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鴇田(ときた)圭司は子供の頃、死にかけた事がある。 ちょうど小学4年生の頃、海水浴に行った時のことだった。 クラス一番の水泳上手でぐんぐん力をつけていた鴇田は沖合いのブイを目指していた。 鴇田は自分の能力を過信していた。そして海の恐ろしさを過小評価していた。 行きで予想以上に体力を使ってしまっていた。 また沖に近いブイのそばの流れが速くなっている事を知らなかった。 そして帰り。 冷え切った身体が徐々にいうことをきかなくなり、陽射しを浴びてぎらぎらと光る波間に身体が吸い込まれていくのを止める事ができなくなっていた。
気づくと宇宙のただ中に漂っていた。 目に見えるほどの速度で星が夜空をすべって行く。 自分では知らないと思っていた星座がその時は手に取るようにわかった。いつかどこかで見たり聞いたりしてた記憶がわき上がってきたのかもしれないと今ならそう思う。 だがその時は自分が宇宙の中心にいて宇宙の全ての事を知りつくしているように思えた。宇宙と一体化し、どこまでが自分でどこからが宇宙なのか区別がつかなくなっていた。 帰るべき所に帰ったような不思議に安らいだ気分だった。
目が覚めると病院にいた。 発見された時には心臓が停止していたと後になって聞かされた。 彼が溺れるのにたまたま気づいた人がいたおかげで救助されたが、発見された時には既に危険な状態だった。 2度と意識が戻らないか、戻っても深刻な後遺症に苦しむかもしれないと宣告され、家族は覚悟を決めていたという。 少しの間だが鴇田は確かに死んでいたのだ。
死の淵から帰還した鴇田には妙な特技が備わった。 鴇田は以前から蚊の羽音を真似るのが得意だった。 相手の後ろからこっそりと近づいてこれをやると、相手は決まって蚊を追い払おうと両手を頭の周りで振り回したり、頭を激しく降る。頬を膨らませ、顔を真っ赤にして真剣な顔で蚊を追い払おうとする。 その様が滑稽で良くそのイタズラをした。大人をからかっては友達と一緒に笑い転げていた。
以前はちょっとしたイタズラで終わっていたが、ある時、彼が例によって蚊の羽音を真似ていると、本当に蚊が飛んでくるのに気づいた。彼が口まねをしているとどんどん集まってくる。 最初は偶然と思っていたが、そうでないと理解するのにそれほど時間はかからなかった。 それから彼は必死に「ワザ」を磨いて、蚊をかなり思う通りに操れるようになった。羽音を調節する事で自分の方から見て特定の場所に誘導したり、逆に追い払ったり。 もちろん、彼が蚊を移動させた先に人間がいれば刺される事になる。クラスの嫌われ者のガキ大将や口うるさい先生にちょっとした仕返しをしてはこっそりとうっぷんを晴らすようになった。 蚊の他にもできるかとあれこれ試した結果、トンボやチョウなどでも不可能ではないと知り、日々練習に励んだものだった。
翌年の夏の夕暮れ。彼はいつものように河原の道を歩きながら蚊を集めていた。 夕焼けが砂利道と鴇田の白いランニングシャツを茜色に染めていた。 集めた蚊や羽虫が群れて渦巻き、ちょうど大人ぐらいの大きさの蚊柱になっていた。 それを自分の好きな場所に移動させて自分の能力を試して楽しんでいた。 その時、道の反対側から大人がやってきた。
大人はみんな、蚊柱をみると嫌そうな顔をして避けて行く。 まるで自分の力が大人を屈伏させているようで気持ちが良かったが、それ以上の事はしない。 いちいち、すれ違う大人のひとりひとりに嫌がらせをしていたらキリがない。
その日も向かいから来た大人が自分を避けて通るように自分の正面に蚊柱を移動させてすれ違おうとした。 ちょうど男が蚊柱のすぐ横にきた時、蚊柱にフッと息を吹きかけた。 すると虫たちが川面のほうへあっと言う間に吹き散らされてしまった。 あっけにとられた顔で飛んで行った虫たちを見送ってた鴇田の肩に男が手を置く。 あわてて相手を見あげると男は無表情な顔で鴇田を見おろしてた。 「虫を集めるイタズラは2度とやるな。いつか虫以外の者も集まってくる。手に負えない事になって後悔する。今までそういう人間をたくさん見てきた」 男はそう言い残すと何事も無かったように河原の道を歩き去った。 その後ろ姿を鴇田は呆然と見送った。
それから鴇田は蚊の羽音の真似のイタズラをやめた。時にはワザを忘れないように試しもしたが、できるだけやらないようにした。友達に催促されるのを断るのはつらかったが、しばらくすると誰も頼まないようになり、ほっとした。 さらに3年たった頃が最後となった。 巨大なハエが日本にあらわれて総人口の半分以上を殺してしまったから。 生き残るのに精一杯でつまらないイタズラに精を出す余裕などなかった。
今、鴇田は首都復興事業庁の下部機関、住宅供給公社で働いている。そろそろ30になろうかという歳になっていた。 人間を生きたまま喰らうウジを吐き出す体長2メートルの巨大なハエの大軍を何とか撃退してから10年がたつ。それはまさに戦争だった。空飛ぶ生体兵器を破壊するために都市を丸ごと焼却し、破壊し尽くす結果となってしまった。それほど彼らは手ごわい敵だった。 都市機能を回復するのは戦争と同じくらいやっかいな作業だった。比較的被害が少なかった地域を中心に生き残った人たちを集め、瓦礫を取り除いて人間が生きるのに必要なスペースを確保して行く。何よりもスピードが重視され、多くのリソースが徹底的に投入されてきた。 今でも多くの場所が虫食い穴のように復興から取り残されてはいるが、それでも都市はその活力を取り戻しつつある。復活した電気の明かりが夜の闇を蹴散らして、人間の生活圏から恐怖を放逐して行く。それは快適な揺りかごを人々に取り戻し、安心を与える作業だった。
鴇田はそんな毎日を誇りに思っていた。徐々に明るさを取り戻してゆく人たちの横顔が彼の仕事が確かに人々を幸福にさせていると実感させた。 だが、都市の照明が輝くほどに、そこには別の種類の影が入り込んでくる。人の心に潜む暗闇はどんなに強いライトでも消す事はできない。 近頃、突然に行方不明になる人が増えている。住宅供給公社の物件でも失踪、行方不明事件が報告され始めている。 連続的な犯罪の介在も疑われたが問題はそれだけではなかった。公社の供給している住宅で許されざる行為におよんでいる者がいるのだ。
それは人間を生け贄にする儀式だった。実際に殺害されているのかはわからない。ただ、明らかに人体が儀式の材料として使われているのだ。都市は機能を回復しつつあるとはいえ管理の行き届かない場所は多く、孤児などの弱者の保護は緊急の課題であったが十分に手が回っていない面は否定できない。 そうした儀式の場所に必ず残されている物があった。 それはエターナル・ドーン、永遠の暁光と記された封筒や書きつけなどだった。 連続する失踪事件や汚らわしい儀式の現場に残される彼らの足跡が、不吉な新興宗教の存在を示唆していると考えられていた。 街は復興に向かっていたが、恐怖と不安の記憶が今も人の心に深く染み込み、内側から侵食しているのかもしれない。
酔った頭でそんな事を考えながら鴇田は自分のアパートへと夜道を歩いていた。 帰り道の途中には自分の建てたビル――正しくは住宅供給公社が、だが――がいくつもある。 それらを見上げながら、成長して行く街を実感するのが彼の楽しみだった。 とある物件の前で鴇田の足が止まった。 屋上に女が立っていたのだ。
夜空に暗いシルエットで浮かぶ姿は判別が難しかったが確かに誰かいる。 その物件は、というより住宅供給公社では屋上への住人の立ち入りを許可していない。共有スペースとしてどのように使用を割り当てるのかが難しかった事と、屋上から物が落ちたりした場合の危険性を考慮した結果だ。 鴇田はすぐにその建物の屋上へと向かった。 ロッカーや配電室、屋上などの管理スペース用のマスターキーは常に身に付けている。
階段の最上部の突き当たりにあるドアはしっかりと施錠してあった。 屋上に出てぐるりと一周してみたが誰もいない。 ただ秋を告げる涼しい風が吹き抜けて行くだけだった。 女が立っていたらしい場所へと行ってみるがやはりなんの痕跡もなかった。 見間違いだったのだろうかとも思う。そもそも、そろそろ夜半を過ぎようかという時間にこんな場所に何の用があるというのか。
酔ったせいだろう。気のせいに違いない。そう考えて引き返そうとした時、鴇田は眼下に人影を見た。 女が建物を出て行く所だった。 今度は見間違いようもない。エントランスには照明があって常に出入りする人を照らしているからだ。 あわてて地上に戻ると、女が通りの向うを歩いているのが見えた。 住人かもしれないと思ったが、屋上にいた人物かもしれない。立ち入った質問になるかもしれないが、どうしても確かめたい気持ちでいっぱいになっていた。 「ちょっとすいません。住宅供給公社の者ですが」 声をかけて女を追いかける。
女はちょうど角を曲がる所だった。 鴇田の声に気づかないのかそのままの速度で歩いて行く。 夜道で女を追いかけるのは下手をすると自分が犯罪者と思われるかもしれないとも考えたが、既に足の方が勝手に駆け出していた。 女が曲がった角を自分も曲がる。
その場所に女はいなかった。 ほんの10秒ほど見失っただけなのに。
狐につままれた気分だったが、たまたま角の先のどこかの建物に用があったのかもしれない。 もしかすると自分の足音に驚いて姿を隠したのかもしれない。 相手を怖がらせたかもしれないと思うと自分自身でも怖くなって、あわてて帰宅の道を急いだ。 鴇田の頭の中で以前に聞いた噂が駆け巡っていた。 奇妙な出来事のあった建物のそばで女の姿が見かけられるという。なぜか決まって赤いスーツを着た髪を短く切りそろえた女で、追いかけようとすると姿を消す。
翌日、鴇田は昨晩、奇妙な女と遭遇した建物を調べてみると、思った通り住人の一人が失踪してた。 荷物が置かれたままの部屋にはエターナル・ドーンと記された封筒と、永遠の命へと通じる道がどのような意味を持つのかが印刷された便箋が残されていた。 それから2ヶ月間、住人の帰還を待ち続けたが、結局その人物が帰ってくることはなかった。
鴇田が女を見失ってから数週間後。まったく違い場所。まったく違う部屋。
そいつらはまるで小さなハリケーンのようだった。 ワンルームの中をぐるぐると駆け回り、手当たり次第に噛み付き、食いちぎろうとする。 最初は1匹に見えたが、まるで本のページのようにパラパラとめくれると、それぞれのページがバラバラになって飛び出し、暴れ回る。 それはポスターを切り抜いたように薄っぺらな人型だったが、印刷し忘れたかのように裏も表も真っ白だった。
部屋に侵入していた黒覆面の男たちは奇妙な出来事に慣れ、いつでもそれまでにないまったく新しい状況を想定して準備を重ねていたが、それでもこの走り回る人型の前に翻弄されるしかなかった。 普段の訓練のおかげで食いしばった歯の間から悲鳴が漏れることはなかったが、全身に喰いついてくる人型を夢中で払い落とすのに精一杯でドアが開かれた事に気づく余裕さえなかった。所々、噛み千切られた場所から血が吹き出していたが構っている余裕はなかった。
普通、そのワンルームマンションの苦情は住宅供給公社のメインテナンス部門に回される。だが夜間は窓口業務が行われていないため、通報は朝まで受取られることはない。 そこで通報にできるだけ早く対応するため、住人からの連絡を下請けの担当者の携帯電話に直接、転送することとなった。今までなら見逃されていたが、その晩は担当者がすぐ近くに待機していたおかげで現場に到着する事ができた。 ダークスーツの男は住宅供給公社から預かった合鍵で騒音の通報のあった部屋のドアを開ける。 中で3人の黒服面に濃紺の作業服を着た男たちと、1人の女が身体にまとわり付く紙切れを必死で叩き落としてた。それだけでも妙な風景だったが、そいつらは叩き落とされてもすぐに飛び上がって相手にまとわりついて行く。
ダークスーツの男は手にしていた銀色のハードケースを降ろして留め金をはじくと、中から1本の透明な瓶を取りだして留め金を戻した。それはちょうど350ml入りの缶と同じくらいの大きさで、ほとんど直径と同じ大きさの口には黒いフタが付いてた。 男はくわえていたタバコを目の前をかすめていった紙切れに叩き落とされて思わず舌打ちする。 落ちたタバコを踏み消してからゆっくりと部屋に入ると、部屋の中を駆け回る紙切れをつかんでは瓶の中に放り込みはじめた。瓶は左手の親指でボタンを押すとフタが上がり、放すとバネ仕掛けですぐに閉じるようになっている。 しばらくすると薄っぺらな人型はすべて瓶の中に収まった。
「ここ。私の部屋ですから。あんたち、なにやってんですか。入ってこないで下さいよ。ここは私の部屋ですよ」 部屋の隅で震えていたこの部屋の主がやっとの思いで絞りだした声は同じ部屋にいても聞き取るのが難しいほど小さなものだった。見たこともない出来事と突然の乱入者のせいで気が動転しているのか目の焦点はあわず、言うことは要領を得ない。 ダークスーツの男が部屋を大股で横切って部屋の住人の女性に歩み寄る。 「大丈夫ですよ。異常を知らせてくれた人がいてね。私は住宅供給公社から派遣された者です」 そう言うと女性の首もとを軽く圧迫して即座に気絶させた。 「悲鳴を上げられるとやっかいなんでね。生きててくれて助かったよ。死んじまうといろいろと書類整理が大変なんだ」 振り返ると、4人の侵入者たちがガラス玉のような目でダークスーツの男を睨んでいた。
「助けてもらった礼がそれじゃどこに行っても嫌われるんじゃないか?」 ダークスーツの男がジャケットの中に右手を差し込もうとすると、侵入者たちの一人、深い赤のスーツを着た女の手に拳銃があらわれる。身体をまったく動かしたようにも見えず、ぴったりとしたスーツの中のどこにそれを隠していたのか見当もつかない。まるで空気の中から取りだしたかのように忽然と姿をあらわし、ダークスーツの男の胸にまっすぐに向けられていた。 覆面の男たちはお互いに目くばせすると、その中の1人が先ほど失神させられた部屋の主を担ぎ上げ、窓から出ていく。他の2人もそれにしたがった。武装こそ取りださなかったものの、一瞬たりとも油断した所は見せずに退出して行く。何の相談もなく住人を運び出した所をみると、どうやら最初からそのつもりで侵入してきたらしい。
「撃つなよ。タバコを取りだすだけだ。このジャケットにはまだ穴を開けられたくないんでね」 空中で止めていた右手をそっと内ポケットに入れ、取りだしたタバコにライターで火をつける。銃を向ける方も、向けられる方も、どちらも無表情のままだった。まるで鏡に映った像のように。 「そいつも渡してちょうだい」 女が瓶を指差す。 「こいつかい?」 ダークスーツの男が瓶を指ではじく。冷たく固い音が小さく部屋に響いた。 女がうなずくとダークスーツの男はためらいもなく瓶を優しく放った。 「そいつはちょっとした危険物だ。親切心から言うがここに置いて行った方がいい」 女は警告を無視して滑るように後ずさると、窓枠に腰掛けてから引き締まった曲線を持つ足を折り畳んでするりと外へ抜けだした。 追いかけて来ないように警告する事もしなかった。それは相手を撃ち倒す事に何の躊躇も感じないという意味だった。警告は自分が撃たないようにするためのものであり、撃った時のための言い訳なのだ。 「親切にしてやって親切が返ってきた試しがない」 男は無表情のまま、近くにあったガラステーブルの上のカップソーサーにタバコを押し当てて消した。
女が部屋を出てから数分待って部屋の入り口まで引き返す。銀色のケースからもう1本、同じ瓶を取りだした。 それから前かがみになって自分自身の上半身を絞り上げ始める。すぐに喉がグッと鳴って固まりが胃から喉へと逆流してくる。と、今度は右手の人差し指と中指を口の中へ差し込んだ。 指を引き抜くと、そこには先程の紙切れの一つが挟まれていた。そいつを丁寧に瓶入れ、ケースに戻して掛け金をしっかりと止める。 「思い出は胸の中にしまっておくに限る。そうすれば誰にも詮索される心配がないってね」 彼は覆面の侵入者たちに気づかれないように密かにバケモノのうちの一匹を自分自身の胃袋の中に隠していたのだ。まともな人間にできる事ではない。 カーテンの外を確かめると1階のこの部屋の窓の外はすぐに地面だが、植え込みの向うには建物の裏手の駐車場とを仕切る2メートルほどの塀がある。もしもこの部屋の住人を抱えたまま塀を越えたのだとしたら黒覆面の一団も並み大抵の相手ではない事になる。
それからじっくりと部屋の検分を始めた。掃除屋を呼ぶ前に自分自身で調べる以外に手掛かりを得る方法はない。 探すまでもなく、部屋の中央にそれはあった。 黒い穴だ。 まるでフタをどこかに無くしたマンホールのような穴で、床を勝手に切り取って露出させた地面にぽっかりと開いている。 住宅供給公団を悩ましている住人失踪事件と並ぶもうひとつの問題がこの穴だった。
この穴が生じさせるトラブルはひどくやっかいで、時には入居者に死者まで出る。この世界の住人とは思われない者を招き寄せ、時にこの世界の住人を永遠に飲み込む。 幸いなのはこの異界からの招かれざる客はこの世界がお気に召さないらしく、自分から元の世界に戻ろうとする事だ。 やっかいなのは彼らの帰還を邪魔した時だった。 そこで住宅供給公社はこの常識では対処できない問題の対応に、やはり常識を外れた業者を下請けとして使う事にした。
ダークスーツの男はそんな下請け業者のひとつとして以前にもこの穴に対処した経験があった。 その時は呼び出された者たちが帰れなくなって問題を起こしていたが、この穴はそういうことはないようだった。 辺りはひどく静まり返っている。生き残っていた最後のコウロギが窓の外の寒空の下で歌っているだけだ。 先ほどまでの騒ぎが嘘のようだ。 だとしたら、そうなったのには何か理由があるはずだ。
穴の周囲には見慣れた記号が並んでいる。今まで見たどの穴にも同じように白い線で描かれた文字のような図形がぐるりと配置され、それが暗がりの中で薄ぼんやりと燐光を放っていた。それらの意味はまだわかっていない。 そしてさらにその外側に、誰もが持っているが決して自分自身では見る事ができない物が並んでいた。 頭蓋骨だ。 丁寧に処理されてピカピカに光っている。なぜそんな事をするのかはわからないが、それらを慎重に排除して塩と水で洗浄すると穴が消滅する事から、それらが穴を形成していることは間違いない。
その穴の先がどこにつながっているのかはわからない。 だが、その穴がどこを通っているのかはわかっている。 それは10年前に人類の半分を殺したあの巨大なハエ共――ベールゼブブの体の中だ。 この穴は必ず、ハエの死体を埋めた場所の真上に作られる。本来ならハエ共の残していった物は残らず、十分に配慮して完璧に処理すべきだった。しかし人は恐怖に負けてそれらを地面の奥深くに隠し、一刻も早く全てを忘れようとした。何もかもを地上から消し去れば何もかもが無かった事にできるかのように。 それは間違いだった。 目をそらしたはずの恐怖は背中にしがみつき、生き残った者たちの耳元で今も不気味な羽音を響かせている。
その他に見つけた物は小指の先ほどの小さなプラスチック製の容器が数本。透明で中には琥珀色の液体が充填してある。これは以前に1度だけ見た事があった。1本を回収してこの部屋にやってきた時に持ってきた銀色のハードケースの中にしまう。 それ以上の物を見付けることはできなかった。 だが、もうひとつ重大な発見をしていた。 部屋にはどこにも、あのエターナル・ドーンのロゴを印刷された物がなかった。
ダークスーツの男が警察に通報すると、すぐに警察官の一式が送り込まれてきた。お互い、この事件に関しては何度も顔を合わせているのでいい加減にうんざりというのが正直なところだった。 事情聴取も現場鑑識も型通りにすませる。 今回は黒覆面の一団を発見したため、現場にやってきた大型の警察車両の中で調書を作り、目撃した女の似顔絵を作成した。 すぐに近在の警察署と全ての警察車両、交番などに情報が転送される。 上手く行けば警察の網に引っかかるかもしれないが、彼らの立ち居振る舞いの冷静さは彼らが簡単にはミスを犯さないだろうと思わされるに十分だった。
翌朝、特殊な清掃を請け負っている下請け会社がやってきて、さっそく現場の物件を片付け始めた。 彼らに現場を引渡せばダークスーツの男の仕事は終わる。 朝焼けに追い払われるように立ち去ろうとした所を呼び止められる。 その男は胸に住宅供給公社のネームの入ったカーキ色の作業服を着ていた。 「どうも。住宅供給公社の鴇田と申します。お世話になっております。あなたは、え〜〜と」 「業務委託を受けているアウターリミット・リサーチ・サービス、ORSの者です。リポートはのちほど届けますので」 「いや、すいません。気にしないで下さい。たまたま近くに用事があったので見にきただけですから。いつも通りに処理して下されば結構ですので」
こんな早朝に用事などありはしない。鴇田は再び事件があったと聞いて飛んできたのだ。 あの晩に見たスーツの女の事が気にかかっていた。おそらく何らかの関りがあるに違いない。だが自分では何もできないという事が歯がゆかった。 現場に早朝にやってきてもどうなるものではないとわかっていてもじっとしていられなかったのだ。
ダークスーツの男が何があったのか説明しはじめると鴇田が途中でさえぎった。 「その女というのはちょっと背が高くて、髪を襟のすぐ上のところで切りそろえていませんでしたか?」 「ええ。そんな感じです。ストレートの黒髪で」 どうやら鴇田の見たのと同じ人物のようだった。やはり鴇田の予感は当たっていたのだ。 「やはり、例のエターナル・ドーンの人間なんでしょうか?」 「少なくとも不法侵入の誘拐犯には違いがない」 入居者が消えた。それを思うと鴇田の胃が絞り上げられ、気分が悪くなる。 「ともかく、こうしたやっかい事を片づけるために私たちが雇われているんですから。鴇田さんは気になさらないで下さい」 ダークスーツの男は立ち去ろうとして思いとどまった。
「あの、清掃業者、デジカメを持っていますよね」 「ええ。規則でして。彼らのような現場の作業にたずさわる人は必ず、作業前と作業後に写真を撮って提出する事になっていますから」 当然の措置だった。むしろ思いつかなかったのはどうかしてる。今まで彼らの清掃作業を何度も見ているはずなのに。 「その資料、拝見させて頂けますか?」 「もちろんです」
(アフター・デス――2へ)
【事務局注】 この作品は、送信された作品ファイルサイズが非常に大きく、1エントリ分で作品全てを表示することができないため、事務局側の判断で複数エントリに分割していますが、全て合わせて単独の一作品として応募を受け付けた作品です。 このため、先頭エントリ部分のみトラックバック/コメントを受け付けるとともに、先頭以外のエントリではトラックバック/コメントを受け付けないようになっています。 これはエントリーblogのCGIの仕様上の制限に基づく特別措置であり、「アフター・デス-XX」を全て合わせて1ファイルの単独作品であるとして、先頭エントリ部分にのみトラックバック/コメント講評を頂戴いただけますようお願いします。
なお、正式タイトルは「アフター・デス」で、XX部分の数字はエントリ分割に伴う、事務局による補足的なものです。
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受信: 02:32, Wednesday, Sep 30, 2009
■講評
巧拙でいうと、はっきり言って拙です。じゃあ何故この点数かというと、技術を超える志、というか、「書きたい!」っていう思いがものすごく伝わってくるからです。 アマチュアが持っている技術、文章力の違いなど、しょせん多少のことです。どんなにもがいても、これ以上はプロにならなければ、ベテランに教えてもらわなければどうにもならない、技術面には、そういう限界があると思います。 だから、アマチュアに大切なのは、個人がどれだけ「独自の世界をもっているか」、「それを伝えるための情熱を持っているか」だと思う。最近ではあまたの文章読本、小説の書き方本が出回っていますね。そうしたものを幾つか読めば、確かに器用な人ならば、何か一作書くことができる。「小説書くとかちょれぇww」とか思っている人も多くいるでしょう。たまにウェブ上でそうしたものを見つけると、とても苛立つし、腹が立ちます。 そうした場面に出会うたび、技術を評価すること、書かれたもので評価することの虚しさに直面せざるをえないのです。 でも意志は、巧拙を超えて、読み手に伝わってくるものです。 作者が何を言いたいのか、何を伝えたいのか、どういう精神性の持ち主なのか知りたい。 という点で、私はあなたが気になるのです。 要するにエコヒイキですw。そしてそれが私の、今のところの講評の仕方です。
残念ながら、志がどうとかでかいことを言っておきながら、私にはあなたにさほど役に立てることは言えません。ただ、私でも言えそうな事を、以下に書いておきますから、どうかお好きなように読み取ってください。役立ててくださるなら幸いです。
・文章について―句読点が少なく、接続詞が多い。これが読みづらさの一因であるよう思われます。「、」を増やし、「に」「さらに」等は、地の文においては(台詞は別です)意味が成立するようであれば取り払い、意味が成立しても文のリズムが悪い……そういう時は文を「。」で区切って調整してください。 今後、あなたは文章読本等で勉強なさる機会もある思います。その際はどうか、本は参考書程度にとどめてください。というか、表現したいものが定まっていれば、文体や言葉の選択もある程度限定されてきます。答えのないことですから、教えられたことより、自分でウンウン唸って考えたやり方のほうが確実、ということもあります。 また、オリジナリティという言葉もありますね。これも私の解釈ですが、あれこれ考えた結果、オリジナリティとは最終的に「文章」へと終結されるものではないかと思われます(これがまた、文章読本を妄信するなという理由です)。どういうことかと言うと、たとえば「古い池に蛙が飛び込んで音がたった」という内容を十七文字で書けと十人に言ったら、たったそれだけのことであっても、住人は全く違う書き方をするはず。同じ句が成立するはずがないはずです。 ある人は音と同時にたった池の飛沫を書くでしょう。 またある人は、蛙が飛び立った瞬間について書くかもしれません。 書くことと「見る」ことは密着した行為であると思われます。よく、「この作家はいつも足もとばっか見てるのかな」とか、「この作家は必ず女性についてマニキュアの色を書くな」とか、まあそういうことがあります。 見るというのは身体の行為であり、また十人に同じ起承転結とキャラクターと舞台設定でお話を書かせても、それぞれにオリジナリティが発生するのは、書かれたものの向こうにいる人間(身体)が、絶対にオリジナルでしかあり得ないからです。 身体性に密着した文章を書く、ということを頭においてみてください。 普段よりよく耳をすませ、目を凝らすだけで結構です。
・キャラクターについて―「説明を全部キャラクターにさせるな!」ということを色んな人に言われると思います。さっき文章に正解はないと言いましたが、明らかに下手な文章があるように、明らかにやらない方がいいという事柄もあります。 しかし人物Aが知らないで、人物Bが知っていることを、Aが手っ取り早く知るには……Bに説明させるしかない。 じゃあどうするかというと、説明の仕方にキャラクター性を出させるのです。説明のための台詞から、人物の性格を表現する以外のことを省くのです。 BはAに教えるときに、時折冗談めかしたり下品な比喩を使ったりするタイプか? 優越感に浸って説明する奴だとか、解説書のように説明する奴だとか。だとしたら相手が途中で置いてけぼりになっていることに気付くのか? 気付いて気まずくなって説明し直すか、常識のない奴めと相手を馬鹿にするか。 BはBで、分からないことがあったら途中で質問するか? その質問が的を得ているか、またはとんちんかんか。途中でAがジョークを混ぜたらツッコミを入れるか入れないか。AはBからものを聞き出しつつも、Bに自分の情報を漏らしてしまうくらい間抜けじゃないか、あるいはBが聞き出す力に長けているとか。 そういうことを考えれば、「説明的会話」は「会話/やりとり」へと脱皮できます。 また、慣れればこうした会話に、後々への複線を混ぜこむこともできます。 キャラクター性を際立たせることについてもう一つ。 この小説には、「深遠」に対する「卑近」が描かれていない。これが、キャラクターが駒から抜け切れていない理由の一つです。「卑近」とは日常。「深遠」は鴇田たちが相対する「穴」をめぐる秘密や陰謀です。ダークスーツの男たちが仕事に臨むそのあいま、食事とか、ちょっとした癖とか、そういうことを書きこむだけで印象が変わります。またそうしたことをストーリーに絡ませることができたら、ワンランク上がったと言えるでしょう。
・雑事―読んだ上での推測ですので、違ったら申し訳ないのですが……作者さんは矯正視力でB以下だったりしませんか? 視力は実は、文を書く上で、時には人格にさえ、多大な影響を与えるものです。特に作者さんは「頭の中のビジュアルをもとに書く」人だと思いますので(親近感!)。 そうだとしたら、度の強いコンタクトレンズを作り、外ではそれを装着して過ごしてみてください。文の密度や質感ががらりと変わるかもしれません。
ああ、講評というよりすっかり余計なお世話になってしまいました。長くなったのでもうやめます。 またいつか、どこかで成長したあなたと出会えることを願って。 |
名前: あおいさかな ¦ 18:37, Friday, Sep 18, 2009 ×
これだけの内容を考えられたのはすごいですね。 設定がぎっしり詰まって、アイデアだけでもボリュームがあると思います。さすがは怪集のラストを飾る作品ですね。
なのですが、文章としては少し微妙かなと感じます。 昨年の遺伝記のファントムやハイブリッドのように、作品設定のボリューム自体はなかなか真似できるものではないと思うのですが、この長さの話と文章の量が釣り合っていない気がします。 これは本来、もっと量が多い中編向きの内容ではないかなと思うのです。
クロスローダーでもちょっと感じていた事でもありますが、クロスローダーもアフターデスも、後半からが謎解きの多くが会話の中で進行して行くんですよね。 ここは作者の方が腕をふるって印象的なエピソードを作るなりして努力しなければいけない部分だと思います。 エピソードそのものは結構作中にあるのですが書き方がどれも同じで、いまいち盛り上がりに欠けるように感じます。七割方が梗概を読んでいるような文章で、登場人物がなぜそれほどまでにこの事件に入れ込んでいるのか、謎が多い割には背後に匂い立つ不吉さが文章からあまり伝わってない気がします。
洋画や海外小説を思わせる会話のおしゃれさは雰囲気があって結構良いと思います。 ただ、作品全体はどうしても淡泊な印象になっているので、会話のおしゃれさと同じくらいに、場面毎の書き込みにも、もっと熱意があればと思いました。
アイデア・1 |
名前: 気まぐれルート66 ¦ 13:53, Saturday, Sep 19, 2009 ×
ベルゼブブ系列の話の〆として、かなり練りこまれたプロットを持つ作品だと思いました。 虫を呼ぶ能力、というのも新鮮なアイデアです。 惜しむらくは作品の長さ、というか文章の多さです。状況を丁寧に描写しようとしすぎて、説明臭さを感じました。 セリフだけでなく、地の文にも気を配っていただければ、薄口な印象が変ると思います。 いまひとつ乗り切れなかったというのが正直な感想です。
アイデア+1 文章-1 |
名前: もりもっつあん ¦ 19:54, Saturday, Sep 19, 2009 ×
発想+1 文章ー1 構成ー1 恐怖ー1 蚊の羽音をまねて虫たちを操る、というのはとてもいいなと思いました。 期待しながら読み進めていくと、唐突に巨大人食い蠅が出てきてがっくり。 鴇田の能力に的を絞って、日常から少し逸脱したくらいの話にしたほうが面白くなったかも知れません。 安易な巨大蠅によって、序盤の優れたオリジナリティを喰われてしまっています。 |
名前: 戯作三昧 ¦ 03:48, Monday, Sep 21, 2009 ×
・アイディア+1 冒頭、現実怪談的な雰囲気で語られる鴇田の妙な特技、が個性的に感じた。伝奇チックな雰囲気で書かれていたら、普通だと思ったかも知れない。他はありがちの域に感じた。佐野技術中尉の本当の研究目的に至っては、使い古されている印象。 ・描写と構成±0 描写。可もなく不可もなく。淡々と出来事だけを書いていく場面も多く、少しノリが悪い気もする。瓶で場所を絞り込むくだり、人間とハエの同化という(仮の?)研究目的、ベールゼブブの模様は魔法陣、等は面白いと思った。 構成。物語の組み立て自体は、基本を押さえている、という感じかと思う。粗はあまりないと思う。
また、作者が好きでやっていることならとやかく言わないが、繋げている世界観の相性が悪い気がした。「今、鴇田は首都復興事業庁の〜」前後辺りでがらりと、現実怪談的な鴇田の過去話からベールゼブブという伝奇小説的な話へと舞台が移るのだが、読んでいる私は戸惑ってしまった。話の構成上は必要であっても。 理由は、それぞれの世界観に期待している展開が全く違うから。前半で「良い」と思っていた私は、世界観が変わった時点で、肩透かしを喰らってしまうのだと思う。ラストで郷愁を出したかったのだと思うが、皮肉にも過去話の内容が良かった為に、接続で拒否反応が起きてしまった感じ。「気づくと宇宙の〜」のくだりを、もっとバリバリの伝奇小説風味にされていたら、こんな誤解はしなかったかもしれない。 「もしも、私が虫たちを止めたら、〜」で繋げられても、いまいち「おお、そう来たか!」とは思えなかった。そういう使い方を期待していたんではないんだ……、と。 細かいこと。「まったく違い場所。」う?
・怖さ−1 怖がらせようとしている部分が無いように思える。問題が起きて、解決されて。その課程や結末の、どこら辺で読み手が怖がると想定しているのだろう? 切った張ったが日常の伝奇ノベル的世界観だと、読み手の私もそれに対応して身構えるので、ただの怪奇風な味付けやアクションシーンなどで怖がったりはしないのだが。 ・買っても後悔しない魅力−1 ライトノベルとして見れば±0。面白いか、と問われると否だが、手に入ってしまったら後悔するのも忍びない。そんな感じ。恐怖小説として見れば、−1。前述の通り、恐怖がないと思うので。 |
名前: わごん ¦ 17:52, Friday, Sep 25, 2009 ×
あー…、これは鴇田さんの話を中心に進めて欲しかった…。 全部、巨大ハエに持ってかれていますね…。 折角の虫を操る能力も、肝心の見せ場では非常に地味な描写になっていて、冒頭の説明が殆ど無駄になってしまっているように思えます。 また、中盤、失踪事件の真相を明かす辺りが非常に説明的で、逆によく解りませんでした。 全体的に、またこの手の話か…という印象が否めませんでした。
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名前: PM ¦ 21:26, Saturday, Sep 26, 2009 ×
恐怖度1 文章力0 構成力0 アイデア0 蚊の羽音をまねて虫たちを操るのは面白かったのですが、話を盛り上げるにはいたらないアイテムでした。気になったのは話が飛びとびに進んでいくので、読み辛かったかなあ。 長いのをここまで書き上げたエネルギーは凄いと思いますが…。 |
名前: 妖面美夜 ¦ 23:45, Saturday, Sep 26, 2009 ×
ラストシーンに向かう部分の加速感と、アイデアがぎっしり詰め込まれた部分に好感を持てます。 ただ、トータル的には、ダイジェスト版というイメージを受けてしまうのが難点と思います。一本立ちとしても通る作品としては、やや評価を下げざるを得ませんでした。 但し、作者殿の「こういうものを書きたい!」という姿勢は充分汲み取れる作品だと思います。 熱いものを戴きました。ありがとうごさいました。 |
名前: 籠 三蔵 ¦ 21:15, Tuesday, Sep 29, 2009 ×
3人の人物が、同じ大きな出来事を経験した後、それぞれがそれぞれの信じるもののために生きて、最後にそれが交差する。 その対比がおもしろいと思います。
この長さで緊張感を無くさないように話を続けるのはなかなか難しいですよね。 これから経験値を積んで行くことで良くなってくると思います。
【アイデア】+1、【描写力】+1、【構成力】0、【お疲れさん度】+1 |
名前: ユージーン ¦ 01:04, Wednesday, Sep 30, 2009 ×
ああ!面白かったです! すごく勢いがあってぐいぐい引き込まれて読みました。ミステリ的な要素が盛り込んであるのも好みです。 冒頭の鴇田の臨死体験や特技の開花など、遺伝元とどう繋がるんだろうとワクワクしていたところに巨大蝿登場。素敵です。
>「昔から老け顔なのさ」 このセリフには痺れました。タイミングも良かったですね。
*構成+1 *発想+1 *勢い+1 |
名前: げんき ¦ 01:41, Wednesday, Sep 30, 2009 ×
序盤の伏線が活劇の最中に生きてくるところは面白かったです。 正直書き急いでいる感じがあって、描写など荒く思えたのですが、それでも終盤のところなどは引き込まれて読みました。 巨大バエについてですが、種作品から始まってとうとう魔力を持った凄い化け物に成長してしまったですね。 怪集という企ての精華ではないかと、ちょっと思いました。
アイデア 1 文章 0 構成 1 恐怖度 0
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名前: 鶴の子 ¦ 05:34, Wednesday, Sep 30, 2009 ×
作者の情熱が伝わってくる作品です。あれもこれも書きたいんだろうな、と。勿論、書く情熱が何より必要な条件だとは思います。 けれども、その上で他人に読んでもらう為には、しっかりと設計図を作ってからでないと…。それと、ある程度の技術はやっぱり必用だと思います。
最後の作品に巨大ハエ。 うんざりしながらも懐かしい思いに浸ってしまいました。
発想・1 構成・−1 文章・0 恐怖・0 |
名前: 三面怪人 ¦ 12:55, Wednesday, Sep 30, 2009 ×
小説としては充分魅力があると思いますが、冒険もの感が否めず、恐怖ものとしては弱いかなと思いました。 |
名前: 読書愛好家 ¦ 20:12, Thursday, Oct 01, 2009 ×
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QRコードの中に 潜む実話怪談

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