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「元気してたー?」 「うん」 嘘だろう。顔を見れば分かる。 せっかくの登校日なのに。半月ぶりの学校の図書室。空調と古い紙の臭い。ユカリは本を手にするでもなく、長机から顔をあげない。 「ユカリ原稿できたぁ?」 「うぅん、まだ」 「マジかー、部誌作んの休みあけてスグだよ?」 うん、とユカリが生返事する。 「……キョースケくんは?」 「上に行った」 「上?」 ユカリは土気色の顔をして、俯いているだけだ。埒が明かない。小夜はユカリの向かいの椅子を引き、声を潜めて尋ねた。 「……ユカリ、ほんとなの?」 「何が?」 「蟲神トンネル……に行ったって」 一瞬ユカリの口の端が震えた。小夜は確信する。 そのトンネルは、県の内外を問わず有名な心霊スポットだった。毎年夏には必ずと言っていいほどテレビが取材に来て、雑誌に載る。何せトンネルなのだから、変な言い方だがアクセスも良い。 蟲神トンネルの天井には、事故死した女性の遺影がかかっている。真夜中には、その遺影の顔が、死んでしまった会いたい人の顔に変わるという、触れこみだった。 『あたし、そこ行ってみようと思うんだ。学祭で配る部誌のネタにちょうどいいじゃん』 ユカリと後輩のキョースケが、記事を担当することになった。二人の下心はわかっていたが、ユカリにもう一つ理由があると、口には出さないが心得ていた。 「美由紀に会いたかったんでしょう?」 ささやくように確認した。 ユカリの唇がわななきだす。 「ユカリ!」 「……絵みたに……」 洟をすすりあげた。 「会えたんだね? 美由紀に会えたんだね?」 ユカリがこっくりとうなずいた。 そのとき。 視界の端、窓の外をなにか影が掠めていった。 上から下へ。大きなもの。――ぐいっ、と顔を窓にやると――。 グシャッ! と音が聞こえた。 「虫だったの」 腰を浮す小夜に話し始めた。 「虫が美由紀の顔の形に集まってた」 「ねえ、今、今――」 「あの世はどんなとこって、聞いたの」 窓とユカリとに引き裂かれて、小夜は身動きが取れない。 「ユカリ、今――」 するとユカリが顔を上げた。顔を隠していた髪が散り、真っ赤な目を剥いて小夜を睨んだ。 「……死ね、って言われたのよ!」
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受信: 21:07, Wednesday, Dec 09, 2009
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受信: 00:14, Thursday, Dec 10, 2009
» 【−2】友情 [峠の塩入玄米茶屋/2009から] × 何かパーツが一つ欠け落ちているような。描かれるべき美由紀とユカリのエピソードが書かれていないため、何故美由紀がユカリを憎んでいたのかわからない。美由紀が何故死んだのか、自殺なのか事故なのかも書かれていない。作者の中でのみ納得した状態で書かれているため .. ... 続きを読む
受信: 03:52, Monday, Dec 28, 2009
■講評
オチが都市伝説風なのと、大事な所で台詞が欠けているのが…。 それまではすんなり話に乗れただけに、残念です。
文章 1 構成 −1 |
名前: ほおづき ¦ 08:26, Thursday, Dec 10, 2009 ×
冒頭から自然に物語が始まり、興味深く読んでいた矢先にプツっと幕切れが起きた、というのが素直な読後感です。この子たちの人間関係にドラマがありそうな雰囲気なだけに、もっと長編で読みたかったです。
*冒頭からの流れ+1 |
名前: げんき ¦ 19:19, Wednesday, Dec 16, 2009 ×
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QRコードの中に 潜む実話怪談

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