりもっつあん ¦ 23:28, Wednesday, Sep 09, 2009 ×


これが悪いという点はない。かといってこれが良いという点もない。
マンティスの祈りから「死んだ妻と娘」を持ってきた着眼点は面白いと思うけどね。

名前: あおいさかな ¦ 21:58, Friday, Sep 18, 2009 ×


遺伝元の設定を上手く引き継いでいるのですが、この作品単独ではちょっと理解できないかも知れないですね。並行世界がこの作品の柱になっているため、仕方ないといえますが、遺伝元の続編、アナザーストーリー的な話になってしまったため、独自性は感じられませんでした。リレー形式なら良かったかもしれませんが、遺伝システム的にはオリジナルな部分がもっと欲しかったです。

名前: 水本しげろ ¦ 20:18, Saturday, Sep 19, 2009 ×


今回、都合よく行動させられるだけの登場人物が多いので、母娘の懸命な姿にちょっと感動してしまいました。

名前: 読書愛好家 ¦ 16:03, Thursday, Oct 01, 2009 ×


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