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―「本当に困るのよね、あの『虫屋敷』!」 耳に飛び込んできたその一言に、私はふと足を止め、そちらに視線を送る。 そこでは1人の中年女性が、知り合いと思しき同年代の女性と立ち話をしていた。 眉の間に大きなしわを作りながら、女性は大きくため息を吐き、いかにも呆れたように―困ったように、話を続ける。 「ほら、2丁目の、あの古いアパートよ!知ってるでしょう?」 「ああ、あのアパートね?確か・・・住んでいる人が、皆害虫のせいで出てっちゃう、っていう・・・・」 知り合いが頷きながらそう答えると、女性はますます勢い込んで声を張り上げ、オーバーに手を振り回し始めた。 そんなに怒鳴らなくても、目の前にいる人には十分聞こえているだろうに。 私は不満を顔に出しながら、心の中でそう呟く。 彼女が私に気付く気配など、微塵も無いけれど。 「そうなのよ!あそこ、実は主人の親戚が大家をやってるんだけどね。もうとにかく害虫が出て仕方ないの!ゴキブリは出るわ、蜘蛛は出るわ、蚊は出 るわ・・・しかも殺虫剤を撒こうとすると、1人だけ残ってる住民が猛反対するんですって!裁判沙汰にされたら厄介だし、何よりその人が出てっちゃった として、もし虫の害が止まなかったら、住民が1人も居なくなっちゃうじゃない?その親戚も、難儀してるらしいのよ」 「そうなの・・・でも、どうしてその人は殺虫剤を撒くのに、そんなに反対してるのかしら?あの人だって、そのアパートに住んでいるからには、害虫の被 害に遭ってるんじゃないの?」 「知らないわよ、そんな事!カブトムシかクワガタの繁殖でもしてるんじゃないの?若しくは『虫愛ずる姫君』ならぬ、現代版『虫愛ずる殿方』だとか !ああもう、厄介ったらありゃしないわ!アパートの稼ぎが少なくなってる所為で、その親戚がうちにしょっちゅう転がり込んでくるのよ?全く、うち の旦那だってそんなに甲斐性があるわけじゃないのに・・・」 女性の話はそのまま自分の夫への愚痴へと移行していったが、私の頭の中では、「虫屋敷」の話が、鐘の音のように響いていた。 害虫の出るアパートと、そこに住み続ける、害虫駆除の反対者。 傍から聞けば、それは今では珍しくも無い「厄介な居住者」についての、大家に近い人間側からの愚痴となるだろう。 だが私には、その話は単なる井戸端会議の話題以上のものに感じられた。 私の感覚が、訴えてくるのだ。 そこには、人間の通常の感覚では計りかねる「何か」が、働いていると。 人間がどう動こうとも解決しない「もの」が、その背景にあると。 それを解決できるのは、ただ1つ。 同じ領域の、存在だけ・・・・ 「・・・・2丁目、か」 私は小さく呟いて、女性の言葉を反芻する。 私の家は、2丁目には無い。だが、2丁目からそう遠くないのも事実だった。 おそらく「虫屋敷」の場所は、私の感覚が教えてくれよう。だが、家に帰ったらまず一度、我が家近辺の地図を見ておかなくてはなるまい。 効率のいい道を、探さなければならないのだ。 移動能力の低いこの体でも、そこまで短時間で行き着くことの出来る道を。 「・・・・まゆちゃん?そろそろ帰りましょう」 「あ・・・うん!」 頭上から聞こえてきた声に我に返って、私は「この体」に適した返事を、声の主に返す。 声の主は、私の「母親」。 私に―いや、「この体」に愛を注いでくれる存在。 彼女の温かな笑顔に、私は誠意を込め、同じ笑みを返した。 「まゆちゃん、今日のお夕飯はハンバーグよ。まゆちゃん、好きでしょ?」 「うん!まゆ、ママのハンバーグ、大好き!」 それは本当の事だった。彼女の作る料理は、まず失敗した事が無い。 それに彼女の料理には、既製のものには無いものが―それを食べる者への愛情が、しっかりと宿っているのが、私には感覚でわかる。 だから、私は「効率よく」、「判らないように」物事をなさねばならないのだ。 彼女に心配をかけないように、何より、彼女の愛を裏切らないように。 彼女にとって、「まゆ」はかけがえの無い宝なのだから。 「ママ!まゆ、お夕飯のお手伝いしてあげるね!」 「ありがとうね、まゆちゃん。まゆちゃんは本当、いい子ね」 そうして私は、彼女と手を繋ぎ、家路を急ぐ。 頭の片隅にしっかりと、「虫屋敷」の事をとどめて。 月が明るく照り輝き、ススキが揺れる音はさらさらと、妙なる調べを奏でている。 それら全てに囲まれながら、私は自分の前に聳え立つ「虫屋敷」を見上げた。 今は午前2時。母親は既に、「小学生」である娘がちゃんと就寝した事を信じて、床についているだろう。心の中で彼女に謝り、そして改めて決意す る。 自分は決して、「家族」も「同族」も裏切らない、と。 「・・・・・何用ですか、小さな方」 虫屋敷を包む空気が、ふわり、と揺れ、ドアではないところから着物姿の女性が1人、また1人と、私の目の前に現れる。 皆、揃って警戒をむき出しにした顔をしていた。 彼女らには、私が誰か分からないのだろう。そういう「姿」になってしまった自分に苦笑すると、女性の1人が何を勘違いしたか、怒った様子で前に 出てくる。 「我が主の穏やかな眠りを邪魔するならば、例え幼子とはいえ許しはしませんよ」 「眠り、か・・・お前たちはそれを守る為に、主以外の人間を追い立てたのか」 「何ですって?」 「−お待ちなさい」 彼女が更に怒りを強くして私に詰め寄った時、女性の中の1人がスッと前に出、憤慨している女性を押し留めた。 「あなた・・・ただの子供ではありませんね?何者です」 どうやら、彼女がこの女たちの頭領であるようだ。 そして他の女たちよりも、話が通じそうである。 私は彼女に同意を込めて、1つ頷き―自分の本来の姿を、解放した。 「「「・・・・・・!!!!」」」 その様に、女たちは纏めて言葉を失い、一斉にその場にひれ伏した。 敬われるのは好きでないが、これだけは仕方あるまい。 私は今、人間の体に8本の腕を持ち、自らの糸で織り上げた薄絹を身に纏った大人の女性―かつての私の姿になっている。 虫に起源を持つ妖怪たちの頭領たる、「土蜘蛛」であった頃の、自分の姿に。 「こ、これは土蜘蛛様・・・・私たちは、なんと無礼な事を」 「良い。頭を上げよ」 他の者は私の姿に相当恐れてしまったようで、私の言葉におずおずと頭を上げたのは、頭領格の女性のみだった。 まぁ、いい。 話さえ聞いてくれれば、私の目的に何ら支障は無いのだから。 「お前たちに、頼みがある。これ以上お前たちの主以外の入居者に、害を成すことをやめては貰えまいか」 「し、しかし、土蜘蛛様・・・・こればかりは、我々とあの方との盟約なのです」 頭領は恐怖と、そしてほんの少しの不愉快さに眉をひそめながら、私に応える。 「私たちは、あの方の―害虫と呼ばれ蔑まれた私たちに、食べ物と住処とを与えてくださったあの方の為ならば、命も捨てる所存でございました。です が、あの方はなんと謙虚な方でしょう、自分が求めるものは、ただ安らかな眠りであると仰って下さったのです。私たちは余計に、あの方に報いなけれ ばなりません。この事は如何に土蜘蛛様のご下命とはいえ、違えたくは無いのです」 「だが、これ以上今の状況を―人の世を考える事のない行動を続ければ、今度はお前たちの主に災いが降りかかるやも知れぬのだぞ。私が愛した、あの 方のように」 「あの方・・・・?」 頭領の表情が、戸惑いと疑問のそれへと変わった。他の女性たちも私の真意を探ってか、頭を下げたままお互いにひそひそと話し合っている。 私は、自分が思い出に泣かされてしまわないよう、大きく息を吐いて腹に力を込め― ―かつての私の物語を、彼らに語って聞かせた。 「私がまだ『土蜘蛛』であった時、私はとある村の背後にそびえる山の、山神を務めていた。土蜘蛛である以上、人を食う事は避けられぬ。故に私は村 の者どもに、毎年1人づつ贄を捧げるよう申し付けた。そうすれば山での収穫を約束する、と。村の者たちは、愚直にそれを守った。毎年若い男が山へ 連れてこられては、贄として私の洞へ放り込まれたものだ。彼らの大半は、私の姿を見るなり、悲鳴を上げた。なんとおぞましい姿だ、この化け物め。 彼らが言う事といったら、それくらいのものだった。食べ物に何を言われても、あの頃の私は気にしなかったからな。そのまま泣き叫ぶそいつらを、一 口に飲み込んでやった。だが、最後の1人は・・・あの方だけは、違ったのだ―」 ―私の洞へと放り込まれると、あの方はすぐに私のことを、興味深そうな目でじっと見つめてきた。 きっと、こいつも他の者たちと同じように叫ぶのだろう。 私が「神」である事も忘れ、「化け物」、「こっちへ来るな」、「この醜い毒蜘蛛め」、と。 だから私もいつもと同じように、飲み込んでやろうとした。 なのに。 なのにあの方は、私をしげしげと見つめた後、こう言ったのだ。 「・・・・ああ、あなたが山神様・・・なんと雄雄しきお姿か」 「・・・・雄雄しい、だと?」 初めて言われたその言葉に、私は一瞬拍子抜けして、初めて人間と言葉を交わした。 私が雌である事に気付いたか、あの方は驚いた顔になって、照れくさそうに笑う。 「なんと、女神様でございましたか!これは、雄雄しいなどと言ってしまって、申し訳ありません」 「構わぬ・・・ただ、驚いたまでだ」 「驚いた・・・と、申されますと?」 「お前のことだ・・・今までの贄どもは、私を目にすればすぐに、おぞましい、醜い、恐ろしいと叫び声を上げた。だが、お前は違う。お前は私を、雄雄し いと言った・・・この姿が恐ろしくは無いのか、自分が食われることが恐ろしくは無いのか?」 私の問いに、彼は再び照れくさそうに笑い、頭を掻いた。 まるで人間を相手にしているような、そんな仕草で。 「恐ろしくない、と言えば、嘘になるでしょう。ですが、あなたはただの蜘蛛ではありません、私たちの生活を支えてくださる山神様です。あなたの恐 ろしいお姿は私に、恐怖よりも先に畏怖の念をかき立てます」 「畏怖・・・」 「それに・・・私には親も、妻も子もいません。それどころか、この悪い足の故に、村では鼻つまみ者として扱われてきました。その私が皆の為に役に立ち 、そして山神様の為に滋養となることができる・・・・これ以上に嬉しいことなど、ございません」 「・・・・・」 「そうだ、山神様・・・死にゆく私の願いを、1つだけ叶えてくださいませんか。私は、あなたの名を知りたいのです。私の名は、智ノ介と申します」 「・・・・私の名は、『まゆ』だ・・・・」 人間に、自分の名を教えたのは初めてだった。 そして、その瞬間、私の胸の中に、何とも形容し難い思いが溢れ返り―私は、智ノ介を食うのをやめた。 彼は「それでは贄の役目を果たせない」と言って慌てたが、私は彼に、こう告げた。 あなたは贄になった事にして、この洞に住めばいい。 私は二度と、人を食わない―巫女を通じて、この事は村の者たちにも伝える。 あなたと共にどちらかの命が尽きるまで、この山で生きていきたい、と。 智ノ介はあっさりと、それを受け入れてくれた。 私が望むならば、その心のままに、と言って。 共に暮らし始めてしばらくは、あたかも極楽にいるような毎日が続いた。 智ノ介は本当に天真爛漫な青年で、幼い子供の如くに山の様々なものに驚き、長い時を生きてきた私の話に瞳を輝かせてくれた。 何百年と生きてきた中で、あれほど多くの話をした相手は、彼しかいない。 そして、それらの昔話を心底楽しげに聞いてくれた存在も。 だからこそ私は、人を食わないことで起こるはずの、気が狂うような空腹を感じなかったのかもしれない。 智ノ介が常に私の心を、一杯に満たしてくれていたから。 そして、私もそれまで殆ど取った事の無かったこの姿―人間に似せた姿で暮らすことが、段々多くなっていった。 たとえ偽の体だとしても、私は彼と同じ姿で生きたかったのだ。 表面だけでもいい、この姿をとることで、私と彼とが人間の夫婦に見えるなら、これ程嬉しい事は無い、と・・・・・ だが。 少しして、村の作物が実らなくなり始めた。 私はあくまで「山神」だ。里の作物の事をどうこうできる訳がない。 しかし、村の人々は考えを飛躍させた。 これは、私が改めて贄を要求しているのではないか、と。 贄を捧げなければ、このままこの村は滅びるのではないか、と・・・・ そうして・・・・ああ、思い出すのも嫌な事が、起こってしまった! 村の男どもを引き連れた巫女が、新しい贄となる若い男を連れて山に登ってきた時、山葡萄を取ってくるために洞の外に出た智ノ介と、偶然鉢合わせ てしまったのだ! 彼は、殺されてしまったよ。 お前が贄としての役目を果たさなかったがために、村が不作に苦しむことになったのだと、あらぬ疑いを掛けられて。 智ノ介を食わない事を決めたのは私だった。 彼を食わなくても、私は贄を受け取っていた時と変わらず、村の者たちに山の恵みを与えてきた。 それなのに智ノ介は殺されてしまった。 巫女の号令で飛び掛った男どもに殴りつけられ、挙句は四肢を引き裂かれて、殺されてしまったのだ。 自分と同族のはずの人間に―かつては暮らしを共にしていた、仲間だったはずの存在に。 その死体は、改めて「贄」として私の洞に投げ込まれた。 私は死体を掻き集めて、数百年ぶりに大声で泣いた。 山が揺れ、川が溢れて、村を飲み込んでしまうほどに― 「・・・・彼は私に愛されたが故に、殺された。虫である私が、人の社会に思いをめぐらせることなく、人である智ノ介を手元において、愛した為に。彼を あの村とは別の人里に下ろせば良かったのだ・・・そうすれば殺されること無く、美しい娘と結ばれて、人としての幸せを手に入れたろうに。彼を殺したの は、私だ」 「土蜘蛛様・・・・」 「人間たちは今、お前たちの主に反感を抱き始めている。害虫駆除に猛反対し、アパートの大家の生活を追い詰める者として、な。丁度、智ノ介が生き 残った事で不作を招いたと勘違いされたのと同じように、お前たちの主は、社会生活に不適応な者と勘違いされ、社会から排除される危機に立っている のだ。所詮、彼らと我らは人と虫・・・多くの人間には、我らの想いなど通じない。人の世界に思いをめぐらせない限り、ただ愛された者を悪人に仕立て上 げてしまうばかりだ」 「しかし、土蜘蛛様・・・私たちとて、約定を違える事などしたくはありません。どうすれば約定を違える事無く、あの方をお守りできるのでしょうか?」 「私はその道を、お前たちに教えに来たのだ」 私はその場にしゃがみ込むと、不安が色濃く浮き出た表情を浮かべる女性の頬に軽く触れ、大きく頷いて見せた。 あの話を聞いた時から、私はある策を立ててきたのだ。 彼女らを救い、同時に彼女らの主を救う為の方策を。 「お前たちは、主に安らかな眠りを与えたいのだな」 「はい、仰るとおりにございます」 「なれば、眠りを守れればよいのだ。人を排除せずとも、な・・・」 そうして、私は彼女たちに、その策を授けた。 彼女たちが私と同じ、身を引き裂くような悲しみに襲われることが無いように― 「―ねぇねぇ、聞いた?虫屋敷に、新しい住人が続々入りだしたのよ!」 その言葉に、私はハッと足を止め、声の主の方に向き直る。 以前、虫屋敷の愚痴を言っていたあの主婦が、今度は別の友達を捕まえて、井戸端会議をしていた。 だが、今日はどうやら愚痴ではないらしい。 その証拠に、彼女の表情は遠くから見ても判るほど、明るかった。 「え、ついに害虫駆除をしたの?」 「まだなんだけれど、それがね!不思議なことが起こってるのよ!騒音を出すような人や犬を飼ってるような人があそこに住もうとすると、前と同じよ うに害虫が次から次へと出るんだけど、穏やかで騒音とは無縁な良識のある人が住もうとすると、害虫がまるで出ないんですって!」 「まぁ!まるで、虫が住む人を選んでいるみたいね」 「そうなのよ!あの親戚も、逆に助かるって言ってたわ。入居時は猫をかぶってるような迷惑者でも、虫がちゃんと後から審査をして追い出してくれる って!おかげであのアパート、今ではいい人しか住んでないって、不動産価値も上り調子なんですって!」 ・・・・・ああ、彼女たちは上手く策をやってのけたようだ。 私はこらえきれずに微笑みを浮かべ、主婦を―いや、その向こうにある「虫屋敷」の住人たちを見つめる。 と、その私の肩を、小さな手がポン、と叩いた。 「まゆ、何ボーっとしてんだよ。早く公園行こうぜ!」 私は彼に向き直る。 以前と同じ、天真爛漫な瞳が、私を見つめて無邪気に輝いていた。 「―うん、行こう、智彦君!」 私がそう応えると、彼は満面の笑みで頷いて、かつてと同じように右足を少し引き摺りながら、先に公園へと駆け出した。 私も彼の後を追い、最近の私たちが遊び場にしている公園へと、一歩を踏み出す。 心の中で、決して届くことの無い思いを叫びながら。 ―あなた。 愛しい、あなた。 今度こそ、あなたを悪人にすることなく、愛してみせます。 前世では愛し切れなかったあなたを、必ず愛し続けます。 あなたは私の事を忘れています、でも私はあなたをいつまでも愛します。 そのために私は人として、転生してきたのです。 あの時叶わなかった願いを、叶えるために。 共に人として、生きるために―
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» 【−3】愛じてる [峠の塩入玄米茶屋/2009から] × 前半、主婦の台詞だけで展開するのはやや苦しいような。細かい描写を放棄してしまっているように思える。それは主人公が己の正体を語る時も同じ。展開もかなり都合良く感じてしまった。土蜘蛛が人間に生まれ変わったという設定も、今一つ生きていないようにも見える。土 ... 続きを読む
受信: 22:11, Saturday, Sep 26, 2009
■講評
ありがちですがいいはなしですね。 あくまで個人の意見ですが、アンソロジーの中に一本くらいこういう話が入っていると嬉しくなります。テーマからは外れますが絶望ものばっかだと重いんですよ。 本編においてはセリフ一回あたりの文字数の多さが気になりました。前半部、主婦の会話のみで説明をこなそうとするのはやはり難があるかと。 まゆと智ノ介が転生できた理由についても言及して欲しかったです。
展開+1 構成−1 描写-1 文章+1 |
名前: もりもっつあん ¦ 00:37, Thursday, Sep 17, 2009 ×
こういう作品があることは、怪集の幅を広げてくれたと思います(ウツリミの時にいうべきでしたが、そっちはもう講評しちゃったんで)。その点に対する加点です。 ただどうしても子供っぽさが気になります。 一般文芸やライトノベル以外の、色んなものを読んでください。殺人事件のルポルタージュとか、裏社会に潜伏してみたとか、歴史書とか、俳句、短歌、あるいは我執や写真集でも構いません。 そうした読書の冒険を通じて色んな人間やものの見方を獲得し、それでもなおこのジャンルに戻ってくることができたら、あなたの才能は本物です。そして、その時には、見違えるほど成長しているでしょう。 |
名前: あおいさかな ¦ 19:35, Friday, Sep 18, 2009 ×
智ノ介の生まれ変わりが智彦なんですかね? なんだか、この結末に持っていくために、強引に設定されたように思えます。 設定それぞれが説得力に欠ける、という印象ですね。
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名前: PM ¦ 18:36, Monday, Sep 21, 2009 ×
・アイディア−1 まゆの設定はライトノベル的なありきたりに思える。TRPGの「妖魔夜行」とかも思い出した(±0)。また、恐怖小説としては、問題を正しい方法で解決して幸福な結末になったら駄目なのではないか(−1)。 ・描写と構成−1 会話が多少わざとらしいことを除けば、文章自体は悪くないと感じた。しかし、全体を使って行われているキャラクターや設定の説明が、全く恐怖に絡んでこないのは、とても悪印象。 ・怖さ−1 怖がらせようとしている部分が、完全無欠に無いと思う。 ・買っても後悔しない魅力−1 完全無欠のハッピーエンドだと思う。そういう話を私は求めていないので。 |
名前: わごん ¦ 06:08, Tuesday, Sep 22, 2009 ×
素直に読んで、素直にいい話だなと目頭を熱くしてしまいました。これは妄想の余地はないですね。むりに頭の中でひねくって、怖いところを探したり捏造したりはできませんでした。(個人的嗜好で失礼しますが、どうしても裏を読みたがったり作りたがったりする性質なのです) 恐怖とか絶望とかそっちのけで、まゆと智彦君の幸せを祈る読後感を味わっております。
*文章+1 *展開+1 *恐怖−1 |
名前: げんき ¦ 00:04, Wednesday, Sep 23, 2009 ×
発想ー1 文章0 構成0 恐怖−1 うーん。あまり好みだけでの評価はしたくないんですが、ありきたりなライトノベルのようでどうも好きになれません。 ライトノベルもハッピーエンドも悪いとは思わないんですが、何のひねりもなくてどうも無理です。 |
名前: 戯作三昧 ¦ 04:38, Wednesday, Sep 23, 2009 ×
恐怖度0 文章力0 構成力0 アイデア1 智ノ介と土蜘蛛のエピソードは感動的で良かったので、それだけで十分だったのではないかと思いました。アパートのエピソードは無理に絡めなくても良かったかなと思いました。 |
名前: 妖面美夜 ¦ 02:08, Thursday, Sep 24, 2009 ×
いろいろと考えてありますね。 意欲的でいいんじゃないでしょうか。 そういう自分の書きたい物を書くっていうがんばりは大事だと思います。
こういう風にいろいろと詰め込んで行くと、もともとの話がどうだったのかってのが見えづらくなっちゃうんだよね。 だから作りながら時々、枝葉や飾りの部分を取り払って、お話の芯の部分がどうなってるのかを振り返る必要がある。
このお話の芯を取り出すと、主人公がたまたま噂を聞いて、相手を説教して、改心させるってところで終わってるんだよね。 いろいろと小ネタが入ってるから展開があるように感じるんだけど、お話の芯の部分ではひねりが入っていない。 たまたまって所も弱いし、主人公の話ばかりで肝心の説得する相手もよく見えない。
また、ちょっと厳しい事を言うと、土ぐもと子供がひとつの身体に同居してるって部分ももうちょっと生きてない。
いろいろ入れると長くなっちゃうんでそれはそれで問題なんだけど、その辺をどうするのかってのが「作者」のお仕事でしょう。 がんばってみて下さい。
【アイデア】+1、【描写力】+1、【構成力】0、【恐怖度】0
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名前: ユージーン ¦ 22:46, Thursday, Sep 24, 2009 ×
>どうしてその人は殺虫剤を撒くのに、そんなに反対してるのかしら?あの人だって、そのアパートに
その人。そんなに。あの人。そのアパート。
あの、その、この。 一度、これらの語句を取り除いて書いてみてください。その上で再構築し、読み比べてみると、いかに読み下し難い文章なのかお判りになると思います。
物語自体は物悲しさに満ち、印象が強かっただけに惜しいと思います。
発想・1 構成・0 文章・-1 恐怖・0 |
名前: 三面怪人 ¦ 12:44, Monday, Sep 28, 2009 ×
遺伝元からの正統続編といった感じで最初は面白かったのですが、どこかで聞いた昔話みたいな展開とあまりに説明的な井戸端会議のおばさんの登場などで、ちょっと興が殺がれました。
アイデア 0 文章 0 構成 −1 恐怖度 0
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名前: 鶴の子 ¦ 19:11, Monday, Sep 28, 2009 ×
アパートの騒動という庶民的な話題に対して、何という壮大な物語が絡んでくるんだろうかと、そのギャップにくらくらしながら読みました。 しかし改めて全体を見てみると、この作品で一番コクのある部分は過去の回想シーンではないでしょうかね。 それを現代にどうにか回収しようとするので、結果的にはとてもちんまりとした話に仕上がってしまったように感じました。
たぶん作者の方は最後の部分に思い入れを持って書かれたかったのでしょうし、とても伝わってくるのですが、過去の長くて悲しい話に対して現代で起きている出来事はあまりにも少なく、読み応えの比率からすれば現代の舞台の方がおまけに見えてしまうほどでした。
いっそこの「愛じてる」は回想シーンの方を深く掘り下げて、本格時代物として書かれても良かったのではないかなと思いました。 もし現代の方を活かすのなら、黄門様役の土蜘蛛様が事件を知ったり虫屋敷へ出向いて話を聞くだけではなくて、事件に巻き込まれるかどうかして積極的に関わらないと面白くならないでしょう。
もっと大変な事件に主人公が絡んだ方が、総合的なバランスが取れるように感じます。 作中の虫屋敷では、どうしてもワイドショー程度の庶民的な問題に近くなってしまいますので、中盤の馴染みがやはり宜しくないかと思います。 そのためには作者の方が得意とするスタイルに先行作品とどうリンクをつけるか、選択の段階で考えられた方が良かったのかもしれません。
文章自体は総合的に見てどうにかマイナスとはしなかったのですが、最初と最後の井戸端会議はあまりにも不自然すぎるので、ヒント丸出しのこの会話は、もう少し控えめな内容にされた方がいいと思います。
構成力・−1 |
名前: 気まぐれルート66 ¦ 17:22, Wednesday, Sep 30, 2009 ×
恐怖 0 雰囲気 3 怪談というより、和製ファンタジーの印象を受けました。恐怖は足りないのですが、絶望の中から希望が生まれる、という筋書きは個人的に好みです。ただ、もう少しキャラクターや世界観などの書き込みは必要かと感じました。 |
名前: 白長須鯨 ¦ 20:32, Wednesday, Sep 30, 2009 ×
ロマンチックな話は好きです。今度ははっきり怖い話を書いて欲しいと思います。 |
名前: 読書愛好家 ¦ 23:52, Thursday, Oct 01, 2009 ×
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QRコードの中に 潜む実話怪談

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