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エリニュスの蝶
1.
「あんた、殺したい程、憎んでる奴がいるね?」
うららかな春の午後だった。山田花子が児童公園を通りかかると、ベンチに座っている一人の老婆が声を掛けてきた。二人から少し離れた滑り台では小さな子供達が数人遊んでいる。その傍らでは母親達が談笑していた。穏やかな日常の光景には似つかわしくない言葉だった。
「あの、何でしょうか?」
何か別の言葉と聞き間違えたのだろう。そう思って花子が聞き直すと、老婆は持っていた杖を花子に向けた。
「あんたの後ろ、うなじの辺りからモクモクと煙が出ているのが見えてね」  
「煙?」
思わず首に手を当ててみたが特におかしなところはない。このおばあさん、少しおかしいのだろうか? 花子が怪訝な顔をすると、老婆はふんと鼻を鳴らした。
「本当に煙が出ているわけじゃないさ。あたしのように人の因果が眼に見える人間だけが分かる煙さね。あんたから立ち昇っているそのドス黒い煙は、あんたの性根の奥底で黒い炎がバチバチと燃え盛っていることの表れなのさ。そういう人間は大抵、殺したくて殺したくて、しょうがない奴がいるもんだ。だから、声をかけたのさ」
「……」
老婆の言う黒い煙が何なのかよく分からなかったが、殺したくてしょうがない奴がいると言われて、花子は動揺した。もしかして、この人は私のことを知っているのだろうか。花子の眼に警戒の色が浮んだ。
「ふぇふぇ、そんな顔をしなさんな。あたしはあんたの望みをかなえてやろうと思って声をかけたんだよ。親切な婆じゃよ」
「望み?」
「そう。あんたの望みは復讐だろう? 自分の娘を殺した奴を同じ目に合わせてやりたい。そう思っているね。だったら教えてやるよ、憎いそいつを殺す方法をさ」
復讐と聞いて花子は確信した。やっぱりだ。やっぱり、この人は私のことを知っている。あの事件のことを知っているんだ。あいつを殺す方法を教える? いったい何を言っているんだ、この人は。私をからかっているのだろうか。頭にカッと血が上った。
「変なことを言わないでください!」
花子は老婆を睨みつけた。
「おやおや、怖いねぇ。でも、知りたいだろう? どうやって殺すのか。そいつは今、あんたの手の届かない所にいるからね」
老婆は花子の心を見透かしたようないやらしい目つきをして言う。
「なあに、簡単なことさ。呪いだよ、呪い。呪い殺すのさ。あたしゃ、そういったことに詳しい奴を知っているから紹介してやるよ。もっともタダじゃあ、教えられないけどねぇ」
「呪い殺す?」
花子は呆気にとられた。この人は本気でそんなことが出来ると思っているのだろうか? それとも何かのいかがわしい宗教で、金を騙し取ろうという魂胆なのだろうか。あの事件以来、花子はその手の連中を嫌になるほど見てきている。花子は用心を強めた。
「まあ、信じられないのも無理はないね。でも、よく考えてごらん。法律はあんたの望みは叶えてくれないよ。過去の判例とやらにお伺いを立てて罰を決めるだけだ。十五年もすれば、あんたの可愛い娘を殺した奴は、何食わぬ顔をしてそこいらを歩いてる。あんたはそれで平気かい?」
眼を細めて老婆が言う。
「それは……」
平気なはずはなかった。そのことを考えると花子は気が狂いそうになる。
「あたしを信じて着いて来れば、あんたは娘の仇を取れるんだよ」
悪魔のように老婆は囁く。
「……失礼します」
これ以上老婆の相手をすれば、どうにかなってしまいそうだった。
「あんたは必ずまたあたしに会いに来るよ。その黒い炎が消えない限りね」
立ち去る花子の背中に、老婆は呪詛のような言葉を投げつけた。

 花子が自宅マンションへ戻ると、部屋の前に一人の男が立っていた。男は花子を見つけると小走りに駆け寄ってきて、懐から名刺を出した。
「山田花子さんですね。ど〜も、週刊真波の飯沼と申します。娘さんの事件で少しお話を聞かせて頂こうと思いまして」
「すいません、お話しすることは何もありませんので」
取り合わずに通り過ぎようとすると、飯沼は花子の前に回りこんだ。
「……どいてください」
「そう言わずに、お願いしますよ。こっちも何かコメントを取らないと編集長にどやされるんで。少しでいいですから、ねっ?」
口調こそ哀願するようではあったが、飯沼の態度は有無を言わせないものだった。この手の人間は自分の飯の種を手に入れるまで執拗に食い下がってくる。そのことをここ数ヶ月で花子は思い知らされていた。
「……何をお話すればいいんですか?」
花子が折れたことを知り、飯沼は手帳を取り出した。
「被告の青年が精神鑑定を受けることになりましたが、どう思います? 専門家の間では被告の生い立ち、ええと、小学生の頃に両親が離婚、母親が家を出て、その後、父親は再婚。しかし、その一年後に父親は行方不明になっている。父親の失踪後は継母と生活していたが、会話はほとんどなかったようですね。そうした冷え切った家庭環境により本来幼少期に育まれるはずの共感性の欠如が事件を引き起こした原因だとか、学生の頃、周囲から孤立した事により自己顕示欲と自己愛的傾向が強まり、歪んだ思想に走ったためとか、いろいろと意見が分かれているみたいですが。そういった報道はご覧になりました?」
「いいえ。報道はあまり見ていません。理由が分かっても、もう娘は帰ってこないですから」
半分は本当で半分は嘘だった。花子は事件に関する報道にはすべて目を通していた。
「では、被告の青年に望む事は?」
「……自分の犯した罪を自覚して反省して欲しいです」
感情のこもらない声で言うと、飯沼は頭を掻いた。
「あのさぁ、そーゆー、型どおりの返答じゃなくて、本心を聞かせてくださいよ、山田さん。旦那さんが亡くなってから母一人娘一人でやってきたんでしょ。そのたった一人の娘さんを殺されたんですよ。しかも加害者は謝罪の意思はまるでなくて、わけの分からないことを言っている。本当は憎いんじゃないのかなぁ? 加害者が」
安い挑発だったが、先ほどの老婆のせいで既に感情の押さえが利かなくなっていた。花子はキレた。
「じゃあ、言ってやるわよ! ええ、憎いわよ! 出来るなら、あたしがこの手でブッ殺してやりたいわよ! 謝罪? そんなもん、私は望んじゃいない。私が望むのは、あの野郎に絵里奈が味わったのと同じ、いや、それ以上の苦痛と恐怖を与えた上で地獄に叩き落とすことだけよ!」
「やっと本音が出ましたね。でも、今の日本の司法では被害者が一人の事件で極刑にはなりにくいですよ。それに被告はまだ若いので更生の可能性もある」
思い通りに花子を怒らせたことで飯沼はほくそ笑む。 
「更生? ふざけるんじゃないわよ。絵里奈はこの先あと何十年もあるはずだった人生をあいつに無理矢理終わらされたのよ! 絵里奈だけじゃない! 家族の私も、絵里奈の友達や、この先絵里奈と出会うはずだった人たちも、全員が絵里奈との未来を奪われたんだ! それをたかだか十数年刑務所にいただけでチャラにできるっての? そんなのは私は絶対に認めない。認めてたまるもんか!」
「ですが、遺族が極刑を望む事は、それこそ被告の思う壺では? 被告には死刑願望とでも言うべき動機がある」
「くっ!」
花子は唇をかんだ。飯沼の言うとおりだった。花子の娘の絵里奈を殺した男、住川和哉は“自分が死刑になるために人を殺した”と供述していた。住川に死刑を求めるのは、住川の思惑に乗る事だった。そのことが住川に対する憎悪を募らせる半面、これから始まる裁判に対して花子を無気力にしていた。
「……それでも、私は、あいつを許さない」
「なるほど。取材にご協力頂き、ありがとうございました。今回の記事は来週発売の週刊真波に掲載される予定ですので、よろしければご覧ください」
わざとらしく一礼して飯沼は去っていた。来週には「遺族が心情を激白!」などの物々しい見出しと共に、花子の激高ぶりが週刊誌に掲載されることだろう。まんまと飯沼に乗せられたことに、今更ながら花子は臍をかんだ。



2.
 家に戻ると、花子は絵里奈の部屋へ向った。部屋は以前のままにしてある。女の子らしくピンク色の可愛らしいベッドとタンス、学習机に本棚がある部屋は、9歳の子供のものとは思えないほど綺麗に整頓されている。3年前に父親を亡くし、母親である花子も働きに出なければならない為、自分のことは自分でできるよう厳しく躾けた。おかげで絵里奈は年齢以上にしっかりとした子供になった。そのことは花子の誇りでもあった。
「絵里奈……」
呟いて花子は小さなベッドに突っ伏した。冷たい掛け布団からは微かに石鹸の匂いがした。
「絵里奈の匂いだ」
そう思った瞬間、花子の目から涙が溢れ出した。

 絵里奈は学童保育からの帰りに住川に殺害された。“知らない人に近付いてはいけない”“何かあったら大きな声を出すか、携帯をかける”そういった教えも、背後から突然襲われ、無理矢理、路地裏に引きずり込まれてしまっては、何の役にも立たなかった。
 仕事から帰った花子が、絵里奈が帰ってきていないことに気付き、警察に連絡した1時間後、絵里奈は絞殺された無残な姿で発見された。絵里奈を知る近所の主婦が、絵里奈の後をつけるように歩いている住川を目撃していたこと、遺体の爪に残っていた犯人のものと思われる皮膚組織のDNAが住川のものが一致したことから、事件自体は発生から6日後にスピード解決した。
だが、住川が捕まったことは花子には何の救いにもならなかった。むしろ、より深い苦悩の始まりでもあった。
「死刑になりたくて殺した」
「誰でも良かった」
「抵抗できない子供か老人を狙った」
「女の子を襲ったのは、たまたま目の前を歩いていたから」
住川が逮捕されてから連日報道された供述の内容は、花子の精神を一寸刻みに切り刻んでいくものだった。
なかでもある週刊誌のインタビュー記事を思い出すと花子は今でも怒りで体の震えが止まらなくなる。
記者の「今の気持ちは?」という質問に、住川はこう答えたという。
「後悔しています。一人しか殺せなかったから。今の日本の法律では一人殺しただけでは死刑にならないかもしれないですから。未成年でもダメだから二十歳になるまで待ったのに。戦略をミスったことが痛かったですね。実はあと5、6人は殺して、連続殺人事件にするつもりだったんですよ、僕は。どうせ殺すなら、そのほうがマスコミが騒いで面白いでしょ? だから一人づつ、少し間を空けながら殺そうと思っていたんです。けど、まさか一人目で捕まるとは思いませんでしたね。警察も案外やるな、と感心しています。今の世の中、つまらない予定調和と息の詰まるような閉塞感だけでしょ? そんな中、無理して生きる意味なんかないんで。 中学の頃から、戦争でも起きてくれないかなあ、ってずっと思ってたんですよね。そうしたら、ちょっとは楽しめそうだから殺人なんか犯さなかったかも」
自分の大切な娘がこの余りにも幼稚で身勝手な男に殺されたという現実が花子にはどうしても受け入れられなかった。今はタチの悪い夢の中にいるだけ、目が覚めれば、また絵里奈との日常が始まる。眠りに就く度に花子はそう思っていた。けれども朝、目が覚めるたびに狂おしいほどの現実に打ちのめされる。絵里奈を失った喪失感。二度と会えないという悲しみ。あの時、もっと早く帰っていれば絵里奈を助けられたのではないかと何度も自分を責め、何故、絵里奈が殺されなければならなかったのか、と理由を探してしまう。しかしいつも最期に行き着く答えは底しれない理不尽さだけだった。悲嘆、自責、悔恨、苦悶、憎悪。それらが毎日、潮の満ち引きのように繰り返される。煉獄の炎で身を焼かれるような毎日だった。この苦しみから逃れられるなら、いっそ死んでしまった方がいいとも思ったが、それも出来なかった。自分が死んでしまえば、誰が娘の無念を晴らすのか。その思いだけで今日まで生にしがみついてきた。
とはいえ、これから始まる裁判で極刑を求めて戦うということも花子には出来なかった。住川が死刑を望んでいたからだ。終身刑ならば自分の人生と世の中に見切りをつけた住川にとって最大の罰になったかもしれないが、日本の無期懲役は仮釈放されるのが大半で実質の終身刑ではない。ジレンマに陥った花子の中で憎しみだけが日々濃縮されていった。
「あのおばあさん……」
公園であった不気味な老婆のことを花子は考える。呪いで人を殺すという荒唐無稽な話は到底信じられなかったが、もし、それが本当にできるなら、このジレンマの袋小路から抜け出し、絵里奈の無念を晴らすことが出るかもしれなかった。

 次の日、花子は公園に赴いた。恨みの感情が不信感を上回った結果だった。
二時間ほどベンチに座って待ってみたが、老婆は現れなかった。
「何をやっているんだろう。私」
溜め息をついて帰ろうとすると、太ももの辺りをポンと叩かれた。
あの老婆だった。いつのまに来たのか、ほんの数秒前まで花子が座っていたベンチに腰掛けている。老婆は皺だらけの顔を歪めて笑うと、
「来たね」
まるで花子と待ち合わせていたかのような口ぶりで言った。



3.
 三日後、花子と老婆は都内にある寂れた雑居ビルの前にいた。駅から少し離れた路地の裏という立地条件、古くなって傷んだ外装から、あまりまともな印象は受けない。
「今は持ち主が変わってテナントが入ってるけど、元々、ここはバブルの頃にラブホテルとして建てられてね」
老婆はそう説明した。
「そこのエレベーターを使って4階に行きな。一番奥の部屋だ。そこにあんたに手を貸してくれる奴がいるから」
「直接、引き合わせてくれないんですか?」
「あいつを見たら、三日は飯が咽を通らなくなるからね。あたしゃ、ゴメンだよ。なあに、心配しなくても逃げやしないよ。紹介料はあいつに会った後でいいから」
そう言うと老婆はタバコを取り出した。どうやら本当に行く気はないらしい。
「4階の一番奥の部屋ですね?」
諦めて花子はエレベーターに乗り込んだ。呆れるほどゆっくりと上昇し、扉が開くと、通路から淀んだ空気が流れてきた。
「ここかしら?」
扉には銀のプレートがかけられ、小さな文字で何か書かれている。
『汝、復讐の女神エリニュスにその身を捧げる覚悟あらば、扉を叩け。汝、その覚悟なくば、慈愛の女神エウメニデスの使徒たらんと欲せ』
花子が扉をノックしようとすると中から声が響いた。
「どうぞ、鍵は開いていますよ」
照明はちゃんと点いているのに、妙に薄暗い部屋だった。
部屋の奥の机にはサングラスを掛けたスーツ姿の男が座っていた。サングラスのせいで表情は窺い知れないが、体つきなどから四十代と思えた。男は和田と名乗った。
「真知子さんからお話は覗っています。山田花子さんですね。どうぞお掛けください」
真知子と言われて一瞬誰の事か分からなかったが、老婆のことだと気付いた。そういえば、名前も聞いていないことに今更ながら花子は驚いた。ソファに座って改めて周りを見回すと、室内は驚くほど簡素だった。和田の使っている机と、花子が座っている来客用のソファの他には大きな棚がひとつ、あとは左右の壁に一枚ずつ絵が掛けられているだけだった。絵は右側に若い女性の肖像画が、左側には宗教画のようなものが掛けられていた。
「絵画に興味がお有りですか?」
「いえ、美術や芸術には疎いもので……」
花子が答えると、
「そうですか。私もですよ」
和田は口元を少し歪めた。笑ったのかもしれない。
「その絵は『オレステスの悔恨』といいます。古代ギリシャの悲劇作家アイスキュロスの戯曲『オレステイア』はご存知ですか? その作中で、エリニュスに己の罪を責めたてられたオレステスが苦悩する場面を描いています」
「エリニュス?」
そういえば部屋の扉にもそんな言葉が書かれていた。
「ギリシャ神話の復讐の女神です。伝説では冥界を住処とし、髪は無数の蛇で目から血の涙を流す醜い老婆の姿をしており、手に鞭や松明を携えて犯罪者を追い回し、責め苛んで狂気に到らせるといいます」
「復讐の女神……」
花子は改めて画を見た。
短剣を胸に突き立てられた女の隣に若い男がいる。男は苦悶の表情で耳を塞ぎながら女から背を向けている。その男を蛇髪の3人の女達――おそらくこれが復讐の女神エリニュスたちなのだろう――が取り囲み、恐ろしい形相で男を責め立てている。
「その、オレステスという男は、いったいどんな罪を犯したのですか?」
花子は何故かこの画に興味を引かれた。
「それを話すと少し長くなります。事の発端は彼の父、アガメムノンが自分の娘を手に掛ける事から始まります」
和田は説明を始めた。
「アガメムノンはトロイア攻めに赴くギリシア軍の総大将だったのですが、船で出撃しようとしたところ、肝心の風が吹かず、船を出せませんでした。予言者に原因を尋ねたところ、『これはアガメムノンに敵意を抱く女神アルテミスの怒りによるものだ。彼の長女イピゲネイアを女神への生贄に捧げなければ、船出はかなわない』と言われます。士気上がる将兵らに責め立てられたアガメムノンは、泣く泣く娘を嘘で騙して呼び寄せ、自らの手に掛けます。これを聞いた妻のクリュタイムネストラは、最愛の娘を殺された事を恨みに思い、復讐を決意します。十年後、トロイアを陥落させて凱旋してきた夫を、愛人のアイギストスと共謀して斬殺しますが、今度は他の子供たち、次女のエレクトラと息子のオレステスが母を憎み、デルポイの神アポロンに『父の仇を討て』と命じられたオレステスが、母と愛人を殺してしまいます。しかし、母親殺しの大罪を犯したオレステスも復讐の女神エリニュスたちに追われる身となるわけです」
「ずいぶんと陰惨な話ですね。まるで憎しみが新しい憎しみを呼びこんでいるみたいで」
「そうです。作者であるアイスキュロスは『オレステイア』において流血の連鎖とその決着を描いているのです」
「解決があるのですか?」
「ええ。拍子抜けするかも知れませんが、裁判で解決します。女神アテネを裁判長とする裁判が行われ、オレステスは無罪を勝ち取ります。最後までオレステスの罪を追及していた復讐の女神エリニュスも、女神アテネに説得され、慈愛の女神エウメニデスになることで和解し、物語は終わります。憎しみという個人的なものに法という公のものが勝利するわけです。ここら辺は現代にも通じる部分がありますね」
「……」
裁判ですべてが解決し、犯した罪が許されるというのが花子には納得できなかった。
「長々と余計な話をしてしまいましたね。そろそろ本題に入りましょう。真知子さんからお聞きになっていると思いますが、私は恨みを晴らしたいと願う方々にお力添えさせて頂いております。もっとも実際に行為を行うのも、行為のリスクを負うのも、ご本人自身。私はただその手段を用意するだけですが」
「あの、本当に呪いで人が殺せるものなのでしょうか?」
「呪いで人が殺せるかどうかという問いには、はっきりYESと答えておきましょう。ただ、呪いが成功するかどうかは、行う当人次第です」
「失敗することもあるのですか?」
「もちろんです。呪い返しを持ち出すまでもなく、呪術と言うのはとてもリスクの高い殺人方法です。人を呪わば穴二つの諺通り、呪った当人にも大きな代償が求められます。ですが、そのリスクを補って余りあるメリットがあるのも事実です」
「メリット?」
「第一に時間や距離に拘束されないことです。きちんと手続きを踏めば、地球の裏側にいる相手を殺すことも、十年後、二十年後、場合によっては100年後に、対象とする相手の子孫を狙って殺すことも出来ます。第二に力の劣った者でも力が強い者を殺せることです。ここで言う力とは、肉体的なものの他に地位や身分、権威といった抽象的なものも含みます。力の弱い女子供でも屈強な男を、身分が下の者でも上の者を殺せるというわけです。歴史的にも呪術は弱者の報復手段としてよく用いられてきたようです」
「弱者の報復手段……」
花子は俯いて呟いた。法で守られた住川と比べれば、娘を殺されても何もできない自分は、弱者なのかも知れなかった。
「山田さんは、蠱毒というものを知っていますか?」
「コドク?」
「いわゆる生け贄を使った呪術の一種です。毒を持つ虫や動物を一つの甕に密封し、地中に埋め共食いをさせます。その後、生き残ったものを使って、様々な呪いを行うというものです」
そう言うと、男は机の下から漆塗りの箱を取り出した。
箱の中には木の枝が一本入れてあり、枝には小さいキャベツの葉を丸めたようなものが張り付いている。
「それは……、蝶のサナギですか?」
「そうです。このサナギには、蠱毒で生き残ったものの生き血と毒を染み込ませています。あなたが殺したいと願う相手は手の届かない所にいるで、今回はこれにもう一つ別の呪法を加えます」
「私は何をすればいいのでしょうか?」
「まず、人を呪うということは凄まじい量の生気を消耗することを覚えておいてください。生気とは人の命の炎のようなもので、生気が尽きる、すなわち命の炎が消えてしまえば、それはその人の“死”を意味します。呪術が成功するかどうかはあなた次第だと言ったのは、そういう意味なのです」
つまり、相手が死ぬより先に呪った当人の生気が尽きてしまえば、無駄死に終わるということか。
「最初にあなたの血を一滴、サナギに垂らして下さい。その時点で、呪法が開始されます。血を垂らしてしまえばもう後戻りは出来ません。宜しいですね?」
花子はこくりと頷く。
「次にサナギに向けて貴方の負の情報を投影してください」
「負の情報?」
「ネガティブな想念のことです。分かりやすく言うなら恨みの念とでもいいましょうか。行う時間帯は俗にいう丑三つどきの午前2時がベストですが、日没から日の出までの時間帯ならいつでも構いません。室内は精神を集中させるために暗くした方がいいでしょう。今、お住まいには一人ですか?」
「はい」
「ならば問題はないと思いますが、人に見られると他の情報が混入されるので避けてください。充分な量の負の情報と投影する対象の焦点が定まれば、術式が発動します」
「あの、すいません。もう少し分かりやすく仰って下さい」
「これは失礼。そうですね、この呪いはあなたが怒りや憎しみといった呪いのエネルギーを入れて、呪う相手のデーターを入力すると自動的に発射されるミサイルのようなもの、と考えてください」
「ミサイル、ですか……」
改めて花子はサナギを見てみる。この何の変哲もないサナギがどのような恐ろしい呪いを発するのか、花子には見当もつかなかった。
「呪術に関する説明は以上ですが、これをお渡しする前に少し私の個人的な話を聞いてもらえますか?」
「あなたの話を?」
「大してお時間は取らせません。山田さんにはぜひ聞いてもらいたいのです」
「必要ならば」
花子が答えると和田は軽く頷いた。
「私の、古い知り合いの男の話です。その男を仮にAとしておきましょうか。Aはとても愚かな男でした。愚かである以上に臆病だった」
和田はちらりと肖像画の方を見た。
「Aはとある女性を愛していました。若くて美しいその女にAは心底ほれていた。それなのにAは自分が女性を愛していることを認めなかった。自分を欺いていました。それはその女性が、いつか自分の元を離れていくのを知っていたからでした。臆病なAは傷つく事を恐れ、自分の気持ちと向き合おうとはしなかった」
「……」
花子には何故かこの話がAの話ではなく、和田の告白のように思えた。
「そして、Aが恐れていた通り、破局が訪れました」
抑揚のない声で和田は告げた。
「浅ましく身勝手な妄執に囚われたAは、その日、総てを失うことになりました。しかし、例え総てを失ったとしても犯した罪は消えない。Aは犯した罪に対する罰として、未来永劫逃れる事のできない呪縛に囚われました。その呪縛とは」
「……喪失感」
花子は呟く。
「そうです。立場は全く逆ですが、あなたとAは同じ呪縛に囚われています。Aと貴方との違いは、ぽっかりと空いた大きな穴を埋める別の何かを持っているかいないかです」
「別の何か……」
それは復讐心なのだろう。永遠に埋めることの出来ない喪失感という穴を復讐心という泥土で必死に埋めようとする。それは確かに花子が行おうとしていることだった。
「しかし、代用品で穴を塞いだとしても、それは一時のことでしかありません。後に残るのは虚しさ、いえ、あなたが手を染めようとしていることの結末は身の破滅、死です。」
冷徹なまでに和田は言い切る。
「……まるで復讐を否定するような言い方ですね」
「そんなつもりはありません。ただ、復讐の本質を言ったまでです。私自身は復讐を肯定も否定もしません。私の役割は表の世界にはない“選択肢”を提示することですから」
しかし、と言って和田は手を組んだ。
「今回の山田さんの選択には正直なところ賛同しかねます。なぜなら、裁判の結果次第では、あなたの行為は全くの無駄になる」
それは花子もよく分かっていた。結果が同じになるのに何故自分の命を捨てるようなことをするのか。それでも花子には譲れない理由があった。
「確かに仰るとおりです。私が何もしなくても住川は裁判で死刑になるかもしれない。でも、私はこのまま司法の手で住川が裁かれるのを、黙ってみていることは出来ないんです。もし、住川が自分の望みどおりに死刑になれば、絵里奈の命が住川の目的のために“使われたこと”になる。それだけは絶対に許せない。許せないんです」
「住川には本人の“希望した死”ではなく、犯した罪に対する“罰としての死”を与えたいというのですか?」
和田の問いに花子は頷く。
「和田さんの言うとおり、私の選んだこの選択は、多分、もっとも愚かな選択でしょう。辛い現実から逃げて楽な方に行こうとしているだけなのかもしれない。ただ悪戯に憎しみの連鎖を重ねるだけかもしれない。でも……」
花子は和田を見据える。
「人は大事な人を理不尽にも奪われた瞬間、決して癒えることのない怒りと悲しみの檻に囚われます。痛みを忘れることも、絶望から目を逸らす事もできず、ただ檻の中で残された時が流れるのを見つめる事しかできない。時が経てば傷が癒るとか相手を許せるようになるとか言う人もいますが、私はそうは思わない。思いたくない。それでは殺された者が余りにも不憫です。和田さんは復讐は喪失感を埋める代替行為だと言いますが、私にとって復讐は最後の希望なんです」
「希望……」
和田は呻いた。
「それは希望なんかじゃあ、ない」
「いえ、希望です。娘の為にも、自分自身を檻から解き放つ為にも、私が住川を殺さなければならないんです」
「……そうですか」
和田は嘆息した。
「そこまでの覚悟をお持ちなら、私にはもう何も言う事はありません。どうぞ、お受け取りください」
和田は漆塗りの箱を差し出した。
「あなたとご息女の魂に平安が訪れる事を」
「ありがとうございます」
サナギの入った箱を受け取ると花子は一礼して部屋を出た。

 花子を見送った後、和田は肖像画の前に歩みよった。そして、まるで画の中の人物に語りかけるように呟いた。
「エリニュスはエウメニデスにはならなかった。私はまた一人、破滅に導いてしまった」


エリニュスの蝶――2へ)

【事務局注】
この作品は、送信された作品ファイルサイズが非常に大きく、1エントリ分で作品全てを表示することができないため、事務局側の判断で複数エントリに分割していますが、全て合わせて単独の一作品として応募を受け付けた作品です。
このため、先頭エントリ部分のみトラックバック/コメントを受け付けるとともに、先頭以外のエントリではトラックバック/コメントを受け付けないようになっています。
これはエントリーblogのCGIの仕様上の制限に基づく特別措置であり、「エリニュスの蝶-XX」を全て合わせて1ファイルの単独作品であるとして、先頭エントリ部分にのみトラックバック/コメント講評を頂戴いただけますようお願いします。

なお、正式タイトルは「エリニュスの蝶」で、XX部分の数字はエントリ分割に伴う、事務局による補足的なものです。

[2016年10月28日追記]
本作品の登場人物名について著者以外の第三者から本人証明を伴う削除依頼がありました。このため、該当する登場人物名を暫定的に「山田花子」に変更しています。この暫定措置について著者からの抗議などがありましたら、事務局宛フォームからその旨ご連絡下さい。


23:17, Tuesday, Sep 15, 2009 ¦ 固定リンク ¦ 講評(15) ¦ 講評を書く ¦ トラックバック(4) ¦ 携帯


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受信: 21:46, Wednesday, Sep 23, 2009

» 【+1】エリニュスの蝶 [峠の塩入玄米茶屋/2009から] ×
良く書けていると思う。文章に破綻もない。若干文章が詰まっていて読み難い所があるにはあるが、まあ許容の範囲内。ただ、前半の文章密度に比べて、死と引き換えにする程の呪いであるにも関わらず、住川があっさり死んでしまったのがちょっと物足りなさを感じた。定番だが ... 続きを読む

受信: 23:35, Monday, Sep 28, 2009

■講評

些細なことばかり述べると思います。
まず、他の作品にも言えることですが台詞の多さが気になります。
説明の部分、サナギの描写で神秘性を出して欲しかったです。
また、命をかけた復讐の実行が、わりとあっさり終わってしまっているのが残念でした。怨念の深さを示す残虐な罰を与えて欲しかったです。
長い作品だけに、気になる点が多く見受けられました。
ラストは哀切に満ちていて、良いと思います。

ラスト+1

名前: もりもっつあん ¦ 20:10, Saturday, Sep 19, 2009 ×


「呪術と虫」を扱う作品がもっと多いと思っていましたので、逆に、この作品にホットしました。

アイディア 1
描写力   0
構成力   0
恐怖度  −1

名前: ユーコー ¦ 21:44, Saturday, Sep 19, 2009 ×


発想0 文章+1 構成−1 恐怖0
前半は不穏な空気を感じさせてよかったです。文章もうまいと思う。
昨今ありがちな、理不尽な理由でわが子を殺された親の気持ちがよく表現できていると思います。
おそらく最後の犯した罪のせいで死後、わが子と会うことは叶わないという恐怖を描きたかったのかもしれませんが、何が正しくて何が間違っているのかという、復讐のジレンマ。この難しいテーマを扱った話の結末としてはやや安易かと思います。
呪いもあっさりと成功してしまっていますが、犯人の苦しむ姿をみて、花子はもっと葛藤し、煩悶してもよかったのではないでしょうか。

名前: 戯作三昧 ¦ 08:10, Monday, Sep 21, 2009 ×


雰囲気 2
テーマ 1
構成 1
神話をモチーフとした物語がとても好きですので、表題を見た時からこの物語が気になっていました。ギリシャ神話と現代の事件を絡み合わせた、秀逸な作品だと思います。特にエリニュスとエウメニデスの話は初めて聞きましたので、その点も併せて楽しむことができました。現在問題となっている、「自殺をするための連続及び大量殺人」を取り上げ、「人を呪えば穴2つ」の理論を明確に且つ悲しく書き上げた、名作だと思いました。

名前: 白長須鯨 ¦ 19:56, Wednesday, Sep 23, 2009 ×


前半パートはみっちりしすぎていて、結構読み切るのがしんどかったです。
怪集では割と長い作品が出ていますが、昨年の遺伝記の長市やウミガメ、名殺あたりと比べると、どうも長さに対して内容の水増し感が強く、むやみに長い話が多いように思います。

ギリシャ神話はネタの宝庫と言われていますし、それを持ち込んで作品に取り入れたところは工夫があって良かったです。
最後もよくある展開ながら、しっかり纏められてはいるのですが、結末に来るまでがあまりにも長すぎて、もはやエリニュスが何だったか忘れてしまうくらいです。

話が分からなくなるよりはベタなくらいにストレートに書いたこの文章でもいいかとは思いますが、もう少しタイトにしても良かったのではないかなという気がします。

アイデア・1、構成力・−1

名前: 気まぐれルート66 ¦ 22:22, Thursday, Sep 24, 2009 ×


・アイディア±0
 呪術の内容は、娯楽目的のあまり凝っていない呪いの本に乗っていそうな、ありがちな感じに思えた。老婆や男も、よくある斡旋者・専門家の設定かと。花子の動機なども。
・描写と構成±0
 描写。ギリシャ神話に絡めたはったりの効いた説明は良いと思う。01「モクモクと煙」も面白い。
 構成。01までの長さ・丁寧さで02もやるか、02の短さに01も縮めるか、の二択だと思う。現状ではどっちつかずで、中途半端に思える。飯沼のシーンなどは、嫌さ・心情吐露の役割は出ていたと思うが、もっと後半に生かせそうな気もする。

 細かいこと。「あいつを見たら、三日は飯が咽を通らなくなるからね。」、男の外見のことだろうか? そうでも無いように思えたが。「被告の青年が〜〜はご覧になりました?」や神話の説明台詞、手早く済ませたかったのかと思うが、少し長くて説明臭いかも。一部地の文に変換して分割するとか。

・怖さ±0
 普通かと。舞台設定は整っていると思ったが。
・買っても後悔しない魅力−1 長い割りに「5」からがあっさりめで、舞台設定だけで終わってしまったような印象を受けるので。

名前: わごん ¦ 16:32, Friday, Sep 25, 2009 ×


中盤までの盛り上がりは良かったのですが、締め急いだというか、なんだか尻すぼみな印象を受けました。
ラストは良いと思うので、後半、復讐を遂げた後くらいからそれに至るまでの間に、もう一つ盛り上げても良かったかもしれませんね。

文章の方ですが、文体としては読み易くはありますが、所々でくどい表現があったり、文章が全体的に詰まっていて読みにくかったりと、なかなかすんなりとは読めませんでした。
締め切り間際で時間が厳しかったためとは思いますが、改行や表現の整頓等がもう少ししっかりしていればもう2点くらい追加しても良かったかなぁと思います。


名前: PM ¦ 19:40, Saturday, Sep 26, 2009 ×


恐怖度0
文章力0
構成力0
アイデア0
とても頑張って書かれていると思いますが、長さを感じてしまい、読みくたびれました。
出てくる設定がこれといって目新しくないので、予定調和に話がすすんだように思います。

名前: 妖面美夜 ¦ 23:15, Saturday, Sep 26, 2009 ×


書き出しがとても好みに合っていて、ぐっと惹き込まれました。飯沼との会話で、花子と絵里奈の悲劇が表に現れるところはリアルに声が聞こえてくるようで、花子の怒りと哀しさと絶望が、すごく伝わってきました。飯沼に怒りが湧いたくらいです。

復讐の代償が絵里奈との永遠の別れというのが、とても切ないです。

*雰囲気+1 *絶望感+1
*恐怖−1

名前: げんき ¦ 01:16, Tuesday, Sep 29, 2009 ×


文章につかえる部分も無く、娘を殺された母親の心象風景、不気味な蠱毒の蛹、不可思議な呪術師と小道具満点で楽しまさせて頂きました。但し評点の2はやや甘めについております。呪いの結末である地獄絵図を描こうとするのなら、私でしたら、呪い殺された住川と母親が永劫に殺し合うラストを用意しちゃったかも知れません…。
そんな破壊力がいまひとつ欲しかったなと思いましたので。

名前: 籠 三蔵 ¦ 23:38, Tuesday, Sep 29, 2009 ×


 雰囲気があっていいですね。
 良く書けていると思います。

 お話としてはストレートな復讐の話なので、もうひとつ何かひねりがあれば良かったと思います。


【アイデア】0、【描写力】+1、【構成力】0、【情感度】+1

名前: ユージーン ¦ 00:12, Wednesday, Sep 30, 2009 ×


最近ありがちな理不尽殺人を描いており、被害者家族や犯人の心情はよく出ていたと思います。ただ、最初に出てくる記者を含めて、どうもステレオタイプの域を出ていないように思えました。
お話も説話的で、結末もストレートに復讐禁止の教訓を思わせ、もう一捻りがほしいと思いました。

アイデア    0
文章      0
構成      0
恐怖度      0


名前: 鶴の子 ¦ 02:49, Wednesday, Sep 30, 2009 ×


良く書けた作品だと思います。
最後の切なさも胸に迫るものがあります。ですが、それらの長所を台詞が台無しにしています。
現実の会話を採取してきて、御自分が書いた会話と突き合わせてみられてはどうでしょうか。
その余りの相違に愕然とするのではないでしょうか。

発想・1 構成・1 文章・−1 恐怖・0

名前: 三面怪人 ¦ 11:55, Wednesday, Sep 30, 2009 ×


薀蓄は知性を感じるので好きです。
個人的には、怖さのピークが中盤にきてしまって終わりが楽しめなかったのが残念です。

名前: 読書愛好家 ¦ 20:17, Thursday, Oct 01, 2009 ×


ありふれた題材ながら分割02中盤からの勢いはよかったです。

[追記]
 講評しめきり30秒前くらいに書いたので一行になってしまいましたがw、伸びたのでもう少し。

 一番最後、地獄に行くんだよ! と思い出させたのがお祖母ちゃん……っていうのが胸に来ました。主人公の年齢的に、お祖母ちゃんももう死んでいるんですよね。そして主人公も永遠に娘と引き裂かれてしまう。
 絆は失われたときに、かけがえのなさが分かるのですね。
 感服です。

名前: あおいさかな ¦ 00:19, Friday, Oct 02, 2009 ×


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