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異人電信
 記憶とは不思議だ。
 どうでもいい事をやけに鮮明におぼえていたり、とても大事なことを忘れていたりする。
 あんな奇妙な事をそれまで忘れていたなんてどうかしている。
 思い出したのは1本の電話がきっかけだった。



「よう。御子柴(みこしば)。梅原だよ。ってもおぼえてねえだろうなあ。なんせ20年も前の話だし、お前はすぐに転校して行っちまったからな」
 俺の父親は転勤が多く、おかげで俺もしょっちゅう転校していた。梅原という男はちょうど俺が小学校の5年の時に住んでいた村の同級生のようだった。というのも俺は奴の言う通り、すっかり忘れていたんだ。なんせそこには1年ほどしか住んでいなかったし、いつまでも忘れないほど親密だった訳じゃないようなんだ。
 たまたまウチの取引先に梅原の会社があって、ちょっとした偶然から俺の事を知ったらしい。
「なつかしいよなあ。山で良く遊んだよな。今でも良く思い出すんだよ。あの空気の匂い。今じゃ縁がないからな。俺も引っ越しちゃって長いこと行ってないんだよ。一人で行っても退屈だろ? 思い出話もできないし。それで迷ってたんだけどさ。どうだ? 今度、一緒に行ってみないか?」

 言われてみれば、ちょうど来月に出張が入っている。近くってほどじゃないがそっち方面に行く事になっているから有給を入れてもらえれば帰りに寄ることもできそうだ。女房には悪いが、たまには昔なつかしい場所を訪れてのんびり羽を伸ばすのも悪くない。

 そこでふと思い出したのだ。カブト男の事を。


 ――――――――――


 そいつは村から少し離れた小さめの山の麓にいた。
 俺たちはひたすら穴場探していたんだ。そう。カブトムシの獲れる山を。確かにカブトムシが欲しければそこまでしなくてもいろいろと方法はある。でも、自分だけの穴場で他の誰よりもデカい奴を捕まえるのが大事なんだ。
 しかもそれだけじゃない。俺は他の連中とはまったく違う特別な奴を探してたんだ。
 そんな時に現れたのがカブト男だった。



 そいつはスソがすっかり擦り切れて縦に裂けてるような作業ズボンをはいていた。
 だがポイントはそこじゃない。そいつの薄汚れたグレーのTシャツには黒い果実があちこちにぶらさがっていたんだ。デカいカブトムシが。
 同級生がカブトをくれというとシャツから剥がして1匹くれる。頼めばもう1匹くれる。両手がふさがったらそれで終わりだ。みんなお互いのカブトや男のシャツのカブトを見比べて少しでもデカい奴を手に入れようと必死だった。

 カブトにあまり興味がなかった俺は少し離れた所から彼らの様子を見ていた。
 それから何となく男の顔を見上げる。
 とんでもない大男で、肩の上に乗っかっている頭は突きだした胸の陰にかくれそうだった。そいつの顔にはらんらんと輝く左目だけで右目はなかった。そしてその代わりなのか、唇の右端が耳の前の方まで切れ上がっていて薄気味悪い笑いのように見える。長くたれ下がった前髪が顔のところどころを覆っていた。

 とんでもない人相だが、不思議な事に俺はそいつを少しも怖いとは思わなかった。カブトムシをくれるいいおっさんだと思っていたのか、そもそも怖いって事が子供だった俺にはわからなかったのか。
 今にして思えば、彼は何らかの事故で顔をひどく傷つけたのか、もしかしたらある種の奇形だったのかもしれない。
 ともかく悲鳴を上げたり侮辱したような事を言わなくて良かったと思う。そんな事をしていたら彼はひどく傷ついたろう。

 子供たちにあらかた配り終えたあと、カブト男は俺の所に来た。
 俺の前に立つと帽子のツバをぐいっと下の方に引っ張る。おかげでカブト男の腹の辺りより上が見えなくなった。どうやら顔を見られるのは好きじゃなかったらしい。
「ほれ」とカブトムシを差し出す。
 俺は意を決して注文を伝えた。
「ミヤマクワガタをくれ」
 そう言って右手を差し出す。

 ミヤマクワガタは湾曲した大きなハサミを持つ大型のクワガタで、頭の部分に戦国武将の兜のようなヒダがある。漆黒の身体は気品さえ感じさせ、優雅さはカブトムシとは到底、比べ物にならない。
 俺にとっては石炭とダイヤモンドぐらいの違いだったんだ。
 そしてそいつはその辺じゃなかなか手に入らなかった。

 カブト男は少し考え込んだらしい感じだったが、背中の方に手を回すと「ほれ」と差し出した。
 それは間違いなくミヤマクワガタだった。
 俺がそいつを慎重に受取ると、カブト男はもう一匹よこす。俺の両手は素敵なお宝でふさがってしまった。
「十分だろ。ここにはもう来るなよ。いいか。二度と来るんじゃないぞ」
 カブト男にそう言われたが、言われるまでもない。俺はついに探していた物を見つけたのだから。



 それから夏の間、俺はミヤマクワガタをうっとりと眺めて過ごした。
 同級生たちはカブトムシ同士を戦わせてどちらが強いかを比べたりしていたが、俺はもちろんそんな事はしなかった。カブトムシはツノで相手をひっくり返すのが関の山だが、ミヤマクワガタは相手の胸と胴の間を挟む事ができれば真っ二つにしてしまう力がある。
 ミヤマクワガタは美しく魁偉で真の強さを兼ね合わせた最強の虫なのだ。
 真の侍がむやみに太刀を抜く事がないように、ミヤマクワガタは気安く勝負の場に出る事は許されない。そこらのカブトと気軽に戦わせる事のできない危険な存在なのだ。
 小学生の俺はそう固く信じていた。


 ――――――――――


 俺がふと思い出した名前を口にすると、思い出話を始める前に電話の相手の態度が激変した。
「何がカブト男だ! ふざけんな! 俺の親父は奴のせいで消えたんだ!」
 電話の向うから怒鳴り声が聞こえてぷっつりと電話が切れた。
 何の事かさっぱりわからなかった。
 ミヤマクワガタをもらった事は思い出したが、それ以上はやっぱり思い出せない。
 とりあえず通話履歴をそのまま電話帳に移して電話を閉じた。

 梅原の父親ってなんだったんだ。なんで俺はそんな大変な事をおぼえていないんだ。もしそんな事があれば村は大騒ぎになっていたはずだ。
 同級生に聞けば何かわかるかもしれないと思ったが、引っ越しばかりだったせいで手元にはその頃の物は何も残っていなかった。
 母にたずねてみるとあまりにも転勤が多かったせいか、あの村に引っ越した事自体をおぼえていなかった。
 父もだいぶあれこれ考えていたが、やはりどうしても思い出す事はできなかった。
 仕方ないかもしれない。
 その頃の父はいつも忙しく、まったく家に居着かない仕事の虫だったのだから。


 ――――――――――


 電話から2週間ほどして、俺はなつかしい村に帰っていた。
 まあ、なつかしいと言ったって1年住んでいただけだし、今は合併が進んでとある市の一部になっていたんだが。
 必要のない荷物は出張先から宅配便で送り、TシャツとGパンに着替えてキャップを被る。俺はいつでもできるだけ帽子をかぶる事にしている。子供の頃から日射病になるからと母親にしつこく言われていたせいもあるが、雨の時、雪の時、陽射しが強い時、帽子があるのとないのとでは大違いだ。実際的な問題から俺にとってはなくてはならない物なのだ。

 駅から出ると路面の照り返しでめまいがしそうなほどの暑さだった。
 ぼやぼやしてる間に気力をすべて搾り取られそうな気がして、急いで自動販売機でミネラルウォーターを調達するとカブト男の山へと歩きだした。



 山は昔のままだった。
 というか、むしろ過疎化が進んで集落が後退していたため、山は以前よりずっと山らしくなっていたというのが正直なところだ。
 違っていたのは頂上近くに大きな電波塔が立っていた事だ。携帯電話の電波の中継用らしい。おそらく山の向うにも集落があって、そのために中継施設が必要なんだろう。
 これなら遭難しても携帯さえあればいつでも救助を頼める訳だ。ありがたいが退屈な時代になったもんだ。



 道が狭くなり、木が覆いかぶさってきて陽射しを遮る。だが風が無かったから蒸し暑さのせいで陽射しが陰った分の涼しさを感じることはできなかった。
 別に山に来た所でする事もない。
 記念に登山して山頂から村の写真でも撮って帰ろうか、それともこの暑さだから無理はせずに引き返そうか、そんな事を考えながら歩いていた。
「おい」
 呼び止める声がして振り返ると、ぐいっと帽子のツバを引っ張られた。

 ずいぶんと無礼なあいさつもあったもんだと文句を言ってやろうとすると、小学生の頃に見たあの汚い作業ズボンが目の前にあった。
 いたのだ。カブト男が。
 あれから20年たっている。まさかまた会えるとは夢にも思っていなかった。
 小学生の時の記憶は自分がまだ小さかったせいで相手がやたらと大きく感じたのかと思っていたが、目の前にあらわれたカブト男はやはりデカかった。胸の辺りまでしか見えない。もしかすると身長が2メートルに達しているかもしれない。見上げようとすると昔と同じように帽子のツバを下に引っ張られた。
「ほれ」
 あの時と同じようにカブトムシを差しす。



 そうだ。思い出した。
 カブト男とはじめて会ったのはミヤマクワガタをもらった日じゃない。今日みたいに山道を登っている途中だった。
 そこで急に呼び止められ、帽子のツバを引っ張られたんだ。
 なんで今まで忘れてたんだ?



 何を言おうかとあれこれ考えて、結局、口から出たのは一番間抜けなセリフだった。
「ミヤマクワガタをくれよ」
 今さらクワガタなんてもらっても困るんだが、それでも出た言葉は20年前と同じだった。
「お前は本当にミヤマクワガタが好きなんだな」
 ひどくくぐもった声でゆっくりとそう言うと、カブト男はあの時と同じように背中の方からミヤマクワガタを1匹出してみせた。
こいつはおぼえていたんだ。20年も前の事を。子供なんて今までいくらでもここに来ただろうに。
俺もだいぶ歳をとったつもりだったが、こいつに取っちゃ大した違いじゃないって事か。

 あの時と同じように俺の右手から逃れようとモゾモゾ動くミヤマクワガタを眺めていると、2匹目を出すかわりにカブト男が言った。
「お前の記憶は食らったはずだ。どうして戻ってきた。さっさと帰れ。奴らは執念深い。一度目をつけた獲物は絶対に逃さない」
 そうだ。あの時も言っていた。もうここには来るな、と。俺はてっきりクワガタはもうそれで終わりだって意味だと思ったんだが何か違う意味があるのか?
 聞き返そうと頭を上げると、もうカブト男はそこにはいなかった。

 遠ざかる足音も、ヤブをかき分ける音もなかった。消えていたのだ。
「二度と戻ってくるなよ」
 もう一度どこからか聞こえたが、やはり姿を見つける事はできなかった。
 それっきり声がすることはなかった。



 その場でしばらく考えた後、カブト男の助言にしたがって駅に引き返す事にした。
 帰り道にちょうど墓地があった。
 ちょうど、なんて言うとおかしいと思われるかもしれないが、墓地には水道か井戸か、ともかく水がある。墓参りには水がつき物だ。俺は手と顔を洗って、ついでに頭を少し冷やすためにタオルを濡らそうと墓地に入る。水道を探してうろうろと歩きだしたんだが、すぐに遠くから呼び止められた。
 裏手の寺の住職らしいのが手招きしていた。


 ――――――――――


 住職は寺に案内してくれると、ちょっと待つように言って奥に引っ込み、木でできた小さな古い虫かごを持ってきた。
「どっかの子供が遊びに来た時に忘れていってな。これにクワガタを入れておけば手を洗ってる間に逃げんだろ」
 手を洗って戻り、礼を言って立ち去ろうとすると、良く冷えた麦茶をすすめてくれた。

 そこで俺はこの村に来たもう一つの理由を思い出し、20年前に起きたらしい事について住職にたずねてみた。人が行方不明になるような、何か大変な事が起きはしなかったかと。
 住職はしばらく考え込んだ後、口を開いた。
「この辺りには異人の話が昔から伝わっておってな」
「外人さんの事かい?」
 昔は外国人の事を異人と呼んだ。外人さんってのもたいがい、近頃は使わない言葉だが。

「いやいや。その異人じゃない。人のように見えるが人でない者だな。お前さんが行った山を登った所に忌み地と言うのがあってな。そこには獣も近寄らず、虫さえもいない。そこに出るんだそうだ」
 住職によると今からだいぶ前に、あの山に見たことのない男がいるという話が広がったんだそうだ。素性の悪い流れ者が住み付いたんじゃないか、子供に何かあったら大変な事になると心配する人がいて、山狩りをしようということになった。
 今はいなくなってしまったが当時は山の麓の神社に神主がいて、忌み地に近寄ると大変な事になるからと反対したが、何人かは話を聞かずに山に入ってしまった。

「異人は大人の身体には卵を植えつけるんだそうだ。異人にやられると身体が末端の方からだんだん固くこわばってくる。手足が縮んできて赤ん坊みたいに身体を丸めるようになってな。最後には身体がカチカチに固まって息が絶える。そうなったらすぐにそいつの身体を火葬にせんといかん。カチカチになったものの背中が割れると、そこから異人が出てくる。子供は身体が小さくて役に立たないから食ってしまう。猿のような化け物とも、トンボの頭をしたものとも伝わっている。本当のところはわからない」
 山に入った男たちは結局、誰も見つけることはできなかった。それからしばらくして村で続けざまに3軒の葬式があり、遺体はすぐに荼毘(だび)に付されたという。

「詳しい話を聞く訳にもいかないから何があったのかはわからんが、それっきりあの山には誰も近づかなくなった。亡くなったのは山に入った男たちだけで子供はみんな無事だった。あの山の麓には大きなクヌギの木があってな。その下に小さな地蔵様が立っておる。わしはお地蔵様が子供たちを守ってくれたと思っておるがな」
 地蔵は古来より子供の守護者として知られている。それでだろう。
「20年前の話?」
 と聞くと住職は「はて。もっと前の話だったと思うがお前さんは山に行った事があったんじゃろ?」と逆に聞き返された。
 この住職の話、どこまで信じたもんか。
 人間の記憶ってのはあてにならない。


 ――――――――――


 出張のために家を出たのが火曜で今日が金曜だから今週はほとんど家に戻れなかったことになる。
 やっぱり自分の家が一番休まる。ただの中古のマンションだが。
 玄関を開けると中は真っ暗だった。
 スニーカーを脱いで靴箱に入れていると声がした。
「あなた。おかえりなさ〜〜い」
 ぎょっとして奥に目を凝らす。
 なんで家の中を真っ暗にしておくんだよ。

「ぱぱ。おかえり〜〜〜〜」
 4歳の娘の声に続いて小さな足がトタトタと廊下を踏む音がする。
 そんな馬鹿な。あの子は暗闇を怖がる。平気で走ってくる訳がない。
 足音は徐々に大きくなるからまるでこちらに近づいてくるような感じがするが、音が近づいている訳じゃない。それなら床板を伝わる振動ですぐにわかる。
 音は廊下の奥の中空から聞こえてくる。走ってるんじゃない。何かが似たような音を出しているだけなのだ。

 俺は足音を立てないように気をつけながら暗い廊下をなかば手探りでゆっくりと進む。
 オープンキッチンの厨房につながるドアが開いていた。
 徐々に目が暗闇になれ、カーテンが開いたままの窓から街の明かりが、薄ぼんやりとカウンターの向うの食堂を照らしているのがわかる。
 その時、ダイニングの中央で闇の中を切り取ったようにさらに黒い陰がむっくりと起き上がるのが見えた。
 正確に言うと起き上がった訳じゃない。そこらに広がっていた奴が集まってひとつの形を作りはじめていたんだ。

 思い出した。
 俺がこいつを見たのはこれが最初じゃない。





 俺がはじめてカブト男を見たのはミヤマクワガタをもらった日じゃない。その前にあの山に入った時、会っていたんだ。
 あの日、俺はミヤマクワガタを探してあの山に行ったんだ。
 まだ日が登る前の暗い山道を登って行くと声が聞こえてきた。
「そうだ。クワガタはこっちだぞ。こっちにいるぞ。こっちだ。こっちだ」
 おれは声に従ってどんどん山を登って行く。

 いつもなら暗闇を怖れて当然だったが、その時は平気だった。
 その声は村のみんなの聞き覚えのある声だったんだ。同級生や同級生の父親、母親、派出所の巡査、駅員さん、郵便屋さん、食料品店のおばさん。
 俺は声のする方向を探そうと辺りを見まわしながら歩いていた。

 その時、暗闇の中でふいに帽子のツバをぐいっと引っ張られた。
 カブト男が俺の帽子のツバを引っ張っていた。その時は初対面だったから「カブト男」って名前になる前の奴だが。
 誰だ? と顔を見ようとすると、またぐいっとツバを引っ張られる。





 記憶をたぐっている時に電子音が鳴って現実に引き戻された。
 ぴーーー。
 留守番電話がメッセージを受け付ける音だった。いつの間にか電話が鳴っていたのだ。
「あなた、もう帰ってる? これで5回目よ。だからいつも携帯の電源は切らないでって言ってるじゃない。電池が切れたらコンビニに電池が売ってますからね。
 私は咲絵を連れて実家にいるから。たまにはおじいちゃんとおばあちゃんに孫を見せてあげなきゃかわいそうでしょ? 夕食は冷蔵庫に入れてあるから適当に食べててね。あ、疲れてるんだから夜更かししないで早く寝ちゃってよ。無理して体を壊したらあなたの代わりはいないんですからね。
 咲絵、パパに早く帰ってきてって言いなさい。――――ぱぱ〜〜早く帰ってきてね。おやすみなさ〜〜い。――――こら、まだ切らないの。お母さんに ピッ」
 そこで電話が切れた。
「留守電で携帯の話をしてもしょうがないだろうに」思わずグチってから似た者夫婦だなと苦笑いが出る。
 だが、音はそこで途切れなかった。

 ぴーーー。 あなた。もう帰ってる? ぴーーー。 あなたもう帰ってる?
 ぱぱ〜〜早くおやすみなさ〜〜い。 ぱぱ〜〜 ぱぱ〜〜

 吐き気が込み上げる。帰り道で開けたビールが喉まで逆流してくるのを無理やり押さえつけた。
 そうだ。こいつらは声を擬態するのだ。
 そうやって人間をおびき寄せるんだ。
 どうやってかは知らないが、人間を一番無防備にさせる声を探り出しておびき寄せる。

 お夕食は冷蔵庫よ。適当に食べてね。夜更かししちゃダメよ。おやすみなさ〜〜い。

 声が、いや音がゆっくりと近づいてくる。そこに不気味なキシキシという雑音が混ざる。
 そうだ。こいつらは虫が集まってできてる。
 思い出した。こいつはそこらの虫を引き寄せて出来上がってる。だから確かな形って物がない。住職の話にあった異人はその時にその人が似てると思う物を言うから、その時々で別なものになってしまうのだろう。そして虫を一ヶ所に集めるから、その一帯から虫がいなくなるんだと思う。
 目の前のそいつはほとんどがゴキブリの寄せ集めで、そこにハエをいくらか振りかけたシロモノだった。





 小学生の俺が見た時、そいつは雑多な虫の集まりだった。ムカデ、クモ、コウロギ、バッタ、ともかく思いつくかぎり、あらゆる虫のかたまりだった。
 俺はおそろしくなってその場に釘付けになっていたんだと思う。
 あるいはその奇妙な生物に魅了されていたのかもしれない。
 頭の中が真っ白になってじっと立ち尽くしてた。

 その時、カブト男がそいつの方を振り返った。
 カブト男は俺を止めに来たが間に合わなかったんだ。
 俺は近寄ってはいけないと言われていた忌み地に近づきすぎていた。誰も近づかない所ならきっと誰も見たことがないカブトやクワガタがいると思ったんだ。
 カブト男は俺を突き飛ばすと黒いかたまりに近づいて行った。





 ゴキブリの固まりはオープンキッチンのカウンターの目の前まで来ていた。
 かろうじて人間らしい形をしていたが、首が無く、魚のような頭部が両肩の中間から胸にかけて三角形にこちらに突き出していた。
 俺は必死に思い出していた。
 カブト男がこいつをどうやって追い払ったのかを。





 カブト男は俺を突き飛ばして異人と向き合うと、のっそりと奴に近づいて行く。
 記憶の中のそいつは今、目の前にいるやつとそっくりの形をしていた。
 カブト男は無造作に異人の胸に手を突っ込み、中をかき回して腕を抜く。
 握り拳よりふたまわりほど大きな固まりが握られていた。
 カブト男はしゃがみこんでそいつを手近な岩に叩きつけはじめる。
 叩きつける度にガチッという硬い音がしたから固まりは石かと思ったが、砕けて破片が飛び散ると、破片はすすっと素早く物陰に消えて行く。

 砕けるだけ砕くと、カブト男が立ちあがった。
 カブト男が振り返る前に、俺は山道を転げるように下っていた。
「もうここには近づくなよ」
 背後から聞こえる声を振り切るように俺は走り続けた。





 考えるより先に身体が動いて、右腕が勝手にゴキブリの固まりの中にめり込む。
 今さらためらってもしかたない。
「我らを見た者は我らのウチの一人となって我らが里へ帰れ」
 洞窟の奥で獣がうなるようなそれまでに聞いた事のない声だった。
 これがこいつの本当の声なんだろうか?
 だが、今はそれどころじゃない。構わず突き入れた手で中を引っ掻き回す。
 もぞもぞとした感触が腕の表面を這い回る。全身の毛が逆立ち、思わずその場で床を何度も蹴りつけていた。生臭さで息が詰まる。だがやめる訳にはいかない。
 これ以上は限界だと何度目かに思った時、奴の体の中から細い針のような物が何度も伸びて俺の胸を突いた。
 悲鳴を上げて逃げ出したかったが逃げる場所などない。
 ここは俺の家だ。

 明らかに他とは違う大きさの何かに右手がふれたのを感じ、素早くそいつを引き抜いた。
 ぶよぶよと湿ったそいつは強く握るのがためらわれた。カブト男がつかんだ物は岩にぶち当てると乾いた音がして砕けたはずだが勝手が違う。
 20年前は遠目で暗かったから良く見えなかったが、そいつには明らかに20年前に見たのとは違う特徴がもうひとつあった。
 半分めり込むようにして携帯電話が差さっていたんだ。最新型のスライド式の奴じゃなくて、だいぶ昔の白黒の液晶ディスプレイが付いてるタイプだった。
 突然、液晶のバックライトが点灯して振動が手を軽くしびれさせる。
「何がカブト男だ! ふざけんな! 俺の親父は奴のせいで消えたんだ!」

 携帯から聞こえた声に思わずそいつを取り落としそうになったが、代わりに手近にあった電子レンジに放り込み、スイッチを入れる。
 考えがあった訳じゃない。冷蔵庫に入れるよりはマシだと思ったんだ。こんな奴と一緒に閉じ込められていた惣菜を食べる気にはならない。
 もしも俺の右手の近くにあったのが食器洗い機だったのならそれに突っ込んでいただろう。
 だが幸運な事にそれは電子レンジだったんだ。

 内部を照らすライトがついてターンテーブルが回りはじめる。
 オレンジ色に薄ぼんやりと照らされたそいつは乳白色の身体の背中の上にひどく小さな羽が張り付いていて、足は縮こまってとても自力で歩けそうにない。まるでさなぎの殻を破って背中から出てきたばかりのセミのように見えた。
 すぐにすごい火花が中を跳ね回りはじめた。
 
 携帯電話の金属部品のせいだと思うが確かな事はわからない。
 とにかくバチバチと弾けるような大きな音が絶え間なく聞こえ、猛烈な蒼白いスパークの光が電子レンジの扉からあふれて、崩れはじめたゴキブリの固まりの姿を闇に浮かび上がらせていた。
 怪物は苦悶しているかのように身体をくの字に折っている。
 それからひときわ大きな爆発が電子レンジの中で起き、ざあっと音がして異人の抜け殻は闇の底へと吸い込まれて行った。



 俺は身体をピクリとも動かさず、目を見開き、耳をすまして辺りの様子を探っていた。
 1時間か、5分か。あまりに緊張していて時間の感覚がわからなくなっていた。
 遠くで紙屑が風に吹かれているようなとても小さな音がずっとしていたが、もうそれ以外には何も聞こえない。
 足音を立てないように壁際まで後ずさり、キッチンの明かりをつける。

 もう何もいない。

 もっとも、床を覆い尽くさんばかりのゴキブリと飛び回るハエを除けば、だが。
 胸元がもぞもぞするのを感じて悲鳴を上げて払いのけそうになって、あわてて思いとどまった。
 そいつは特大のゴキブリではなくクワガタだった。
 奴は虫かごに入れてあったはずだ。
 どう考えてもそこから逃げ出すなんて考えられないし、逃げ出すだけならまだしも俺のシャツにしがみ付いてるなんてありえない。
 よく見ると頭の所に白く細い線で字のような物が書いてあるが、今までに見た事もない字で読めなかった。

 俺はミヤマクワガタをカバンに入れてあった虫かごに戻し、ドアの外に置いてからキッチンの片付けを始めた。
 まだ殺虫剤のスプレー缶の中身がたっぷり残ってるといいんだが。



 週末が開けて会社に出ると、俺の出張中にシステム開発部の人間がまた一人逃げだしたと会社で話題になっていた。
 シス開の連中は人間の限度ってのを知らないからな。
 俺が何をしてようが会社は回ってる。
 そして俺は回ってる会社に戻ってきた。


 ――――――――――


 翌週になっても身体が硬直するなどの妙な症状は出なかった。
 あの後、妻と娘が帰ってくるまでにできるだけゴキブリを始末したが、それでも退治し切れなかった連中がしばらくはそこら中の物陰や隙間に隠れていて、姿をあらわすたびに妻がグチをこぼしていた。
 本当のことを説明する訳にもいかず、申し訳なさで居心地の悪い思いをするハメになった。
 もしもそれがなければあの晩の奇妙な出来事はすべて夢だと思ったかもしれない。

 カブト男のくれたミヤマクワガタは殺虫剤がかからないようにかなり気を配ったんだが、それでも1週間もせずに死んでしまった。
 せっかく買ってきた透明な観察箱とおがくずもお役御免だ。
 マンションの花壇にでも埋めてやろうかと手を伸ばした時、奴がころりとひっくり返った。
 クワガタの腹には奇妙な膨らみがいくつかできていて、何倍にも膨れ上がっていた。
 不吉な物を感じた俺は観察箱をダンボールとガムテープで厳重に封印して燃えるゴミに出した。
 本当なら俺の手で火葬してやるべきなんだが、せっかく妻に内緒で同型モデルの新品に買い替えたばかりの電子レンジを使う気にもなれず、都会ではたき火もできないし、近頃は焼却炉も滅多に見かけないんじゃどうしてやることもできない。
 葬儀屋だって断るだろう。



 あれから異人についていろいろ考えてみたが、おそらく、ここ数年のうちに誰かがあの忌み地に足を踏み入れたのだと思う。
 そして異人を連れて帰ってしまった。
 昔ならあんな場所に足を踏み入れるのは近隣の村の人間だけだし、彼らは忌み地に入った者はできるだけ早く火葬しなければならないと知っている。連れ帰った奴は火葬されたが異人が生まれた後だったのだろう。
 そして人から人に乗移り、あるいは仲間を増やしながら探していたんだ。俺を。
 声で人をだます異人にとって、携帯電話ほど都合がいい物はない。
 だとすると奴にはそれを使いこなし、情報をたどって俺の居場所を突き止める事ができる事になる。
 何より、いったい、どれだけの数の異人がこの世界にまぎれ込んでいるんだ?
 だがそれもすべて俺の想像だ。答えはまったく違うのかもしれない。



 翌年、俺は小さな地蔵の前にいた。
 住職の言っていた通り、大きなクヌギの木の下に確かにそれはあった。
 カブト男との約束を破ってしまうことにはなるが、忌み地に近寄らなければ許してくれるだろう。
 降り積もった落ち葉と高く伸びた雑草の中から地蔵を掘り出し、ミネラルウォーターをかけて汚れを拭い落とす。
 最後に新品のシャツと作業ズボンを、そっと地蔵の陰に置いてきた。何を持ってくればいいのかあれこれ悩んだ末にたどりついた答えがこれだった。
 もう山に戻るつもりはないが、もし戻ったのならカブト男は小ぎれいなシャツと作業ズボンで出てきてくれるんじゃないかと思う。
 結局、カブト男は姿をあらわさなかった。
 一緒に来た妻と娘に気兼ねしたのかもしれない。
 地蔵は何かがぶつかったのか、あるいは誰かがイタズラしたのか、顔の右側が大きく欠け、縦に亀裂が入っていた。



 それからいろいろ探して当時の同級生の連絡先をいくつか見つけ、電話をかけたが誰もカブト男の事をおぼえていなかった。
 彼らの父兄の中には何人か、おかしな騒ぎの後に村人が数人、続けざまに亡くなったためにいろいろな噂が広まったという事をおぼろげながらおぼえている人もいた。
 どのようにしてかはわからないが確かにカブト男はみんなの記憶を奪い去っていた。
 だが、どうやら大人の記憶は消せないらしい。大人の記憶を消せばいろいろな食い違いが生じてしまうからうかつな事ができないのかもしれない。その辺の事情は俺にはわかりようもない。

 そこで俺は調べるのをやめた。
 記憶は思い出として胸にしまっておけばいい。掘り返そうとするとろくでもない事まで思い出すはめになる。
 こちらが思い出そうとしなくても否応なく向こうから追いかけてくるのなら、こちらから首を突っ込む必要もない。
 思い出は美しいままでいい。

 梅原という男は結局、見つからなかった。
 向こうから電話もない。
 メモリーは妙な事になっていた。番号はおろか、俺がこの手で打ち込んだはずの名前までが表示が乱れ、意味不明な記号の羅列になってしまっていた。
 はたして梅原という男が実在したのか、あるいは異人の創作だったのか、仮に実在したのだとしたら彼がどんな運命をたどったのかはあまり考えたくない。



 あれ以来、電話を手に取るとほんの少しためらいを感じるようになってしまった。
 どんなに浮かれていても、どんなに落ち込んでいても、電話を持つとあの夜に聞いた地の底から響くような声を思い出すのだ。今も奴らの仲間はどこか遠く、この回線の向うにいる。
 時に記憶は人間を変えてしまう。
 二度と元に戻らぬように。



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■講評

長めの話なんですがウェブ上では前後関係を追うのがしんどくて、正直言うと少し読みにくかったです。
主人公が記憶違いを補正しようとして似たような事が何度も語られ、その度に否定と肯定と発見が繰り返されるので、言い回しが全体的にもたついた感じになっているのではと思います。

細部はよく書き込まれていていいですし、住職の話が前半で出てくるあたりもなかなか興味深く読みました。
ただ、ゴキブリの固まりと対決するあたりからちょっとついていけなくて、カブト男の能力など多くの出来事を詰め込んだために日常の接点から大きく逸れてしまい、怖さの軸がぼやけてしまっているのではと思います。
前半の丁寧さを後半でも維持されていれば、もっと面白くなったのではないでしょうか。
せっかく長めに書かれた作品ですので、もう少し主人公を広く動かしてもいいでしょうし、間を取り持つ登場人物をあと一人くらい増やしても良かったのではと思います。

アイデア・1

名前: 気まぐれルート66 ¦ 17:36, Sunday, Aug 09, 2009 ×


恐怖度0
文章力0
構成力0
不思議度 1
大変よく書かれているのですが、長くて読むのが少々苦痛になりました。
話にのめりこむことができず、ストーリーを追いきれませんでした。
過去と現在をいったり来たりしているのですが、カブト男も住職も唐突に出てきた感があります。
ゴキブリとのラストの対決も何だったのか、いまひとつピンと来ませんでした。もう少し短くまとめてもらったほうが読みやすいです。

名前: 妖面美夜 ¦ 22:28, Sunday, Aug 09, 2009 ×


設定は良いと思うのですが、如何せん、時代があっち行ったりこっち行ったりと、時系列が解りづらかったです。
なので、今ひとつ、カブト男と異人の因果関係とか、梅原のお父さんがどうなったとか、梅原が何だったとかが良く解らないまま終わってしまった、という印象でした。

間にちょいちょい入ってる“――――――――――”で、解りやすくしようとされたのかと思いますが、どうもその用途がハッキリとせず、これが逆にややこしくしてしまったようにも思えます。

書き方で損してるなぁ、と思いました。

名前: PM ¦ 20:05, Monday, Aug 10, 2009 ×


 展開が良く練られていると思いますね。
 いろいろと考えられたんだと思います。

 その割に異人は小さな虫の集まりで、もうひとつインパクトに欠ける。
 その辺にもう少しオリジナリティーがあればなお良かったと思います。

【アイデア】+1、【描写力】+1、【構成力】0、【恐怖度】0

名前: ユージーン ¦ 21:01, Wednesday, Aug 12, 2009 ×


現在と過去をもう少し纏めて欲しかったです。
かぶと男はカッコイイけど、それ以外の点に魅力が感じられない。

文章―−1
構成―−1
恐怖―0
かぶと男―+1

名前: あおいさかな ¦ 15:18, Saturday, Aug 22, 2009 ×


面白かったです。のめりこんで一気に読みました。
携帯というアイテムの使い方が素晴らしいですね。妻子の声の留守番電話の辺りが、すごく怖かったです。梅原が正体不明のまま終わったことも、個人的に好きなオチです。妄想を掻き立てるエピソードが好みで、また恐怖を感じるツボなのです。

*設定+1 *描写+1
*恐怖+1

名前: げんき ¦ 23:58, Tuesday, Sep 01, 2009 ×


・アイディア+0.5
 カブト男は良いと思ったが、それ以外については大してそう思わなかった。
・描写と構成−1
 内容の割りに長いように感じた。カブト男中心の前半と、異人中心の後半の接続が上手く行っていないようにも感じる。梅原の電話から既に異人の攻撃は始まっていたということで、構成上の繋がりはあるのだが、読んでいる最中は唐突にしか感じなかった。それまで話のメインだったカブト男が、急に脇役になってしまっているし。また、後半から話運びが強引で説明不足になったように感じる。例えば、異人が人間に混じって携帯電話に適応している所までは分かった。「だとすると奴にはそれを使いこなし、情報をたどって俺の居場所を突き止める事ができる事になる。」からは飛躍に感じた。その割りに、同じ内容の繰り返しは多い。
・怖さ±0
 戦って倒してしまったら、怖くなくなると思うのだが。たとえ、嫌な後日談があったとしても。
・買っても後悔しない魅力−0.5
 長い割りに、興味を引かれる部分がカブト男しかなかったので。前半だけなら、色々+1に出来るのだが。

名前: わごん ¦ 22:13, Wednesday, Sep 16, 2009 ×


発想は良いと思います。ただ、事細かに状況を描写するあまり、巧妙とは言いがたい文章になったのでは。
読者がもう一度読みたいと思わせる為には、何が必要で何が不要なのかを考えてみられては如何でしょうか。

発想・1 構成・0 文章・-1 恐怖・0

名前: 三面怪人 ¦ 01:47, Friday, Sep 25, 2009 ×


カブト男がなかなか魅力的な感じで、それに惹かれて読んでいったんですが、だんだんと脇役になってしまい、ちょっと残念でした。
主人公の記憶想起がえらく切れ切れなのと、そのタイミングに戸惑うのでどうも読みにくいのかもしれないと思いました。
最期まで読者を引きつける力のある話だったとは思います。

アイデア  0
文章    0
構成   −1
恐怖度    1

名前: 鶴の子 ¦ 07:22, Friday, Sep 25, 2009 ×


異人と対決する場面で少し文章がもたついた感じはありましたが、クワガタに対するこだわりなど、細部の描写も丁寧で話に引き込まれました。
世界観もきちんとしているし、物語も一応の完結を迎えているので、読み終わって満足感がありました。

名前: 水本しげろ ¦ 21:41, Friday, Sep 25, 2009 ×


発想+1 文章+1 構成0 恐怖0
なかなか面白いのではないでしょうか。
カブト男の雰囲気が好きですね。
ただそれに比べて異人のインパクトが弱い気がします。

名前: 戯作三昧 ¦ 04:07, Wednesday, Sep 30, 2009 ×


得体の知れない話って難しいと思うんですが、ちゃんと書けているのですごいと思いました。

名前: 読書愛好家 ¦ 23:37, Thursday, Oct 01, 2009 ×


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