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細い指先が踊るように動き、色鮮やかな千代紙が幾重にも折られていく。 正方形を半分に、更に半分に。 折り目を付けたら開いて、折り目に沿って角を内側へ折って。 開いては閉じ、閉じてはまた開く。 そして徐々に千代紙は形を変え、新たな姿を成してゆく。 「はい、うさぎさんの出来上がり」 叔母は完成した紙の兎を、小春が開いた掌の上に載せた。 「わあ、うさぎさんだー!」 小春は大喜びで紙の兎を頭上に掲げると、ぴょんぴょんと飛び跳ねている。 「千秋ちゃんは何がいい?」 叔母がにっこり微笑む。 「鶴がいいな」 そう答えたけど、別に鶴が欲しかった訳じゃない。 千代紙を折る、その手の動きを見ていたいだけだ。 竹に囲まれた離れの蝉時雨が降り注ぐ縁側で、私と小春は叔母と過ごす時間が好きだった。 叔母は浴衣の袂から千代紙やお手玉、時には金平糖を取り出して、私達姉妹を喜ばせてくれた。 木漏れ陽が優しく縁側を、そして消えそうに儚い叔母の姿を照らす。 白地の木綿に朱色の小さな蜻蛉があしらわれた薄手の浴衣は、華奢な叔母が着ると鎧のように重そうに見える。 ガラスのように白く滑らかな肌には、触れたら破れそうな血管がうっすらと透けている。 無造作に束ねた艶やかな黒髪が鎖骨にかかる。 ぱっちりとした瞳、しゅっとした鼻、薄桃色の唇、ほんのり赤い頬。 そんな叔母の横顔に、私はすっかり見とれていた。 その時視界に、何か動くものが目にとまった。 よく見ると叔母の浴衣の襟元に、小さな蜘蛛が乗っていた。 「叔母様、蜘蛛っ!」 そう言いながら、私は蜘蛛をはたき落とした。 蜘蛛はひらりと地面に着地し、じっとしている。 それに気づいた小春はそっと近づき、踏みつけようと足を振り上げた。 「駄目よ」 叔母の透き通った声が、小春の動きを制した。 「何でー?」 「朝の蜘蛛は殺しちゃ駄目なのよ。日の出ている間は、ご先祖様が蜘蛛の姿を借りて帰ってくることがあるのよ」 「へえー」 小春は屈むと、小さな蜘蛛をじっと見つめる。 「だからね、『朝の蜘蛛は仇でも殺すな』って言われているのよ」 叔母の言葉を理解したのか、蜘蛛は縁の下へと一目散に避難した。 それを見届けると、私は気になったことを訪ねてみた。 「ねえ叔母様、それじゃあ、夜の蜘蛛は?」
一昨日、叔母が死んだ。 叔母は血の病気だったそうだけど、誰も、叔母自身も詳しい病名を教えてくれなかった。 葬儀は身内だけでひっそりと執り行われた。 まだ幼かった小春は叔母の死がちゃんと理解できず、棺桶の蓋を取ろうとしたり、叔母を抱き起こそうとしたりしては、私と母に止められていた。 火葬場で綺麗に焼けた細い骨の欠片を見ても、小春はそれが叔母であると認識することが出来ていないようだった。 病弱だった叔母の骨は殆ど原形を留めることなく、線香の灰のように脆く崩れていた。 その遺骨と小春の様子を眺めている私も、何処か、何かがずれていた。 理屈ではわかる。叔母がどうなったのか、これから何が執り行われるのかも知っている。 だけどそれらの知識と、目の前で次々と小さな骨壺に収められてゆく遺骨と、あの叔母の顔が繋がらなかった。 きっと私は夢を見ているんだ。 目が覚めたら叔母に話そう。 こんな夢を見たの。 人が死ぬ夢って逆夢って言うわよね、叔母様。 きっと元気になって、お婆ちゃんになるまで長生きするよね。 私の赤ちゃんと、小春の赤ちゃん、だっこしてね。 ねぇ、と、小春も笑顔で頷く。 叔母はいつものちょっと困ったような笑顔を見せて、私達をぎゅっと抱きしめてくれるはずだ。 帰路を進む車の後部座席で揺られながら、私はそんな事を考えていた。 それがあり得ないことだとわかっていながら。 やがて車は家に到着した。 母屋は古い二階建ての日本家屋で、一階に七部屋、二階に四部屋の個室がある。 何でも高名な作家が仲間と共に新派を立ち上げ、多くの作品を生み出した場所だという。 戦後、奇跡的に焼け残ったこの家を、私の祖父が二人の娘――母と叔母のために買ったと聞いた。 母屋は画家の母が絵を飾りお客様を迎えるサロンとして、離れは病弱な叔母の療養所として使われていた。 私は母屋には入らず、まっすぐ離れへと向かった。 夜の闇に溶けた離れは静まりかえっていた。 縁側から廊下に上がり障子をひらくと、部屋の中心に敷かれたままの布団が目に留まった。 壁面のスイッチを入れると裸電球がまたたく。 頼りない灯りに照らし出された布団の枕元に、すっかり乾いた血溜まりの痕があった。 その錆色は私を現実へと引き戻し、その場にへたり込んだ。 その時、何処からか鳴き声が聞こえた。 誰だろう、泣いているのは。 小春だろうか。小春も悲しんでいるのだろうか。 小春、何処にいるの? そう言ったつもりが、喉からはあうっ、えうっ、という嗚咽しか出てこない。 ――そうか、泣いていたのは私だったんだ。 私は布団にすがりつき、叔母の残り香に甘えるように泣いた。 「あたしが死んでも、そうやって泣いてくれるのかしらね」 刺々しい声に振り返ると、そこに母が立っていた。 薄っぺらい洋装の喪服を窮屈そうに着て、派手な朱色の口紅が塗りたくられた口の端を歪めて、母は私を見下ろしている。 私は何も応えず、ただその顔を見た。 「あら恐い。睨み殺される前に退散しようかしら」 小馬鹿にするような口調で母は言い捨てると、闇の向こうへ姿を消した。 あれだけ溢れていた涙は、いつの間にか止まっていた。
叔母と違い、母は派手さを好む人だった。 サロンには大勢の客が昼夜を問わず出入りし、口々に母を褒め称えた。 それが母の生き甲斐だった。 絵の優劣は私にはわからないけど、母の絵は好きになれなかった。 母は自分の姿ばかりを好んで描いた。 それも裸婦画ばかりを。 その神経が私にはわからない。わかりたくもない。 物心が付いて、世間の評判や級友達の陰口が耳に届くようになると、私は母を避けるようになった。 その私の気持ちを察したのか、叔母は私を優しく受け入れてくれた。 幼い小春にもそんな母を見せたくなくて、私は学校から帰ると小春を連れて離れに行った。 日が傾くまで遊び、お手伝いさんが作った夕食を三人で食べ、月を見ながらいろんな話をした。 やがて小春が船を漕ぎはじめると、私は小春を背負って離れを後にし、母屋の裏口から真っ直ぐ二階の子供部屋へと入って眠った。 私は離れに泊まりたかったけど、叔母はそれを許してくれなかった。 でも時々、離れに泊まることを許してくれることがあった。 叔母を中心に、川の字ならぬ小の字に並んで、身を寄せ合いながら眠れることが、とても嬉しかった。 あの離れが、叔母の存在が、私の唯一安らげる居場所だった。
四十九日が明けて納骨が済んだ頃には、あれだけ強かった日差しも和らぎ、日が暮れるとひんやりとした風が往来を通り抜けていくようになっていた。 学校から帰った私は私服に着替えると鞄の中から文庫本を取り出し、すぐに離れへと向かった。 離れの庭先で小春が遊ぶ声を聞きながら縁側で本を読むことが、私の新しい日課になっていた。 そうすることで、まだ叔母と繋がっているように感じられたからだ。 だけど、その日は違った。 縁側に小春の姿はなく、かわりにだらしなく寝転んで煙草を吹かす母の姿があった。 壁には下品に輝く金色の打掛が飾られ、畳の上には真っ赤な布団が陣取っている。 「母様」 自分でも驚くくらい、その声は震えていた。 「お帰り、千秋」 母は惚けた顔で私を見上げる。 青地に白い蝶の模様が入った浴衣の裾がはだけ、赤みがかった太腿が覗く。 「何でこんな事を」 「さあね」 聞いてるのか聞いていないのか、母はぷかりと煙を吐き出す。 「ここは叔母様の部屋です」 「この間まではね」 「そんな言い方、叔母様が」 「叔母様叔母様って五月蠅いねぇ!」 母は立ち上がり、私に向かって煙草を投げつけた。 「誰が腹ァ痛めてあんたを産んだと思ってるんだ。あんたの大好きな叔母様じゃないだろっ!」 頬に痛みが走る。 「あたしだよ! あたしがあんたの母親だっ!」 母は私の頬を叩いた右手を振るわせながら、顔を紅潮させて私を睨んだ。 「なんだいその目は。気にくわないのかい、それとも馬鹿にしてんのかい! 誰があんたらをここまで喰わせてやったと思ってるんだ!」 そんなことはわかってる。わかっているから――嫌なんだ。 「気にくわないなら出ていきな。もっとも、やっと中学に入ったばかりの小娘が一人で生きていけるほど、この世は甘くはないけどね!」 それだってわかってる。言われるまでもなく、何十回と考えたことだってある。 いちいち嫌なことばかりを言う。 こんなのが母だなんて。 「それが出来ないなら黙って従うんだね。わかったら部屋に戻りな。ここはもう、あたしの部屋なんだからね」 母は勝ち誇ったように歪な笑みを浮かべると、再び縁側に寝転び、私に背を向けた。 何も言い返せない自分が情けなかった。
この家に今住んでいるのは、私達三人と六十過ぎのお手伝いさん一人だけ。 母屋にはいくつも空き部屋があり、たまのお客様が逗留したとしても、全部の部屋が埋まることはない。 なら何故、母はあの離れをそのままにしなかったんだろうか。 思い出してみると、母と叔母が会話をしているところを見たことがない。 思い出話のひとつやふたつ出てきても良さそうなのに、母からも、叔母からも、そんな話を聞いたことがない。 私と同様に、叔母は母が嫌いだったのだろうか。 そして母も、叔母が嫌いだったのだろうか。 だから母は、叔母の離れを奪ったのだろうか。 ならば、叔母を慕っていた私達のことも、母は快く思っていないに違いない。 そんな母とこれから何年も、いや、もしかしたら何十年も暮らさなければならない。 その事実が、私の心を重くさせた。
その夜、私は吹き込む風の冷たさに目を覚ました。 風は開け放たれた扉から入り込んでいた。 隣を見ると、そこにあるはずの小春の姿がない。 二階に設えられている洗面所を覗いたが、そこにも小春の姿はなかった。 嫌な予感がして、私は一階に下りると裏口を抜け、離れのある竹林へ向かった。 竹林は離れから漏れる薄明かりに照らし出され、風に揺れている。 そのすぐ側に小春が立っていた。 小春はじっと、離れの障子に映る人影を見つめていた。 絡み合うふたつの人影を。 私は小春を抱きかかえると、足音を偲ばせて母屋に戻った。 子供部屋に戻り小春を布団に寝かせると、さっきの情景が頭の中に浮かぶ。 私はその情景を消すために大きくかぶりを振ると、布団に潜り込んで瞼を閉じた。
お前の母親は絵じゃなくて体を売ってるんだぞ。 小さい頃から、何度となく耳にした言葉だ。 そんな陰口には耳を塞ぎ、聞かないふりをしてきた。 からかいが度を超した時は相手に掴みかかったり、箒で叩いたりもした。 その度に教師からは遣り過ぎを窘められたが、その言葉の裏に、事実なんだから仕方がないだろうという侮蔑を感じることも多かった。 私もそんなことくらいわかっていた。 だけど、母が何をしようが私には関係のないことで、私は母とは違う。違うんだ。 私には叔母がいる。 あんな母なんかいらない。 ずっとそう思って生きてきた。 だけどもう、叔母はいない。
朝食の席に母の姿はなかった。 小春はぽろぽろとご飯を零しながら、お手伝いのタツさんと楽しそうに喋っている。 家事はすべてこのタツさんがひとりで切り盛りしていて、母は何もしない。 私や小春を育ててくれたのもタツさんだ。 叔母が亡くなってから、タツさんはまだ幼い小春の面倒をかいがいしく見てくれている。 たぶん、タツさんも母の素性を知っているんだろうと思う。 タツさんは祖父が生きていた頃からこの家で働いている。 そのタツさんに母はどのように映り、どう思っているのだろうか。 ぼんやり考えながらただ流れ作業のように食事を終えると、私は鞄を手にして勝手口から外に出た。 その時、前方を歩く人の姿に気づき、私は物陰に隠れた。 似合わぬスーツ姿の、酷く太った中年男。 確か、画商の田之倉とかいう男だ。 田之倉はニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべ、腹を揺らしながら裏口の門をくぐって出て行った。 私の頭の中に、昨夜の情景がちらつく。 私は吐き気を抑えながら、田之倉と鉢合わせしないように、じっと時が過ぎるのを待った。
その日から、母は離れに籠もりきりになった。 身の回りの世話はタツさんが見ているのだろう。 叔母と同じように。 叔母とは違うのに。 母屋の一階にはアトリエがあるが、そこに出入りしている様子もない。 絵描きなのに。 そういう体を取り繕うこともやめたのか。 今の母の日常を想像するのも嫌で、私は離れのことを忘れるようにした。 しかし小春が夜な夜な寝惚けて、部屋を抜け出して離れの前に行ってしまう事があった。 その手に真っ新な千代紙や好きな絵本を持って。 小春はぎゅっとそれらを掴んだまま、離れの障子に映し出される醜悪な絵巻を見つめて固まっていた。 私は何と言っていいかわからなかった。 どう言えば、叔母が死んだことを小春に理解させることが出来るんだろう。 そしてそのことを説明すれば、きっとあの離れで行われていることも聞いてくるに違いない。 何も言えやしない。 こんな事、タツさんにも相談できない。 夜中に目を覚まして隣に小春の姿がないことに気づくと、私は暗い気持ちに押しつぶされそうになる。
昨晩から降り始めた雨は、朝になっても止まなかった。 授業が終わる頃に雨足は弱まったけど、陰鬱な灰色の雲は散ることなく空を覆い続けていた。 いつも以上に重い足取りで家の裏手に回り、裏門をくぐる。 その時、小春の楽しそうな笑い声が、離れの方から聞こえた。 私は足音を忍ばせながら、そっと離れに近づいた。 離れの庭先では、長靴を履いた小春が楽しそうに水たまりの上ではしゃいでいる。 そして縁側には――叔母がいた。 叔母は白地に赤蜻蛉模様が入った浴衣を着て、はしゃぐ小春の姿を見て微笑んでいる。 その叔母の笑顔を見て、小春はさらに上機嫌になって水たまりを踏む。 これは現実なんだろうか。 それとも夢を見ているのだろうか。 私はそっと二人に歩み寄ろうとした。 けど、その足が止まった。 違う。 あれは叔母じゃない。 あれは――母だ。 見間違いかと思ったが、それは間違いなく母だった。 よく考えてみれば当たり前のことだ。母と叔母は双子だったのだから、似ていて当たり前なんだ。 でも、今までそんなことに気づかないほど、母と叔母はあまりにも違いすぎていた。 そう、母と叔母は違う。 なのに、何でこうも似ているんだろう。 何で、叔母と同じ笑顔が出来るんだろう。 何で、小春はあんなに楽しそうなんだろう。 心の奥で、何かが騒いでいた。 私はふたりに気づかれぬよう、来た道を戻った。
その夜、また小春が姿を消した。 私は傘を手にすると離れへと向かった。 小春はいつものように離れの手前に立ち、障子をじっと見つめている。 小春は小さなピンクの雨傘と雨合羽、そしてピンクの長靴をしっかりと身につけている。 障子には人影が映し出されていないが、中から話し声がする。 私は雨音に紛れて近づき、耳をそばだてた。 「ねえ、頼むよ」 甘えるような田之倉の声だ。 「まったくどいつもこいつも、あんな小娘の何処が良いんだか」 面倒くさそうに母が応える。 「伊勢佐木町の漢方屋は二百万積むって言ってるよ。田之倉さん、あんたはどうする?」 「三百だ。三百で……小春も付けてくれ」 「考えておくよ」 障子の向こうで、母があの薄笑いを浮かべているに違いない。 私はすぐに小春を連れて子供部屋に戻った。
翌日、日曜日には雨はあがり、いわし雲が青空に広がっていた。 朝食を済ませると、私は離れへ向かった。 離れの障子は開け放たれていて、散らかった布団の真ん中で俯せで寝ている母の姿が丸見えだった。 「母様」 私の呼びかけに、母は蜥蜴のように上体を起こし、私の顔を見上げた。 「どうしたんだい?」 「聞きたいことがあります」 私は母の目を真っ直ぐに見た。母はすぐに目を伏せ、佇まいを直した。 「そうか、やっぱり昨日の話を聞いてたんだね」 「あれはどういう……」 「商売の話をしようじゃないか」 母は縁側にあぐらをかくと、そこに転がっていた煙草ケースから煙草を一本取り出して咥え、金色のライターで火を付けた。 ゆっくりを息を吸い込み、ゆっくりと吐き出す。 「あんたの水揚げのことだ。どういうわけかね、あんたのはじめてを買いたいという連中が多いんだよ。 あたしは胸や尻が育って分別が付くまで待てって言ったんだけどね、男連中はこの時期が良いとか抜かすんだよ。 その中でも高値で買いたいというのが、画商の田之倉さ。 あいつはいいよォ。優しいし、小さいし、早いし。重たいけどねぇ」 「小春を付けろって」 「なんだ、そこまで聞いてたのかい。そうだよ。小春も交えて三人でしたいんだとさ。 中学生の小娘と、まだ小学生にもなっちゃいない小娘をさ。あたしにはわからないねぇ」 「小春は……母様を慕ってるじゃありませんか」 そうだ。私とは違う。 小春は優しくしてくれる時の母を、無防備なまでに求めている。 母だって、一度はその思いに応えていたじゃないか。 「そうだねぇ。だから言いつけは良く守ってくれるだろうね。田之倉には小春は触るだけって言い含めてあるよ」 「そういう問題じゃ」 「だったら、あんたが小春を守るんだね。小春の分まで田之倉を悦ばせてやりゃあいいのさ。お姉ちゃんだろ?」 「……あなたって人は……」 醜い。あまりにも醜い。 「三百のうち二百はあんたにやるよ。それだけあれば出て行けるだろ。あとは好きに生きるがいいさ」 何でそんなことが平気で言えるんだ。娘のことなのに。 私だけじゃなく、小春まで。 「――それが母様の本心ですか」 「そうさ」 母は気持ちよさそうに煙草を吹かし、空を見上げた。 この女はもう母ではない。 叔母の部屋に巣くう女郎蜘蛛だ。 ポケットに忍ばせた鉛筆削りの肥後守に、そっと手を伸ばす。 その時、叔母の言葉が不意に蘇った。 ――朝の蜘蛛は仇でも殺すな。 単なる迷信だ。 でも、叔母の残した教えを、叔母の部屋で破ることは出来ない。 私は肥後守に触れていた手を離すと、母に背を向けた。
窓の外から鈴虫の鳴き声が聞こえる。 付けたままの腕時計を見ると、蓄光式の針は二時過ぎを指している。 私はそっと布団から抜け出ると、勉強机の引き出しを開く。 そこに入れてあった肥後守を取り出すためだ。 しかし、木製の鞘に収まった肥後守は、あるべき場所になかった。 他の収納品をどかしてみても、何処にも見あたらない。 昼間のあの時、竹林に落としたのかもしれない。 ――諦めようか。 ふと心を乱す弱気をはね除ける。 部屋を出て階下におりると台所を目指す。 そこには予想通り、手入れの行き届いた様々な調理器具が収められている。 その中に、手頃なものを見つけた。 鋭いアイスピック。 これなら両手でしっかり力を籠めることが出来る。 私はそれを握りしめると、裏口から外へ出た。 風はなく、竹林には虫の音だけがこだましている。 月明かりに照らされた道を進むと、離れが姿を現す。 予想通り灯りは落ち、母は深い眠りの中だろう。 改めてアイスピックを握り直す。 ゆっくりと音を立てぬよう、廊下に上がる。 アイスピックを握る右手が小刻みに震える。 恐れるな。あれは母じゃない、蜘蛛だ。 そして今は昼間じゃない、夜だ。 自分に言い聞かせながら、私は障子をすっと開いた。
派手な朱色の布団から夥しい血が溢れ、畳を深紅に染めていた。 金色の打掛には血しぶきが新たな彩りを添えていた。 布団の上には盆の窪から鮮血を迸らせた田之倉が、俯せに倒れている。 そしてその田之倉の身体の下に、母の姿があった。 苦悶の表情を浮かべた母の胸には、あの肥後守が深々と突き刺さっている。 どちらも既に事切れているようだった。 「ねえさま」 その声は部屋の片隅から聞こえた。 そこには、返り血で真っ赤に染まった小春の姿があった。 小春は顔と手足に付いた血を拭いもせず、二人の死体を眺めている。 そういえば、私は部屋を出る時、小春が寝ているのを確認しただろうか? 今夜の計画に気を取られて、小春のことを忘れていた。 「小春……これは、あなたが……?」 「うん。おばさまのいうとおりにしたの」 やっぱりそうだったんだ。 障子に映る二対の手足を見つめる小春の姿を、私は思い出した。 八本の手足を持つ塊。 そして、叔母が教えてくれたあの言葉を、小春も覚えていたんだ。 「あさのくもはかたきでもころすな……よるのくもはおやでもころせ」 小春はにっこりと微笑んだ。
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» 【+4】朝の蜘蛛は仇でも殺すな [せんべい猫のユグドラシルから] × とても良くまとまっていると思います。 伝えたい場面や情景を定めて、過不足なく情緒を絡めて描かれていて、その流れが滞ることなく結末... ... 続きを読む
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» 【+3】朝の蜘蛛は仇でも殺すな [峠の塩入玄米茶屋/2009から] × 大変情緒的であり、ウェットな雰囲気を持つ作品である。構成もよく練られ、文章も巧い。どちらかと言えば好みである。行間を読む、という事が苦手な人にはわかり難い部分もあるかも知れないが、かと言って、あまりに説明やら何やら書いてしまうと情緒もへったくれもない .. ... 続きを読む
受信: 20:51, Thursday, Sep 24, 2009
■講評
なるほど。良く書けていると思います。 ラストも良く考えてありますしね。
ただ私はこういうウェットなのはちょっと苦手なので。^^;
【アイデア】+1、【描写力】+1、【構成力】+1、【恐怖度】0 |
名前: ユージーン ¦ 22:34, Thursday, Sep 03, 2009 ×
冒頭からよく練られた描写でぐいぐい引きこまれました。 折り紙を折る様子は実際に間近で見ているようで、他の部分の描き方もとても細かく情景が浮かんできて、文章だけでも優れていると思いました。 感情移入しやすい主人公も分かりやすい話も、よく出来ていると感じます。 特に、色は作品の中で効果的に使われていて、場面の印象を強くしているところも良かったです。
ただ、これは因果対象となっている「紫陽花の」から結末の手法も共通しているんですが…。 「紫陽花の」も家族間のいざこざ話をホラーと繋げた作品で、二作品共に結末で決着をつける人物が主人公以外の子供であり、最後に笑って終わっています。 設定は違えど、主人公の代わりに他の無垢そうな子供が残酷な振る舞いをして済ませるのを、二度目も同様に終わらせるのはちょっと微妙に感じました。 今回は蝶の時とは違って、殺るのは大人の人間相手なので、スケールアップした分、年齢の割に随分と慣れた手順と殺し方である事に少し違和感がありました。 そこは小説の世界だからと愉しむべき部分かとは思うのですが、やはりこの作品が地道に日常を積み重ねて描いていく事によりリアルさを出しているだけに、最後も年齢相応の自然な形であればと思った次第です。 この題名にはこの結末でなければいけないのは勿論分かってはいるのですが…。
「朝の蜘蛛は仇でも殺すな」は手堅い作りで安心して読める作品ではあるのですが、迷いながらも少し辛い意見を書かせていただきました。作品の内容自体はとても良かったのですが、文章の質の高さゆえにどうしても技術的な面につい目が行ってしまい、申し訳ないのですが素直に面白いと感じられなかったのかもしれません。
アイデア・1、描写力・1、構成力・1 |
名前: 気まぐれルート66 ¦ 03:20, Friday, Sep 04, 2009 ×
恐怖度0 文章力1 構成力0 アイデア1 たいへん長く、それなりに雰囲気を出してよく書けていると思います。 ただ、残念なのはどこかで読んだお話、パターンだという事。 母親も身体を売っていたのは生活=娘を養うためもあっての仕方ない事情もあると思うのです。 その辺りの悲哀を描けていたら、もっと重みが増していたかもしれません。 文章もちょっと装飾が多くて読みづらい部分がありました。 怪談としては予定調和的な展開で、途中からオチが読めてしまったのが残念。 ラストは上手くまとまっていますが、もっと他の意外な終わらせ方もあったのでは? と思うのです。技術でうまくカバーされた作品という印象を受けました。だから読んだあとも重みを感じられなかったのです。 力量がある方と思い、あえて厳しいことを申し上げてしまいました。申し訳ございません。 |
名前: 妖面美夜 ¦ 22:07, Saturday, Sep 05, 2009 ×
長く分量をとった割りに、内容は結局他で語られたことの枠をでていませんね。 それが採点理由です。残念です。 何でもいいから、何か新鮮なものをここで読みたいです。残り期間僅かですが、文章力のある方なので、あなたに期待します。 |
名前: あおいさかな ¦ 19:08, Wednesday, Sep 09, 2009 ×
ラスト、思わず膝を叩きました。 お見事です。しかし養い手を殺した姉妹のこれからの人生を想像すると、暗澹たる気分になりますね。長さの分、じわじわくる嫌悪感と心理描写がぎっしり詰まっていて読み応えがありました。 お金を払う価値のある一編だと思います。
恐怖+1 文章+1 構成+1 |
名前: もりもっつあん ¦ 18:26, Wednesday, Sep 16, 2009 ×
楽しませて頂きました。 文章も巧みで、設定もしっかりしていて、面白かったです。 惜しむらくは、小学生にもなっていない小春が、果たして大人二人をそう簡単に殺せるものか、という疑問が浮かんだところですね。 ちょっと細かいかもしれませんが、これがなければ、4点つけていたと思います。
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名前: PM ¦ 19:21, Wednesday, Sep 16, 2009 ×
・アイディア+1 小春は、叔母の部屋で絡み合う母親と田之倉の塊を八本足の蜘蛛に見立て、それを殺すか殺さないかの時期判断を諺に委ねた。 千秋は、「この女はもう母ではない。叔母の部屋に巣くう女郎蜘蛛だ。」の後から田之倉のことを考えている描写がないので、叔母の部屋で性行為をする母親のみを、主の居なくなった古い部屋に巣を張る、という意味も込めて女郎蜘蛛に見立て、それを殺すか殺さないかの時期判断を諺に委ねた。 という解釈で良いのだろうか。 私に感性が無いだけなのかもしれないが、分かりにくかった。ただでさえ、読み直すのが面倒な作風なのに。心理や風景描写の細かさとの落差を見るに、わざとこの部分をぼかして書いているように感じたが、明言しない意味があるのだろうか。一言二言、軽く整理してくれるだけでいいのだが。説明を避ければ高尚な雰囲気になるのかもしれないが、本来なら、不明瞭なことをいちいち深読みする義理は読者には無い。講評や再読で悩んだ時間をとても無駄に感じる。 また小春の方は説得力があるが、千秋の方は、「女郎」の部分はよいとして、母親に対して「蜘蛛」とする部分が飛躍に思え、「話の都合によるこじつけ」臭さを感じた。古部屋に巣くう虫は色々いる(ゴキブリとか)ので、蜘蛛と特定できる要素が必要だと思う。それまでの長い文章で、千秋が母親から蜘蛛っぽい印象を受ける描写を少しするだけで、簡単に解決できることだと思うのだが。「叔母と違い、母は派手さを好む人だった。」のくだりなど、絶好の機会かと思う。サロン(巣)に客や男を捕まえる感じで絡めるとか。 +0.5くらいだが四捨五入。
・描写と構成±0 文章には情緒がある。難を言えば、「ここは叔母様の部屋です」や「そうか、やっぱり昨日の話を聞いてたんだね」からの会話になると、機械的で、途端にそれが崩れていく印象。 障子に映る「八本の手足を持つ塊。」については、後背位とかの姿勢にも触れると、蜘蛛だという説得力が増すかと思う。 構成は、内容はともかく、書くべき事は順序立てて書かれているように思う。 ここまでなら+1。だが、「アイディア」の所で書いた通り、非常に不明瞭な部分があるように思うので、減点。 ・怖さ−1 怖がらせようとしている部分がない、もしくは、それに準じるほど話の長さと比べて薄いように思える。 「自分に言い聞かせながら、私は障子をすっと開いた。」までは全て結末の為の下準備だと思うのだが、そこから、小春が先に殺していました、という話をぽんと出されて、それで怖いのだろうか。 また、母親のみを標的にしている千秋と視点を共にさせられていた私は、突然田之倉が出てきて「?」と戸惑った。その違和感がずっと気になって、アイディアの所でくどくどと書いている。 意外性や小春の無垢な殺意を描いた、というには、小春の人物描写が足りていないと思う。「叔母の死がちゃんと理解できず」な幼い所、離れの障子を見つめている時に内心で何を考えていたか、が軸になるかと思うが、巷に溢れているパターンそのものの域なので、それだけで怖くなったりはしない。 ・買っても後悔しない魅力−1 上品な怖さを目指したのかもしれないが、コストパフォーマンスの問題で、「こんなに長く文章を読まされて、この程度のオチ?」と強く思ってしまう私がいる。 |
名前: わごん ¦ 22:54, Sunday, Sep 20, 2009 ×
べったりとした厭な雰囲気のある、なんとも哀しい話に思えました。 母親に感情移入をしてしまい、しかも書いてある通りにはどうしても読めずに彼女の感情を深読みして、逆に千秋と小春に「お母さんは本当はそんな人じゃないよ」と言いたくて仕方がありませんでした。
>「――それが母様の本心ですか」 「そうさ」 母は気持ちよさそうに煙草を吹かし、空を見上げた。 ここで、いや違う! 千秋ちゃんそれは違うよ!と。著者の方の意図とはかけ離れているかもしれませんが、私はこの母親の「子どもに愛されなかった哀しみ」「愛し方が判らない哀しみ」というものを、過剰に想像しております。
そして叔母。ひょっとしたら叔母はこの母に多大なコンプレックスを抱いていて、なんというか歪んだ復讐心というか…そういう感情ゆえに千秋と小春に「母ではく、自分を好きにさせることで」そのコンプレックスから逃れようとしていたのでは等々、妄想はどこまでも広がってしまう始末です。残念ながら恐怖は感じませんでしたが、哀しさとやりきれなさと絶望感はたくさん感じさせていただきました。
*文章+1 *雰囲気+1 *絶望感+1 *恐怖−1 |
名前: げんき ¦ 00:47, Tuesday, Sep 22, 2009 ×
発想+1 文章+1 構成+1 恐怖0 あまり好みではないです。 正直嫌いなタイプの話で、好みだけで判断すればマイナスなんですが、今まで固辞してきた自らの講評基準に忠実であろうとすれば、この話の完成度を否定することはできません。 まず筆力。じっくり読むと良さが際立ち、走り読みすると目立たない。 そのあたり損と言えば損ですが、「やられた感」を誘われてやられました。 だからこそ細かいことなんですが、「そう答えたけど、別に鶴が欲しかった訳じゃない」の「そう答えたけど」の部分、「そう答えたが」のほうがスムーズかなと。 いや主人公が中学生の女の子であることを考えるとそれでいいのかもしれないんですが、ちょっと引っかかった。 「ぱっちりとした瞳、しゅっとした鼻」というのももう少し描写を工夫してもよかったかなと思います。細かいですが。 母と叔母が双子だった、というのはいきなり鼻先に突きつけられた感じで唐突感があるので、早めに伏線を張っておいても良かったかと思います。 それからやはりまだ小学生にもなっていない小春が大人二人を惨殺、というのはいささか無理があるので、もうひとつ何かが必要かなと。 怖さはそれほど感じませんでしたが、結末もきっちり落としてあって良いと思います。 嫌いですけど。
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名前: 戯作三昧 ¦ 05:30, Friday, Sep 25, 2009 ×
恐怖度 1 雰囲気 2 情緒的で、一貫して静かでありながら底流に激しさがある事を感じさせる物語だと思います。自業自得とは言え、子供たちの愛情を貰えない母親が見せる傲慢な態度が、どこか可哀想にさえ感じられました。「夜の蜘蛛は親でも殺せ」という言葉をこのようなラストに結びつけたのは、とても良いアイデアだと思いました。 |
名前: 白長須鯨 ¦ 16:50, Friday, Sep 25, 2009 ×
巧い。まずはその言葉が漏れました。これだけ長い文章でありながら、穴がありません。それぞれの登場人物も良く描けており、全体の流れも滑らかです。最終的に子どもが絡んでくるという点のみ気になったぐらいです。それとても、先行作品である『紫陽花の』が無ければ問題は無かったのですが。
発想・0 構成・1 文章・1 恐怖・1 |
名前: 三面怪人 ¦ 20:56, Friday, Sep 25, 2009 ×
母親の嫌らしさはよく出ていて、惨殺されることによるカタルシスめいたものは感じました。 ただ、大人二人を殺すには小春の腕力に疑念があるので、そこらへんを補強するような要素が何かあったらすんなり腑に落ちることが出来たかも知れません。 大きな恐怖ポイントというのは無かったのですが、全体に通底するジメジメした嫌なものの集成としてある種のそれを感じました。
アイデア 1 文章 0 構成 0 恐怖度 1
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名前: 鶴の子 ¦ 05:28, Sunday, Sep 27, 2009 ×
追記: 私は昔、重度の中二病患者でして。まあ、今も治ってるのかと言われると微妙なんですが。w でまあ、昔は良く「この作品はここがリアルじゃない、あそこが間違ってる」とひたすら指摘しては作品をバカにしてる痛い子でした。 そんな日々を重ねている内に、とうとう、私は負けを認めざるをえない日が来てしまいました。
リアルな作品にどうしようもない駄作はいくらでもあるし、リアルでない作品でおもしろい作品だってある。 リアルであるかどうかってのは決定的な要因ではないと屈伏せざるをえなかった。 むしろ、リアルでない、間違った部分があっても、その間違いを受け手に納得させるだけのパワーのある作品の方がよほど面白いんですね。 それ以来、私にとって面白さに占めるリアリティーの比重が非常に低くなりました。
あなたの作品は非常にリアルで、正しくて、矛盾がなく、緻密に構成されている。 主人公は最後に母親を殺そうとするという暴挙に出る訳だけど、それにも非常に正しい動機がある。 でも、それは私にはあまり魅力的じゃないんですよ。 私にとっては人間が理性を振り捨てて一歩飛び込む姿にひかれてしまうんです。
昨年の遺伝記で私が4点をつけた作品に「ジョンソン」と「猫女」があるんだけど、どっちも追いつめられた人間がとる不合理な判断って言う所にすごく魅力を感じるんです。 そこにある、ある種の狂気が好きなんです。 この作品では最後に妹が母親を殺すっていう不合理が出てくるんだけど、これからおいしいってところで終わっちゃって実に残念。 私としては気やすく人を殺してしまう妹をかかえて、どうしようもなく右往左往してしまう姉のお話の方が読みたかった。 そういうリアリティーってワクから外れて、その先がどうなるのかわからない、真っ暗闇の中を突進する列車のような話を。
でもね、私が4点を付ける作品をもしもあなたが書かれたとしたら、その作品の点数はたぶん、この作品の半分になっちゃうんだよ。w そんなの誰にも評価されない。 つまり私の言い分なんか気にしてもしかたないんで気にしないで下さい。
最初に講評してからずっと最後の1点についてどう説明するか考えていました。 ご理解して頂ければ幸いです。 |
名前: ユージーン ¦ 01:49, Wednesday, Sep 30, 2009 ×
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QRコードの中に 潜む実話怪談

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