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アリに運ばれし怨み
 朝、目が覚めると体が思うように動かなかった。
 不用心と知りつつも寝る前に網戸にして寝ていた。冷房を夜通しかけてくのは好きではない。8月の終わり、一時の暑さから和らいだといえどもまだまだ暑い。
 私の体は何か得体の知れない重たいもので体を押し付けれ、重力が普段より何倍、何十倍も体にかかっている気がする。
 ゆっくりではあるが、目玉は動かすことは出来る。しかし腕をなかなか上げる事が出来ない。脚の動きも鈍い。ただ、意識だけははっきりとしている。
「うううう……」
 声も満足に出ない。
 いったいこれはなんだ。このところ毎日帰宅するのが12時を回っていたおかげで疲労から体が壊れたのか。それともこれが金縛りとでもいうものなのか。
 いずれにしてもこのままではなんともならない。
 妻に助けを求めたいが声も出なければ体も動かないので助けを求める手段がない。

 目覚ましがチリチリと鳴り始めた。しめた、このまま鳴らしておけば妻が起きてこない私を覗きに来るだろう。そうなれば私の異変に気づくはず。
 しかし、来ない。別室に寝ている妻はどうしたものか部屋に来ない。妻はいつもだと朝飯を作り始めているはずなのだが。そういえば何だがいつもと違う気がする。朝起きるとトーストが焼けた臭いがするし、まな板で切る音が聞こえてくるし、食器を戸棚から出す音が聞こえてくるが、今日はどういう訳かやけに静かだ。
 動けないまま時間だけが過ぎていく。不気味な静けさだ。
 なんとかしなければと重い体を動かし、やっとのことで布団から這い出した。しかし到底立って歩くことなど出来ない。布団から這い出てリビングと続きになっている襖に向かうのでさえやけに遠く感じる。
 リビングからテレビの音が聞こえてきた。妻がつけたのか。助けてくれ。俺はここにいる。体が動かないんだ。声がまともに出ない以上頭の中で訴えただけだ。
 和室の襖が突如開いた。妻だ。
「おはよ。目が覚めたかしら」
 おい、挨拶なんかいい。救急車を呼んでくれ。見ての通り体が動かないんだ。声も出ない。
 妻はそんな私の様子を知ってか知らずか黙ったまま腕組をして見下ろしている。
 早く、早く救急車を呼んでくれ。
「今、テレビでもやってるけど、夜にあなた蚊に刺されたでしょ。だからあなたは体が動かないの」
 蚊に刺されて動かない?何を言ってるんだ。蚊を媒体とした恐ろしい伝染病でも発生したのか。頼むから救急車を、なんでお前はそんなに落ち着いているんだ。
 私は這いつくばりながら妻のお足元へと近づいていく。
 しかし、妻は私を見ているだけで助けようとはしない。
「あなたって本当に鈍感なのね。これだけニュースで騒いでいるのに気づかないなんて。私もいろいろと考えたの。でもこの方法が一番いいかなと思って。ネットで探したら見つかったのよ。ちょっとお金はかかったけどね」
 妻は私の体を抱き起した。しかし私を助けた訳ではなかった。和室の布団のへと私を突き飛ばしたのだ。
「これでいいわ。あとはアリの餌になるのを待つだけね。私あなたに飽きちゃった。他の人が好きになったの。あなたとは今日でお別れ。それじゃあ、私はこの家を出ていきます」
 くそ、なんだ、なにがどうなっているんだ。蚊に刺されて動かない?アリの餌になる?俺に飽きたとはいったい何だ。全く訳が分らない。
 妻は襖を閉めた。

 アリだ。アリが何匹か部屋の中で動いている。畳の中からアリが無数に出てきている。
 なんだこのアリは、なぜ畳をかみ砕き下からアリが出てきているのだ。なんなんだこのアリは。
 玄関を閉める音がした。妻が家から出て行ったのだ。おい、ちょっと待て。どうなっているんだ。
 畳から這い出して来ているアリの通り道は次第に広がり大きな穴となった。そこから大量のアリが湧きだし始めた。開けていた窓からも大量のアリが入ってき始めた。大量のアリは畳の上を埋め尽くし、壁や天井にまで上り詰め、部屋がアリで真っ黒に染まりだした。そして下に広がっている穴は大人の人間が入れるくらいの大きさにまで広がった。
 這いつくばって逃げようとする私の体にもびっしりとアリが張り付きはじめた。恐怖で失神しそうになるのをこらえ、動かぬ体を動かし、声にならないうめき声を上げ続け、逃げようと必死になった。
 しかし、アリは次から次へと湧き出してくる。
 次第に私は地下に開いた大きな穴へ引きずられ始めた。アリが私を引っ張り始めているのだ。
 私はもがき続けるがアリの数が半端ではない。
 顎や前足を使い引っ張る役目のアリ、まるで砂漠の砂のようにさらさらと流れる砂のような掴み所を無くして穴に落とそうとするアリと分担も出来ている。
 私はアリの餌になる。

 そういえば聞いたような気がする。
 異常に進化したアリが見つかった。そのアリは何らかの方法で、蚊に人間の中枢神経を麻痺させる菌を移し、動けなくなって抵抗出来ない安全な餌、個体数の多い人間を地下深くの巣穴まで運ぶという。そこでアリは生きたままの人間を越冬する為の新鮮な餌として蓄えるという。
 しかしそんなアリはどこか外国での話だと思い込んでいた。
 ついに私は穴へと落ちた。ずるずると穴の奥へと落ちていく。最後の馬鹿力、体半分だけ穴から出ることが出来た。しかし、部屋中にいたアリが私めがけて一斉にたかって来た。口の中、耳の中あらゆるところにアリが侵入してくる。
 もう助からない。再び穴へと落ちた。

 気がついた時、暗黒の狭い空間にいた。何も見えないし何も聞こえないし動けない。ただ不思議なことに風が流れる気配は感じる。
 私の体に何匹かのアリが蠢いている。餌の管理係のアリだろうか這っている。体が痒い。蚊にも何回も刺されて蚊の餌にもなっている。もう体は完全に動かない。意識だけが残り、このまま餌として食い殺される。
 妻は庭の地面をじっと見ている時があった。何をしているのかと聞いてもなんでもないわとしか言わなかった。
 毎日遅くまで仕事をして、子供が生まれる前にマイホームが欲しいと言うから建ててやった結果がこれだ。
 このまま無駄死にして幽界で安穏に過ごすことなどなかろうに。
 妻はそんなことも分らない鈍感な女だったのだ。




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 描写が駆け足であると同時に、妻に説明をさせすぎているように思います。 例えば、  動けなくなっているところへ妻が入ってくる ... ... 続きを読む

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» 【−2】アリに運ばれし怨み [峠の塩入玄米茶屋/2009から] ×
前フリも何もなくいきなり本筋という印象である。展開が唐突に感じられるのは、主人公が既に殺されるであろう緊迫した場面から始まっているからだろう。それからは何の山場もなく、一気にそのままラストまでなだれ込んでいるので、訳がわからないうちに終わってしまった .. ... 続きを読む

受信: 22:20, Saturday, Sep 26, 2009

■講評

食われそうになってる割に、「もう助からない」とあっさりな主人公の言動が気になります。
アリの湧き出す描写が殆どで、これといった展開がないのも味気ないです。
あと、ラストの主人公の呟きの真意がわかりませんでした。

文章-1
構成-1

名前: もりもっつあん ¦ 18:58, Thursday, Sep 17, 2009 ×


 +0.5を四捨五入
・アイディア+0.5
 アリと蚊の設定、餌としての主人公の末路は面白いと思った。
・描写と構成±0
 描写、可もなく不可もなく。異様なシーンを描こうと頑張っている気配はするのだが、プラスにするほどでも無いように感じた。構成、可もなく不可もなく。
・怖さ±0
 地下、実際にあったら怖くて絶望的な光景だと思うのだが、どうにも怖くない。描写の質の問題ではないかと思う。
 「このまま〜」からは、あってもなくても、という印象。あった方が賑やかで面白いか? 無責任な言だが、ゾンビよろしく地面を破って戻ってくる、とかだと面白くなるかもしれない。
・買っても後悔しない魅力±0 可もなく不可もなく。

名前: わごん ¦ 22:30, Tuesday, Sep 22, 2009 ×


発想0 文章ー2 構成ー1 恐怖0
とりあえずざっと書いてあとでじっくり推敲しようと思ったが忘れてしまった、といった感じ。
主人公も妻も説明的過ぎるかと思います。
描写が中途半端なので、もっと細かいところまでこだわって書くだけでも良くなると思います。
タイトルも、ああ、アリと誰かの恨みでどうにかなるんだろうなあ、というのがあっさり解っちゃうんで、内容の読めないようなものにしたほうがよかったかと思います。

名前: 戯作三昧 ¦ 02:32, Wednesday, Sep 23, 2009 ×


全体的に、都合よく唐突、という印象でした。
展開としても、まあ案の定という感じですね。
もう少し、構成に練りが必要なんじゃないかなぁと思います。

名前: PM ¦ 19:18, Wednesday, Sep 23, 2009 ×


この死に方は嫌ですね。口の中にアリが大量に入ってくるイメージが読後しばらくたっても離れず、大変な思いをしています。
アリにたかられ、蚊に刺され、掻くことすらできず意識だけはしっかりとしている。この状態は本当に勘弁して欲しいと思いました。

*主人公の末路+1

名前: げんき ¦ 23:35, Wednesday, Sep 23, 2009 ×


恐怖度0
文章力0
構成力0
アイデア1
蟻に食べられるのは嫌ですが、そこまで不快感を感じさせる描写ではなかったかな。
主人公のせつなさはわかりますが、蚊で動けなくして蟻に運ばせる設定が少し強引だったかもしれません。

名前: 妖面美夜 ¦ 19:47, Thursday, Sep 24, 2009 ×


どうも登場人物の思考の流れに乗れないというのか、全体にギクシャクとした印象です。
蚊と蟻の繋がりも弱く、アイデア面も特に感心するところは見いだせませんでした。
ただ、読後に不全感を伴った訳の分からない恐怖感は残りました。

アイデア    0
文章     −1
構成     −1
恐怖度      1



名前: 鶴の子 ¦ 21:14, Monday, Sep 28, 2009 ×


独白で、しかも重複する表現が多く、情報が整理できていない。
これは読者にしてみると、かなりの負担です。その結果、手に入れた結末がこれでは、残念としか言えません。まずは文章を整理することをお勧めします。

例えば、
>気がついた時、暗黒の狭い空間にいた。何も見えないし何も聞こえないし動けない。
この一文ですが、暗黒の狭い空間であれば、何も見えないのは当たり前です。 この手の無駄な装飾は何の役にも立ちません。
後の文はスッパリと切り落としても作品としては充分成り立ちます。

発想・-1 構成・0 文章・-1 恐怖・0

名前: 三面怪人 ¦ 22:46, Monday, Sep 28, 2009 ×


 丁寧に良く書かれていると思います。

 お話としてはクライマックスを切り取った形になっているので、このクライマックスにふさわしい導入部をどう付けるのか、そしてその導入部にふさわしいエピローグを付けるのか、今後の課題でしょうね。
 最後の2行を書かれている時に、ご自身でも何となくお気づきになられていると思います。
 あとちょっと足りない、と。

【アイデア】+1、【描写力】+1、【構成力】0、【恐怖度】0

名前: ユージーン ¦ 18:34, Tuesday, Sep 29, 2009 ×


追記:
 昆虫が毒によって獲物を麻痺させたまま生かしておいて食料にすること、アリが非常に高度な形で餌を「生産」する事などを上手く織り込んであると思います。
 その辺ももうちょっと広げて行くと、さらにおもしろくなったと思います。
 上手くお話の中で読者に教えつつ、って感じですね。

名前: ユージーン ¦ 18:37, Tuesday, Sep 29, 2009 ×


謎が全部妻と夫の言葉で解説されているのがまず難点なのですが、それよりも勿体なかったのは、異常に進化したアリを作中で使いこなせなかった事かなと思います。
何らかの方法とありますが、資料を調べるなどしてこのあたりから最もらしい嘘で固めてあれば、もう少し作品が活きてきたかもしれません。

ありえない話じゃないかも、と思わせてくれる嘘がしっかり書かれている事と、一つのアイデアだけではなくて、その先で発展してくる作り方が、もっとほしいところでありました。

構成力・−1

名前: 気まぐれルート66 ¦ 17:31, Wednesday, Sep 30, 2009 ×


このまま読んでしまいますと、アリや蚊という小道具の使い方がぶっきらぼうに感じてしまいます。アリの巣穴に運ばれる主人公と妻の対比をもう少しキメ細かく描けば不気味な作品に仕上がったかなと思います。
妻は鈍感だけど用意周到な殺人犯、という部分にもやもやが残りました。

名前: 籠 三蔵 ¦ 02:33, Thursday, Oct 01, 2009 ×


 どこがマズいのかって、これが因果応報モノであるのかそうでないのかすら分からないってトコです。何故奥さんは主人公に飽きちゃったのでしょう? 出て行く際に殺すなんてことは、よほど強い恨みがあるはずなんでしょうが、それは何なんでしょう? また、そうならば恨みを抱かせるに至った主人公なりの理由とは?

 まずは話の骨子を作ることです。
 この段階では単純な因果応報モノでも構いません。今年やってたドラマの必殺仕事人なんかが単純でも面白かったのですが、あれは大倉くん――じゃないや、仕事人たちに強い魅力があったり、殺される人間が出したお金によって、殺しの依頼が為されるといった独自の法則があったからです。
 次に単純から脱出する方法を考えます。前述のようなテレビドラマの洗練された技法、演出も魅力的ですが、いきなり手をつけるにはハードルが高い。
 まずは『恨まれる事をした、された、報復した』という流れに抗いがたい理由付けをする、っていう方向で考えていくといいと思います。
 今度、やってみてください。

名前: あおいさかな ¦ 00:53, Friday, Oct 02, 2009 ×


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