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開かず部屋
「さあ、中に入れ!」
制服を着た男が命令すると、同じ格好をした男女数人が、一定の間隔をあけ、指示通りその部屋に入っていった。
コンクリートむき出しの殺風景なその部屋は、正面と左右の高所に設置された窓から差し込む明かりのほか光源がなかったため、隅に闇を宿していた。そのことがこの部屋をいっそう、どんよりと重く、凄惨に見せていた。
「それでは、これから3日間、お前らはここで過ごすこととなる。その間、何があってもこの扉が開けられることはない。いいな。ただし、3日過ぎたら、お前らは解放される。自由だ。それまでせいぜい大人しく過ごすんだな」
そう言い残すと制服を着た男は、派手な音を響かせながら分厚い扉を閉めた。
口を開く者はいない。長く独りきりの生活が続いたことで皆、物事に対し反応する感覚が極端に鈍っているのだろう。周囲の人間に興味を持つ者すらいなかった。

「ローレン、この部屋はなんだろうな」
ドイツのガス室を思い浮かべ不安になったささくれは、幼馴染のローレンに話しかけた。
周囲の人間は微動だにしない。めいめいが大人しく思い思いの方向を向き、あるいは膝を抱え、あるいはあぐらをかき、あるいは方膝を伸ばした状態で、物思いに耽っているようだった。家具もなにもない。気温は一定に保たれているようで、適温だ。
「やはりお前もそう思うか。ここに移される前に噂で聞いた開かずの間だな」
その声に、微かに耳をそばだてる気配がした。部屋の空気が動いた。
「詳しく聞かせてくれないか」
聞くだけで不安になる声の男が言う。
「ここは、昔まだ死刑制度があった頃の執行部屋だ。天井にはめ込み式の鉄の板が見えるだろう。あそこが開いて絞首刑が執行され、この部屋で絶命を確認したのだという。だからこれまでのたくさんの受刑者たちの念が渦巻き、生者に禍なす部屋だと聞いた」
「だからか、さっきからお前の頭を大きな蜘蛛がかじっている」
「なに!」
ささくれは頭の周りを手で振り払った。だがすぐにその手を止めた。
見上げた先に眩いばかりの光を放つ蝶が飛んでいることに気づいたからだ。
「ローレン、あれを見ろ」
隅に蹲っていた女がいつの間にか立ち上がり、恍惚とした表情を浮かべている。
雨か雪を確かめるかのように左右に広げられた腕の先には、数知れない蝶がたゆたんでいる。
「なんだあれは。なぜここにいるんだ」
見る見るうちに女はしぼんでいき、まるでたこかなにかのように、べちゃっという小さな音とともに力なく床に広がった。

制服を着た男が二人話している。
「本当に3日経ったら開放ですか」
「君は…、新人だったな。そんなわけないだろう。3日もつ奴なんていないよ。もし仮に3日生きていたとしても、そのときはまた放り込むだけさ」
「死ぬまでですか」
「そうさ死ぬまでさ。死刑制度がなくなったと思ったら、お国は、ちゃあんとそれに変わる制度を用意してくれたのさ。しかも、今度は我々が傷つくことは皆無だ」
新人と呼ばれた若者は、その初々しい顔を苦しげにゆがめた。
それを見て、ベテランの刑務官は、自分にもそんな時代があったと懐かしく思った。
「それにしても」
「なんだ」
「なぜ『お前ら』なんですか。私には男が一人いるようにしか見えませんでしたが」
「ビリーミリガンって知らないか。奴さんは1人で5人なんだよ。知っているのはおれ一人だけだろうけれどもね」



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 ……なんか、話の落としどころがおかしくないですか? 部屋の説明にはなってないですし、受刑者が多重人格だということが話にどう活きる... ... 続きを読む

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アイデアはなかなか面白かったと思うのです。ただオチに行き着くまでの矛盾点がどうしても拭いきれない、といった印象です。書きたかっ縺... ... 続きを読む

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» 【−1】開かず部屋 [峠の塩入玄米茶屋/2009から] ×
発想は面白かったんだがなぁ。多重人格が出た途端矛盾が生じてしまった。大体、男が多重人格である事をベテラン刑務官一人しか知らないのはおかしい。死刑に匹敵する刑を課されているのなら、犯行が凶悪であったであろう事は推測出来る。事件の詳細を解明する一環として、 ... 続きを読む

受信: 02:28, Wednesday, Sep 30, 2009

■講評

「男女数人」と「男が一人」が矛盾しています。
「男」からすると数人、ということでしょうか。ややこしいです。
そもそも多重人格者に「お前ら」と呼びかけることが気になりました。
はたから見れば常に誰か一人の人格でしょうから、ほかは聴いてないんじゃないかと。

文章-1
構成-1
絶望+1


名前: もりもっつあん ¦ 17:08, Friday, Sep 18, 2009 ×


虫の実体ではなくイメージが、囚人への科刑というのは面白かったです。

アイディア 1
描写力   0
構成力   0
恐怖度  −1

名前: ユーコー ¦ 20:53, Saturday, Sep 19, 2009 ×


恐怖-1
アイデア+1
文章-1
構成-1


矛盾と落とし方が引っかかりました。
推敲すれば、ずっとよくなるとは思います。

名前: メタ郎 ¦ 03:07, Monday, Sep 21, 2009 ×


発想ー1 文章0 構成0 恐怖ー1
死刑になった受刑者たちはなぜ虫に?
ささくれ達が死刑になる前に、精神鑑定やら何やらして犯行の動機を解明したり人格を統合しようとしたり色々あって、実はそこに虫が絡んでいて、というならわかるんですが。
霊たちもいつか成仏してしまうかも知れないし。
女が蝶によってしぼんでいく場面はいい感じです。

名前: 戯作三昧 ¦ 05:14, Monday, Sep 21, 2009 ×


こういうノリはとても好きなんですけどね。
海外小説の味わいが入っていて、最後もジョーク的なオチで、本当なら面白い作品だと思います。

ここにいる誰でもない、作者がこの話を語っているのですから、同じ格好をした男女数人が最後に一人だったと説明するには、少々種明かしがアンフェアではないかなという気がするのです。
これが映像作品なら、視点はカメラなのであまりアンフェアさを感じないかもしれませんが、一人が複数人に見えるのは現実的な視点ではなく、どちらかといえば精神世界の映像ではないでしょうかね。
だとすると最後で、ベテラン刑務官には特殊能力か何かがあって見えているという設定になるでしょうから、その飛躍にどうやって公平な理屈を持ち込むかは、かなり難しいのではないかなと思います。

書き方次第で面白くなったと思うので、何とも勿体ない作品です。

名前: 気まぐれルート66 ¦ 14:18, Tuesday, Sep 22, 2009 ×


・アイディア±0
 元執行部屋というのは恐怖譚らしくて良いと思う。しかし、使い方や、実は多重人格でした、というオチは、ありがちの域かと思う。大きな蜘蛛や光を放つ蝶など、まだ仕込まれたネタがありそうだが、現状では説明不足で伝わってこない。
・描写と構成−1
 ミスリードの誘い方に盛大に失敗していると思う。既に沢山言われているが、地の文が嘘を吐いたら駄目なのではないか。あくまで真相を誤解させるだけに止めないと。
 ささくれ達の会話が脳内の出来事だとすると、互いの姿が見えているらしい点で、整合性も怪しくなると思う。

・怖さ±0
 とてもマイナス寄りの0。
・買っても後悔しない魅力−1 残念ながら。完成度が低いように思える。

名前: わごん ¦ 17:05, Friday, Sep 25, 2009 ×


ううーん、私には難しかった…。
正直、なんだかよく解りません。
さらにラストでぐっちゃぐちゃにされた感じでした。

名前: PM ¦ 20:26, Saturday, Sep 26, 2009 ×


恐怖度0
文章力0
構成力0
アイデア0
無駄に長くなかったのはよしとして、話の着地点が見えませんでした。虫というテーマが見つけ辛いのも難点ですね。シュールにするにしてもちょっと中途半端だったかな。

名前: 妖面美夜 ¦ 23:29, Saturday, Sep 26, 2009 ×


必要なことは他の人たちが言ったので。

名前: あおいさかな ¦ 18:58, Sunday, Sep 27, 2009 ×


うーん、
面白かったんですが、最後のところで「あれ?」と思い、もう一度読み返してしまいました。
残念ながらそこがラストのツボの部分に対して、致命的だったかも知れません。海外の短編ホラーのようにエッジの効いたタッチが良かったので、とても惜しいと感じております。

名前: 籠 三蔵 ¦ 21:48, Tuesday, Sep 29, 2009 ×


 なるほどって感じですね。
 システムの持っている冷酷さってのがおもしろい。

 ただ、お話としてはちょっとひねりに欠けますかね。
 多重人格ってのももうひとつ生きてない感じですしね。

名前: ユージーン ¦ 00:43, Wednesday, Sep 30, 2009 ×


死刑制度の代替制度という設定と多重人格というオチが面白いです。

>長く独りきりの生活が続いたことで
ここで「ん?」と引っかかったんですが、ここが伏線になってるのでしょうか? 冒頭、地の文で「男女数人」とあったので少し戸惑いました。
女がしぼんで床に転がる場面が、オチを知ってから再読すると意味深なことをいろいろと妄想させてくれて、好きです。



*発想+1 

名前: げんき ¦ 00:59, Wednesday, Sep 30, 2009 ×


地の文と設定とが矛盾しているようです。
最初から部屋の中にいるように書かないと無理っぽいですね。

アイデア    0
文章      0
構成     −1
恐怖度      0


名前: 鶴の子 ¦ 04:38, Wednesday, Sep 30, 2009 ×


ミスリードの方法をもう少し勉強されてから再挑戦されては如何でしょうか。作者が読者に嘘をついてはいけないのです。全てを明かさなくても良いのですが、明かしたことは真実でなければなりません。
発想が面白かっただけに、何とも残念です。

発想・1 構成・−1 文章・−1 恐怖・0

名前: 三面怪人 ¦ 12:29, Wednesday, Sep 30, 2009 ×


作者の方の意図は、今回は成功したとは言えないかもしれません。
ルールにのっとると点は出せないのですが、設定とタイトルは良かったと思います。

名前: 読書愛好家 ¦ 20:13, Thursday, Oct 01, 2009 ×


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