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サバエナスカナ
「初めまして。今日から勤務する事になりました名取です。よろしくお願い致します」

オフィスの一瞬の静寂を、香奈枝は見逃さなかった。
彼女を見つめる先輩社員の幾つもの視線。
業務の手を止め、畏れと憐れみの色で彼女を見つめるその光景に、眩暈すら覚えた。
「どうだ、なかなかの美人だろ?名取くんはこれからわが社を支えていく優秀な人材だ。みんなよろしく頼むぞ」
社長の豊田はそんな紹介をすると、がははと下品に笑った。
でっぷりと肥え太った体躯。パンチパーマに縦縞ストライプのスーツ。
角度のついた度つきサングラスに、でかい宝石をあしらった指輪、エナメルの白い靴と来れば、もう見た目は立派なやくざの親分である。趣味が悪すぎだ。
尋常であれば、絶対係わり合いになりたくないタイプ。しかも経営者と来た。
だが。
フロアに詰めている十数名の社員達の視線全体が、どう見ても新入社員歓迎の雰囲気ではない。奇妙な違和感。胸騒ぎ。これは一体何だというのだろう。
「んじゃあ名取くん、こっち来て」
案内された場所は、三階の社長室だった。
「きみのデスクはそこな。業務手順はそこのマニュアル通りやってくれればいいから」
指差された場所は、パンチ社長のデスクのすぐ真正面。
その背後には、これまたオフィスに不釣合いなくらいの、立派な神棚が据えてある。
(こんな成金やくざみたいなやつでも、神様信じているのか…)

だが、その神棚はちょっと様子が変だった。ちゃんと榊やお供物は供えられているのに、三社造りの神棚の扉はぴったりと閉ざされたままなのである。
「ほんじゃ今日は初日ちゅうことで、オリエンテーリングちゅうやつか。頑張って」
そう言いながら豊田は、インターフォンのスイッチを押した。
「あ、磐田部長?俺ちょっと出掛けるから、あとでみっちゃん、こっちよこして」
頬肉に埋もれそうな目を細めて、やくざ社長はにこにこと機嫌がいい。
「これでわが社も安泰だな」
何がそんなに嬉しいのかと、視線を投げ掛けた香奈枝は凍り付いた。
豊田社長の頭上にある、神明造りの神棚。
その真ん中の扉が細く開いていて、何かが覗いている。
「サバエナスカナ…」
彼女の視線に気付いたそいつは、低くそう呟くと、神棚の扉をぴしゃりと閉じた。

転職先の初出社日。
文京区の白山通りに面した、四階建ての古びた鉄筋ビル。
周囲の高層オフィスやマンションに較べ高さこそないが、所有面積だけはやたら広い。何でもその場所は、ニ十年ほど前に閉鎖された屋内式ガソリンスタンドを建物ごと買い取って改装したものらしく、二階の縁に沿って「大宝建設」と銘打たれた看板が安っぽく乗っている。
香奈枝は、この会社に社長付きの営業アシスタントという名目で採用された。
もっと判り易く言えば社長秘書である。
だが、マニュアルに書かれた香奈枝の仕事とは、恐ろしいまでに簡素なものであった。

まず一般社員より三十分早く出社して、神棚のお供物と榊を換えて、二礼ニ拍手一礼、そして祝詞を唱える。
その文句は、こんな具合だ。
「祓いたまえ清めたまえ、神ながらに導きたまえ、幸いたまえ」
朝礼に出る必要はなく、豊田社長が点呼と訓示を終えたあと、社長室で本日の予定を報告して、お茶を入れる。
あとは、必要に応じて、指示に従っての書類や資料の作成。それと電話番。
得意先の人間と会食に出る事もあるらしいが、基本的にはそれだけ。
(コレで手取り月二十五万、週休二日制、社会保険完備、夏冬ボーナス有り…)
何となく気味が悪い。
だがこの不況と倒産の嵐が吹き荒れるご時勢、上手い場所に滑り込めてラッキーだったという見方もあるのかも知れない。

「榊は、毎朝花屋さんが届けてくれます。お供物のお米、塩、お酒はこちらの戸棚に仕舞ってあります。在庫が切れていたら金庫の出納帳に用途を記入して、近所のコンビニで適当に買って来て結構です」
二階のオフィスから備品等の説明に来たみっちゃんこと、佐田みさ子は、どう見積もっても二十代後半の今風OL。
三十半ばの香奈枝より、たっぷり七つは若いだろう。
「あと、社長付きのアシスタントさんは、私達と違って、仕事が無かったらここでテレビを見ていようが、インターネットをしてようがいい事になっていますから、適当に。
お昼は近所のコンビニなり、出前なりを頼むなりして下さい」
その視線は、心なしか、社長室奥の神棚を避けているように見える。
「名取さんて…」
ひと通りの説明が終ると、みさ子は探るような眼差しで彼女を見た。
「大手の建設会社の営業マンしていたんでしょう?前の会社じゃトップセールスだったんですよね?何でこんな中小の土建屋なんかに鞍替えしたんですか?」
ほら来た。絶対にそう来ると。
「この不況でね、前の会社が倒産しちゃったの。でもここ凄いじゃない?この規模で年商6億5千万なんて、たいしたものよ」
給与条件の折り合う求人がここしかなかったなどとは、口が裂けても言えない。
だが、みさ子の反応は冷淡なものであった。
「たいしたこと、ないですよ」
彼女は吐き捨てるように呟いた。
「長居しない方がいいですよ、私、頃合い見て辞めようと思ってます」
突然の発言に、香奈枝は言葉の接ぎ穂を失った。
もちろん職安やネットの求人情報から、その会社の真の実情、人間関係その他を掴む事など不可能である。この不景気の逆風の強い時に、条件のいい求人が出ているなど何か問題のある職場と考えた方が賢明ともいえる。
しかし。
微妙に歯車が狂っているような、この感覚は何だろう。
前の勤務先で培った、さまざまな顧客と折衝を行ってきた彼女の「勘」が、場にそぐわぬものを感じている。
「あと何か判らない事とかありましたら、インターフォンで呼んで下さい」
「あ、ちょっと…」
そそくさと社長室を出ようとするみさ子を、香奈枝は呼び止めた。
「サバエナスカナって…」
振り返った女子社員の顔が、凍りついたように引き攣り、みるみる変貌して行く。
あの有名な、ムンクの「叫び」そのものに。

脅えた様子のみさ子が社長室を出て行くと、香奈枝は豊田社長のデスクの上にある神棚に近付いた。
確かに大きい。
檜で作られた立派な造りのものである、しかしその厚みは40センチほどしかない。
そこに、何者かがいるなど不可能なはずだった。
周囲を見渡し、誰もいない事を見計らって、こっそり神棚の扉を開いて見た。
何がある訳でもない。
達筆な草書で書かれた木札が納まっているだけである。
(気のせいなの?でも)
そこから聞こえた「サバエナスカナ」という言葉。みっちゃんはそれに異常なまでの反応を示した。
解せない。初日から解せないことだらけである。

あっという間に手持ち無沙汰となった。
だが、いくら許可されているとはいえ、初日からテレビなどつけて見ているのも、誰かに見られたら、ちょっと気まずい。
デスクに腰掛けた香奈枝は、ふと思いついたようにパソコンを立ち上げると、インターネットに接続して、ある言葉を入力検索してみた。
「サバエナスカナ」「さばえなすかな」。
モニターに検索結果が表示される。
『該当する項目がありません』。
ふう、と思わず溜息を付いた。何だか妙な場所に来てしまったような気がしていた。

深い霧の漂う、朦朧とした世界。
そこで、束帯姿の三人の貴人が泣いている。
悔しくて、情けなくて、子供のようにおいおいと泣いている。
貴人のうち二人は、笏を持っていたが、一人だけはなぜか、小さな茶色の甕のようなものを両手に抱えている
「口惜しや、ああ口惜しや、サバエナスカナ、サバエナスカナ…」
彼らの足元には、十二単を纏った江戸時代の姫君らしき女性と、二人の腰元が、歯を食い縛り、鬼の形相で血の涙を流して泣いていた。
「重い、重い…。まだなのか…。これだけしてやっても、まだなのか…?」
状況を飲み込めず、呆然としている香奈枝。
その姿を認めた束帯姿の三人の貴人は、ゆっくりと彼女を取り囲む。
「情けなや、情けなや」
「我らとの誓いを破るとは」
「これはそなたの受ける分。そして罪を悔いるがよい」
一人の貴人が抱えていた茶色の甕を、彼女に手渡す。
半透明のその中で、気味の悪い何かが蠢く。

部屋に響き渡ったのは、自らの悲鳴。
掌で顔を覆い、ベッドに半身を起こす。見慣れた風景が視界に飛び込んで来る。
現在、香奈枝の住んでいる、日暮里の賃貸マンションの光景。
時計を見る。午前四時。
ここのところ、毎日この時間に目が覚めてしまう。
カーテンの向こうの風景は、まだ暗い。ぬらりとした汗が、全身を覆っていた。
そして。
(また、あの夢…)
はあ、と大きな溜息をついて、シャワーを浴びに行く。
このマンションに引っ越して来てからも、まだ半年に満たない。
香奈枝は前年の春先に、離婚したばかりだった。
理由はよくありがちな、互いの意見の相違から生ずる価値観のずれ。
子供を欲しがり、仕事を辞めて家庭に収まって欲しいと考える夫の隆とは、共有する時間を過ごせば過ごすほど息苦しくなり、その関係は悪化して行った。
子供のいなかった二人は、互いによく話し合い、慰謝料は請求しないという事で合意。
離婚しても一人でやって行ける。そんな自信は充分にあった。
同時期に起こった、大手金融機関破綻の洗礼さえ浴びる事がなければ。
元夫は、当座の金銭の援助を申し出たが、丁重に断った。
突然の失業に動揺はあった。
しかし離婚を切り出したのは香奈枝である。そんな自分が三下り半を突きつけた相手に泣き付けるわけがない、と。
しかし。
こんなに精神が不安定なのは、まだそれが尾を引いているのか。
自分は、そんなに弱い人間だったのだろうか。
べたつく汗を流そうと、バスルームに向かう。脱衣籠にパジャマと下着を脱ぎ捨てて、シャワーの蛇口を捻る。
肌理細かな白い肌が、迸る銀色の水玉を勢いよく撥き返す。
暖かな湯を全身に浴びながら、香奈枝は思った。
奇妙なのは、決して自分の精神状態のせいだけではない。
新しい仕事場に勤務し始めてからひと月。
香奈枝はずっと原因不明の眩暈や幻聴に悩まされ始めていた。
それは初め、社長室で、視界の隅を何かが這い回るような感覚から始まった。

ズル、ズル、ズルズル…。

何かを引き摺るような、微かな物音。慌てて視線を向けても、そこには何もいない。
首を傾げながらデスクに向かい直すと、再び。

ズル、ズル、ズルズル…。

視界の隅に動き回るそれは、赤黒くぬらぬらした何か。
それ以上は画像として認識できない。視線を向けると「それ」は消えてしまうからだ。
初めは慣れぬ職場のストレスから来るものと思っていた。
だが、今の仕事はデスクワーク中心で、しかも午前九時から、午後五時のシフト。
仕事自体は、外回り中心だった前の職場の方が格段にきつい筈なのだが。
ある時などは、休日にソファの上で寝ていると、玄関のチャイムが鳴り、隣に住むという主婦が子供を抱きながら顔を覗かせた。
ベランダで洗濯物を干していると、彼女の部屋の方から、物凄い異臭が漂って来るのだと言う。
「何か腐らせてませんか」とやんわり注意され確認すると、ガーデニングをしていた野菜やハーブがどろどろに腐っている。
それだけではない。
生ものが腐るのが異常に早くなった気がする。それは常温保存のものに限らず、冷蔵庫に入れてあるものでも、さほど変わらない。
野菜、卵、豆腐、肉、魚類は、まず三日と持たない。
仕方がないので、食事は外食か、加工食品を買って帰る事が多くなった。

蛇口を閉じてシャワーを止め、バスタオルを片手に洗面台の鏡の前に立つ。
週末には欠かさず通っていた会員制のフィットネスクラブにも足が遠のき、二の腕や脇腹など、引き締まっていた身体のラインには、あちこちに無様な弛みが目立ち始めている。
顔にも小皺や染みが目立ち始め、十歳は老けたようだ。
そして、ほぼ毎晩のようにあの夢。
自分には何が起きているというのだろう。一体何に巻き込まれているのだろう。
しかも、腑に落ちない事は、もうひとつあった。

初出勤の翌日、朝礼を終えた豊田社長が苦虫を噛んだ顔付きでやって来た。
佐田みさ子が突然の退社を申し入れて来たという。
ともかくもう、会社には顔を出したくないと。
「退職届は後ほど郵送する、退職金も今月分の給料もいらない、年金証と離職票だけ送って欲しい、ともかくもう、会社には出たくないと。今の若い子はまったく何考えているんだか…。名取くん、心当たりある?」
神棚の事を切り出せずにいると、豊田は更に謎めいた台詞を吐いた。
「逃げたからって、逃れられるもんでもないのにな…」

バスタオルで髪の毛を拭いていた香奈枝は、ふと、鼻をひくつかせた。
臭い。
生ゴミの臭い?いや、似ているが違う。
第一、生ゴミは昨日出したばかりだ。こんな臭いの元となるものは部屋の中にはない。
奇妙に思い、濡れた髪を拭きながら洗面台から顔を出す。
灯りの消えている筈のリビングがぼんやりと明るい。
そこに、奇妙なものがいた。
冒涜的なオレンジ色に輝く部屋の中に横たわったそいつは、蠢動する赤黒い肉の樽を横向きにしたような、得体の知れないもの。
足のない全身を波打たせながらカーペットの上をゆっくりと移動している。
それは、どう見ても、巨大な蛆虫にしか見えなかった。

ズル、ズル、ズルズル…。

蛆には、人間のような上半身が生えている。
血と膿と漿液で赤黒く汚れ切った顔に目鼻は無く、異様なまでに巨大な口腔と、そこからから覗く無数の乱杭歯。

ズル、ズル、ズルズル…。

そいつは奇妙な動作でリビングの窓まで這い寄ると、膿に塗れた両腕で、部屋中の壁やガラスをべたべたと撫で始める。
部屋中が、どろりとした赤黒い粘液で染まり始めた。
強烈な瘴気が部屋中に充満し、香奈枝の意識は彼方へと飛んだ。

「どうしたの?二時間もの遅刻の理由は何よ?」
デスクに座っている豊田に見据えられ、香奈枝はうなだれた。
朝シャワーで湯あたりをし、裸でのびて悪夢を見てましたなどとは、とても恥ずかしくて口に出せない。
悪夢。
いや、あれは決して悪夢などではない。
香奈枝はこれまで、幽霊とか超常現象とかの類をまったく信じていなかった。
しかし、未明に目撃したあの奇怪なものを、それ以外の形容詞で説明するのは、難しい。
「単純に寝坊しました。申し訳ありません」
あのドスの効いた声で思い切り怒鳴られるかと首を竦めたが、やくざ社長の口から出た言葉は、意外なものだった。
「まだ仕事に慣れとらんから疲れが出てるんだろ。次から気をつけて」
頷きながらも、視線は豊田社長の後ろの、あの神棚の方に流れる。
勤務初日の時とは違い、特に変わった様子は見られない。
しかし。
現在、自分の周囲に起こっている数々の変事の原因は、どう考えてもあの神棚としか思えない。
尋ねてみるべきなのだろうか。
豊田社長なら恐らく知っている筈だ。
「サバエナスカナ」という言葉の意味を。

「あっ、そうだ。名取くん、今晩空いてるか?」
喉まで出掛けた台詞は、豊田のひと言で見事に遮られた。
「はい、何か?」
「いやいやほら、きみの歓迎会、まだ開いてないだろ?どうも仕事との調整が上手くつかなくてなあ。スタッフ全員で集まるのはしばらく無理っぽいから、まあ、今日は少し気の利いた場所で一緒に酒でも飲んでメシ食って、プチ歓迎会という形でもしようかと思ったんだが、彼氏とデートの約束が、というのも困ると思ってな」
「平気です。今、彼氏なんていませんし」
「そんな事言って、今日はちょっと張り切り過ぎじゃなかったの?」
パンチ社長の発言を笑顔でかわして「ありがとうございます」と調子を合わせる。
ナイスタイミング。
あの神棚の由来について、聞いてみよう。
もしも判るようであれば「サバエナスカナ」という言葉の意味も。
「じゃちょっと出掛けてくるわ。神棚の榊とお供物の交換、忘れないでな」
デスクから立ち上り、趣味の悪いストライプのスーツを引っ掛けると、豊田は突き出た腹をふうふう言わせながら、社長室を出て行った。

業務終了までの時間が、恐ろしいまでに待ち遠しい。
香奈枝は鎮座する神棚に向かって、厳しい一瞥をくれた。

待ってなさいよ。今晩こそ正体見破ってやる。

豊田と香奈枝の乗ったレクサスの行き着いた先は、ヒルトンホテル東京の正面玄関。
「女の子はやっぱ焼肉より、フレンチの方がいいよな」
そんな台詞に、香奈枝は目を丸くした。
通された場所は都内有数のフレンチ・ダイニング「ル・シャルレ」。
「さあ、何でも好きなものを」
こんな高級店に連れて来られるなどは思わず、場に呑まれた香奈枝は、豊田からメニューを渡されても、うろたえるばかりだった。
「ち、ちょっと、社長…」
「大手からウチなんぞに来てもらったんだからな」
グラスに琥珀色の液体が注がれ、目の前には次々と料理が並べられていく。
「ま、とりあえず遅くなって悪かった」
豊田社長が破顔すると、香奈枝もつられてにっこりと微笑んだ。
外観の品のなさが災いしてはいるが、この社長は意外に好人物なのかも知れない。そうでもなければ新入社員風情に、こんな高級料理を振舞えるわけがない。
チン、と澄んだ音が鳴り響き、二人はシャンパンを注いだグラスを傾ける。
「前の会社のサラリーなら、こんな場所なんかしょっちゅう来れだたろう?」
「あら、大手って、意外に給料安いんですよ、社長」
他愛のない会話が弾む。考えてみれば、他人と一緒に取る夕食など久々な気がする。
「で、どうよ、うちの職場の雰囲気は?仕事の方は覚えた?」
洒落た色彩のソースが掛かったソテーをむしゃむしゃと頬張りながら豊田が訊ねる。
「ええ、まあ…」
人参のムースを口に運びながら言葉を濁す。
料理も店の雰囲気も絶品なのだが、そのせいで肝心の質問がなかなか切り出せない。
「そういえば名取ちゃんて、ホント恋人とかおらんの?」
「ええ」
「そんなに美人なのに?」
「恥ずかしい話ですが、昨年離婚したばかりなんです」
頬にフォアグラを目いっぱい詰め込んだまま、豊田は香奈枝の顔をしげしげと眺めた。
「ええ!?そりゃ参った」
「何ですか、それ」
「いやいやこっちの事だが、いや、こりゃ勿体無かったなあ。やられた。失敗したあ」
やくざ社長は、グラスのシャンパンをぐびりと飲み干すと、首を捻りながら小さな声で「失敗した」と舌打ちを繰り返す。
一体、何を「失敗した」というのだろう?
「まあいいや。名取ちゃん、せいぜいあの神棚さん大事にしてくれよ。あれは本当に、ウチの会社の福の神なんだから。あれがあるから、ウチの会社は安泰なんだから」
来た。その話題。
待ち侘びていたといわんばかりに、香奈枝は口を開いた。
「あの、社長」
振り向き掛けた豊田の視線は、スーツのポケットから鳴り響く携帯のアラームに横取りされた。
「はい、はいはい、豊田です」
周囲のテーブルの不愉快そうな視線が殺到し、香奈枝は肩を竦める。
こんな店では、携帯など最低マナーモードにしておくものだが、やはりそのあたりに普段の品性が滲み出るらしい。
「ごめん、悪い。大事なお得意様からだ。ちょっと外出て電話してくるわ」
迷惑そうなウェイターの視線をかわしながら、豊田はドタドタと足音を立てて店外へと姿を消した。
はあ、と大きな溜息をつきながら、香奈枝はフォークでアワビの燻製をつつく。
(これなら、焼肉店の方がナンボかましね)
そんな事を考えながらシャンパングラスを傾けた時、大きな音が響いた。
ウェイターに案内されて来た黒いイブニングドレスの女が、悲鳴を上げながら大きくのけぞって、後方の空いているテーブルをひっくり返したのである。
同伴者らしき中年の紳士は、何が起きたのか理解出来ずに立ち尽くしていた。
「あなた、それ…」
自分を指差すその女の顔を、香奈枝は知っていた。
那須野みずき。
テレビの心霊特番やスピリチュアル番組でコメンティターとして活躍している、いわゆる「霊能者」タレントだ。
その彼女が美しい容貌を引き攣らせ、脅えながら後ずさりをしている。
「あなた、それ、何を背負って…!?」
那須野みずきはバッグから水晶の数珠を取り出すと、突然彼女目掛けて、右手で大きく九字を切った。
「観自在菩薩、行深般若波羅蜜多時、照見五蘊皆空度一切苦厄、舎利子、色不異空…!」
両手を組んで印を組み、必死の形相で読経を始める。
香奈枝は、彼女の番組でこんなシーンをかつて見た事があった。
霊障に悩む相談者から霊を取り除く、『除霊』のシーンだ。
「…不垢不浄不増不減、是故空中、無色無受想行識、無眼耳鼻舌身意、無色声香味触…」
何が始まったと言うのか。場の全員が凍り付いて動けない。
「…天魔外道皆仏性、四魔三障成道来、魔界仏界同如理、一切平等無差別…!!」
霊能者は鬼のような形相を刻み、必死の様子で九字を切る。
だが、次の瞬間。
「来るな、来るなぁ!」
那須野みずきの数珠が、引き千切られたように弾け跳んだ。
足元に水晶の玉が散らばった。霊能者の顔は苦痛に歪み、両手の指が虚空を掻く。
「ごばげぇ」
口から飛び出したのは、明らかに「内臓」とおぼしきもの。
真正面にいた香奈枝は、那須野みずきの吐いた鮮血をまともに浴びた。
悲鳴と怒号。
店内は、阿鼻叫喚の地獄絵と化した。
血塗れとなった香奈枝は腰を抜かして椅子から落ちて、悲鳴を上げた。
その足を、口から粘ついた臓物を引き摺る那須野みずきの右手が掴む。
「サバエ、ナスカナ…」
霊能者はそう呟くと、白目を剥いて息絶えた。
「どうしたんだ、何事だ、これは!」
大声を張り上げて店外から走り戻って来たパンチ社長の姿を見ながら、香奈枝は意識を失った。






サバエナスカナ ――2へ続く)


【事務局注】
この作品は、送信された作品ファイルサイズが非常に大きく、1エントリ分で作品全てを表示することができないため、事務局側の判断で複数エントリに分割していますが、全て合わせて単独の一作品として応募を受け付けた作品です。
このため、先頭エントリ部分のみトラックバック/コメントを受け付けるとともに、先頭以外のエントリではトラックバック/コメントを受け付けないようになっています。
これはエントリーblogのCGIの仕様上の制限に基づく特別措置であり、「サバエスカナ-XX」を全て合わせて1ファイルの単独作品であるとして、先頭エントリ部分にのみトラックバック/コメント講評を頂戴いただけますようお願いします。

なお、正式タイトルは「サバエスカナ」で、XX部分の数字はエントリ分割に伴う、事務局による補足的なものです。




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全体的に漂う暗鬱な雰囲気は良い。読んでいて感じたのは、実話怪談で似たような雰囲気の話を読んだような既視感を覚えたこと。嫌いではない。が、所々引っ掛かりもあった。十二単を纏っているなら、一見した時に普通は江戸時代ではなく平安時代が念頭に浮かぶのではないだ ... 続きを読む

受信: 22:28, Saturday, Sep 26, 2009

■講評

実力のある人だと思います。ただその実力が殻になって、くびきになって、作品から自由な空気を奪ってしまっている。
今の自分に満足しないで、次々と高みを目指してくださることを願います。

名前: あおいさかな ¦ 22:54, Friday, Sep 18, 2009 ×


徐々に迫ってくる祟りがいい感じですが、一個一個の事件の描写があっさり目に感じます。腐敗や臓物の描写で嫌悪感を煽って欲しかったです。
他、みさ子が祟りについて詳しすぎるのが気になりました。
これだけ詳しかったら作中に死んで欲しかったです。
いろいろと書きましたが、オチまでの流れは綺麗にまとまっており、読み応えのある作品だと思いました。

構成+1
描写-1




名前: もりもっつあん ¦ 00:03, Saturday, Sep 19, 2009 ×


発想0 文章+1 構成0 恐怖0
アレ? もう終わり? といった感じです。
タイトルにもなっている、気になる言葉を使ってうまく話を進めて行っていただけに、あっさり終わってしまったのは残念です。
古代に君臨していたという、何だか凄そうな神の割には対決シーンもすぐ終わってしまった。ナイフで結構簡単に退けてしまったし。
書いていて疲れてしまったような。

名前: 戯作三昧 ¦ 01:21, Wednesday, Sep 23, 2009 ×


・アイディア±0
 加点するなら、社長の立ち回り、祟り・悪神の設定や「サバエナスカナ」の部分になるだろうか。しかし、そこら辺は普通の域に感じた。悪くはないと思うけれど。
 話は極めてオーソドックスな部類かと。「怪しい神棚と会社→夢・部屋で起こる怪異・不調→霊能者の死亡・危険の予告→情報提供者から告げられる真相→怪奇との対決・敗北→悲劇は続く」。普通のパターンを集めて長編に組み立てた感じ。
 また個人的に、創作ホラーの大会で「旧支配者」とか、まんま暗黒神話の用語を出されると、とても萎える。オリジナリティ大幅減というか。書かれた方は、民話の鬼や土蜘蛛程度の気分で使っていたのかもしれないが。
・描写と構成±0
 描写。可もなく不可もなく。暗黒神話的な雰囲気は多少出ていると思う。
 構成。可もなく不可もなく。那須野みずきの登場前後は、少し蛇足というか、冗長に感じた。

【↑と書いていたが、暗黒神話への反感で目が曇っていた。申し訳ない。リビングでの怪異遭遇、はったりの効いた祟りの真相など、描写からは怪奇な雰囲気がよく出ていると思う。
 修正。描写と構成+0.5→四捨五入して+1】

・怖さ±0
 展開が基本に忠実。過ぎるかと。相手次第だが、少しでも同傾向の話を知っていると、大して怖くないように思う。
 オチは、創作ホラーとしても暗黒神話としても、普通の監禁自殺エンドで弱いと思う。ライターの所なども、普通のアクションなので、いまいちかと思う。
・買っても後悔しない魅力−1
 読んでいる時の私は、「長いなぁ、点数どうしようかなぁ」と思っている。途中の小ネタで興味を繋ぎ止められながら最後まで読んでも、オチがありがちな監禁自殺エンドだと、「な〜んだ」と思ってこんな点数をつけてしまう。
 また、まんま暗黒神話の作品を、誉めたくはない。創作ホラーの敗北になる、と言うと大袈裟だが。
 暗黒神話的雰囲気は好き、しかしまんまの作品を出されると、巣に引っ込んでいろ、と思ってしまう。この微妙なファン心理を、どうかご理解いただきたく思う。

名前: わごん ¦ 02:46, Wednesday, Sep 23, 2009 ×


引き込まれる文章で長さを感じませんでした。
が、やはり序盤で怪異のギミックやら結末やらが想像出来てしまったため、後半から少々辛気臭く感じてしまった部分もあります。
このくらいの長さになるのであれば、読者がどう考えて読んでいるか、をもう少し考慮いただければなぁと思います。


名前: PM ¦ 19:29, Wednesday, Sep 23, 2009 ×


長いお話だったのですが、祟りが加速していく様が(変な言い方ですが)楽しく、すいすい読めました。文章も読みやすく、情景も想像しやすく描かれているので、ぐっと物語に入り込んで読みました。

しかしこれは個人的嗜好の問題で申し訳ないのですが、ラストの展開が「神棚を燃やす」ということに何故なったのか。どうしても理解できず、ここで入り込んでいた物語から一気に素にかえってしまいました。
神様、騙されてお気の毒というのが、一番強い感想でしたので。

*文章+1 *描写+1
*恐怖−1


名前: げんき ¦ 00:16, Thursday, Sep 24, 2009 ×


恐怖度1
文章力1
構成力1
アイデア1
下品な社長のキャラが際立っていたと思います。
サバエナスカの意味が引っかかっていたのですが、この物語を通して読むとなるほどと納得しました。長さを感じさせず、結局最後まで読ませてしまう筆力はすごいなと思いました。この先がまだ呪いが続くとなると恐ろしいですね。

名前: 妖面美夜 ¦ 20:01, Thursday, Sep 24, 2009 ×


これも読了に時間のかかった作品でした。最後まで陰鬱なイメージを保つ、読み応えのある作品でした。
ただ、最後まで気力が保てなかったのでしょうか、後半部ややダレ気味です。文章力も構築力もある方ですが、この作品においては、しっかりと設計図が描けないまま書き始めてしまった感がしました。

発想・1 構成・0 文章・0 恐怖・0

名前: 三面怪人 ¦ 23:15, Monday, Sep 28, 2009 ×


定番と言うほどではないにしても、結構書かれている企業人柱譚だと思いますが、サバエナスカナという謎の言葉が解明されていくあたりは、なかなか興味深く読ませていただきました。
中盤までのドラマ部分はすんなり読めました。後半は駆け足気味に感じました。
薄気味の悪さはよく出ていたと思います。
あと、「蝿のように騒がしい悪神」という新味のあるものをせっかく出したのに、「旧支配者」にしちゃったのはもったいないように思いました。

アイデア    1
文章      0
構成      0
恐怖度      1


名前: 鶴の子 ¦ 07:31, Tuesday, Sep 29, 2009 ×


 なかなかドキドキする展開でおもしろかったですね。
 実際にありそうな話ですしね。
 非科学的って壁が悪者の社長を守っているって構図がおもしろい。

 展開として悪役はもうわかりすぎるくらいわかっている訳で、それに対してどう上手く読者をだますのか、ってのがポイントになるでしょうね。
 悪役がそのままじゃ「ああ。そのままか」と読者はガッカリしてしまうので、読者が喜ぶような罠を用意する必要がある。
 会社の彼女の説明が本来は上手く伏線になるハズなので、彼女が知り得なかった何かってのがキーになる訳です。
 ただ、それだけを出してくると「後だしジャンケン」に見えるので、後だしと思わせないようにプロローグで上手くネタをふってやる必要があります。

【アイデア】+1、【描写力】+1、【構成力】0、【恐怖度】0

名前: ユージーン ¦ 19:05, Tuesday, Sep 29, 2009 ×


追記:
 古事記の話なんかのうんちくはおもしろかったです。
 なかなか勉強されてますね。
 でも、その設定を活かすなら、キャラクターにOL以外の人を配置するとさらに説得力があったかもしれません。
 主人公の別れた夫とかね。

名前: ユージーン ¦ 19:08, Tuesday, Sep 29, 2009 ×


全体的なバランスと物語全般を覆う不穏な空気を描く事には成功しているのではないかと思います。物語の中に登場するクリーチャーの半人半獣ぶりも、神様も怨霊も金儲けに利用する社長もいけています。ただ、後半の投稿ゆえに、鏤めた伏線全般を活かしきれていない部分を往々にして見受けましたのでこの評価で。
評点後の感想で、「展開が読めた」という評をちょこちょこ見かけたものの、キーワードの「サバエナスカナ」なる言葉の意味を先に理解していてのものかなあと少し思ったりもしました。
私には初見の言葉でもありましたもので。

名前: 籠 三蔵 ¦ 06:56, Wednesday, Sep 30, 2009 ×


とても惹かれるタイトルだったので、発表時から注目していた作品でありました。
と同時に、前半パートではそこそこ面白そうであるのに、意外にも評価が伸び悩んでいるので、その点でもどこか気になる作品でありました。

早々に神棚がクサい(クロであるという意味で)事については、分かりやすいくらいにベタに書いているので特に問題であるとか悪くはないと思います。
これくらい素直に書いて最初から読者の興味をひいて、読む気にさせてくれている点では、とても貢献していると感じました。

古事記を使った点は工夫があって、なかなかの企みだとは思いますが、何の知識もない主人公がこの話を捌いていくのは少々荷が重かったように感じます。
そのために周辺が見事なまでの偶然により、その道の人揃いで固める必要があったのかなとも思います。

後半パートは会話文に混ざった梗概を読んでいるようで、ちょっと収拾がつかない印象を受けました。具材はしっかり揃っているんですが、前半パートの、むしろ遅いくらいの丁寧さと比べると、その雑さとテンプレの嵌め方が、やはり目立つところであります。
また「サバエナスカナ」は三人称で書かれた小説なのに、視点の殆どは主人公へ固定されているために、本来持つ視点の自由度を生かせていないように感じます。

前半パートの緻密さを見る限り、後半パートのような展開と書き方をどこまで作者の方は望まれていたのか、読んでいると何とも切ない思いがします。

アイデア・1、構成力・−1

名前: 気まぐれルート66 ¦ 17:44, Wednesday, Sep 30, 2009 ×


独りでやっていこうという強い女性が倒れたのは悲しいです・・絶望。個人的には最後は皆殺しくらいの勢いでも良かったかと思うほどの強い呪いが表現されていて怖かったです。

名前: 読書愛好家 ¦ 23:27, Thursday, Oct 01, 2009 ×


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